偶は縄文人の姿・形・服装・髪形・顔・手足・表情など様々で各々に個性を創り込んでいる。

 土偶の創られた目的は負傷・疾病など災い除けとか、出産・繁殖・生産への祈りを表現した等の説があるが、目的・用途は多彩であったと考えられる。

 しかしほとんどの土偶はバラバラな断片や残欠状態で発見されることから、何らかの儀式の後でわざと壊して再び復元できないよう距離を置いて捨てたように考えられている。

山形西ノ前遺跡”縄文ヴィーナス”

 の約4,500年前のヴィーナスは背の高さが45cmもあり、日本最大級の土偶と云う。
 縄文のヴィーナスは、頭・胴・腰・右足・左足の5つの断片が2.5mの範囲内で見つかったため完全に復元できたと云われる。

山形杉沢遺跡の縄文晩期土偶

 の土偶は地表下約60cmの土中で、三方に石を置いて扁平な蓋石で被い、仰向けに寝かせた状態で出土したと云う。

 全体がデフォルメされた女性像は、ほぼ完全な形で出現したと云う。

山形釜渕D遺跡の縄文晩期土偶

 の土偶の高さは約23cmあり、髪を結い腰にはパンツを着け、左右の見尻には入墨か化粧をしている。

 この髪を結う土偶は、地下約60cmのところに太い両脚をふんばって垂直に立って出土したと云う。
この土偶もほぼ完全な形のまま出土した。

 これらの土偶からは再び復元して欲しかった願い・祈りが感じ取れる。
再生への役割を担い、完全復元を意図していたと考えられる。

 出来栄えを誇示したかったのか、或いはムラを代表する精霊として完全な姿で願いを託したのか、いずれにしても完全復元の願いが込められていたと思われる。

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