岐阜市は濃尾平野の北部に位置し、長良川に代表される豊かな水の恵みを受けてきた。

 岐阜県周辺の縄文遺跡は、椿洞・御望遺跡に代表されるように北部と東部の段丘や扇状地に立地する。

 岐阜県を代表する縄文遺物の一つが御物石器で、中部から東日本に圧倒的に多く分布し、中でも岐阜県が全国の半分余りを占めていると云う。

精巧に加工された御物石器

 物石器は縄文晩期の磨製又は打製石器で、具体的用途は不明。
この物体ははたして何を象徴しているのでしょうか?

渦巻き文様のある御物石器

 方の御物石器とも、頭・胴部・足にも似た人体が横たわっているように見える。
又青竜のような動物のようにも見える。

 遺体を横たわらせて見せる先祖の姿か、或いはご神体なのか何となく神々しくも見える。
 御物石器命名の由来は、皇室に献上されたことから来ていると云われているが、偶然のハプニングであろうか?

 岐阜県は縄文中期集落の隆盛に比べ、後期後半から晩期にかけて集落の衰退ぶりが顕著。
気候の冷涼化に起因する食糧不足問題が集落の分散と小規模化を促したと見られる。

 このような厳しい自然・食生活環境の下、御物石器に託した共通の祭祀を守り続けることにより、共同体意識・団結力を高める必要性があったのではないかと考えられる。

 この点は呪術具を全く共有しない西日本の縄文ムラとの違いと云える。

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