宿

宿小学校遺跡は、奄美大島北部の笠利町東海岸に発達したリーフと海岸段丘砂丘上にあり、畑地にも恵まれた立地条件から遺跡の数も多く、宇宿貝塚とは同じ標高約13mの台地上にある。

 本遺跡は小学校舎新増築工事に伴い、平成11年の遺跡確認調査に始まり、平成12年には本格的発掘調査が行われた結果、縄文前期・中期の条痕文土器・各種骨製品・埋葬犬など貴重な遺物と共に、縄文後期・晩期の石組住居址などが検出された。

(遺跡現場)
 遺跡が立地する海岸段丘は東側に湾入しており、当時は直ぐ近くまで海岸線が迫っていたと見られ、魚介類が豊富で貝製品を主とした交易が行われていたと想像できる。
台地東側の民家敷地内からも貝殻などが散乱していることから台地全体が遺跡であると考えられている。

これまでの校舎増改築敷地の発掘調査だけでも、7基の住居址が確認されており、運動場を含む未調査の部分には更に相当数の遺構・遺物が眠っているものと見られている。

 奄美大島でこの時期これだけの住居址が密集した定住集落が出土した例は初めてと云う。

(深鉢土器)
 縁部分に網目の縄文をベースに沈線による重孤文を施し、又重弧文に刺突文が一定の間隔で施されている文様は、奄美では初めての出土例と云われている。

九州地方にも類例がなく、当地固有の土器様式かもしれない。

以下文字列にポインタをおくと、民度の高い精巧なアクセサリーなどに出会えますよ!

 ゴホウラ製貝輪、オオツタノハ製貝輪、方形有孔貝製品などなど

 腰飾り・垂飾など骨製アクセサリー

 釣針など骨角製品

 骨製地獄針

輪のほか方形有孔貝製ペンダントなど民度の高い精巧な装身具、腰飾り・垂飾りなど様々形のアクセサリー、骨針・骨角製品などが検出されている。

 交易品として開発され、使われたかも知れない。

(石皿)
 部は平坦で、下部は4脚の下駄歯状など、石皿の加工は多様に及ぶが、いずれも丁寧に彫刻されている。

祭祀用に使われたと考えられる。

以上のような遺構・遺物以外にも掘建柱住居址・集石遺構・人骨・焼砂・埋葬犬などが出土している。
特に横に寝かされた犬の埋葬事例は、南島では極めて珍しいと云う。
家族の一員として葬られたのであろう。

 わずか3ヶ月足らずの発掘調査で検出された遺構・遺物には唯驚かされるばかりであるが、未発掘の眠れる埋葬文化財に益々夢が広がる。
“文化財を活かした町づくり”に期待したい。

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