本人の世界に冠たる物づくりの技能・ノーハウは、今日産業界・伝統工芸の世界で立証済である。
少しでも良いモノを残し、より良いモノを求める血筋は、縄文原人のDNAに深く刻まれ、伝承されて来たと考えられる。

 過酷な弱肉強食の大自然の中、強靭な牙も、疾風のごとく大地を駆ける脚力もない旧石器人・縄文人にとって頼れる武器は、鋭く研ぎ澄まされた「鏃」であったと見られる。

 鋭いと正確に獲物を射止めるこそが、飢えから守り数万年・数十万年を生き抜くことを可能にした道具と云える。

山形高畠町の日向洞窟遺跡出土の石器類

 遺跡は旧石器から縄文時代にかけての複合遺跡で、鏃・尖頭器等が見つかっている。

 この他にも半月形石器・局部磨製石斧等いろいろなタイプの石器が発見され、生活レベルの高さが窺える。

山形新庄市内の旧石器時代石器類

形県新庄市内の旧石器時代遺跡群から出土した約12,000〜15,000年前の石器類。

石刃・削器・尖頭器等が発見されている。

鏃のような道具を慈しみ、限りない憧憬を抱き、改良に改良を重ねるこだわりが今もって脈々と生き活かされている。

我々現代人にも道具を愛し・道具を磨く心は引継がれ、高度産業化社会の物づくりの伝統に生かされ、来たる高度情報化社会においても引続き日本的伝統が継承され、必ずや成果を発揮するものと確信する。

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