日本が男女とも世界一の長寿国である記録は今年も継続されている。
社会的・物理的・医療的に日本人長寿の原因は見当たらない。
又山・野・海に取り囲まれた自然環境は、山菜・キノコ・海藻など植物性食料にも恵まれた。
このような新しい環境は、人間の生命を支える食生活に深くかかわる歯の構造に偶然にもピッタリだったと云われている。 縄文人が残した糞石分析から、縄文人は木の実を中心とする炭水化物を総カロリーの60〜70%ほど採っていた云う。
日本列島総面積の75%ほどが「山」で占められ、木の実・山菜・キノコ等の供給基地として縄文人の食生活を支えた。 |
蜆塚貝塚出土の頭蓋骨
静岡県浜松市の蜆塚貝塚から出土した31体人骨のうち2つの頭蓋骨。 縄文人の抜歯の痕跡が明らかに残る例。 縄文人の人骨から縄文人が抜歯する風習を持っていたことが知られている。
特に上下の犬歯を抜いていたことは、何らかの呪術的意味合い或いは自己表現(出自を現わす)の姿を現わしたとも考えられている。 抜歯の風習は狩猟が山野を駆け巡る生命のリスクと多大な労力を要したことに対する敬意・畏敬の念等を表現したと考えられる。
しかし現実には縄文時代当時天変地変・疫病等が平均寿命を押し下げ、天寿をまっとう出来なかったことは云うまでもない。
木の実が健康食糧と云われる由縁である。 |
南方前池遺跡出土の木の実
岡山県山陽町の南方前池遺跡から出土したトチ・ドングリなどの木の実。 縄文時代晩期の貯蔵穴からは、2,500年ほど前のままの状態で大量の木の実が出現したと云う。
一方活性酸素を消去する成分の多い穀物を中心とした食生活が健康を支えた。 このように縄文人の自然との共存・共生が、今なお日本人の体内に生き続ける日本人長寿の真因と考えられる。
であればこそ今日の人為的環境汚染問題に対して、縄文人の悲鳴が聞こえてくるような気がしてならない!! |