ブルガリア旅行1-ソフィア

6月21日(月)晴れ
パリで乗り換える.ここからまだ4時間かかる予定.ガイドブックを見ていると,ソフィアにお母さんが住んでいるという女性が話しかけてきて,ヴェリコタルノヴォもプロヴディフも美しい所だと言ってくれたので,わくわくする. 6時半に出発して,思ったより早くソフィアに降り始めたと思ったら,パリとの間に1時間の時差があった.というわけで,到着はやはり10時20分.こんなに遅い時間に到着する便に乗ったのは初めてだ.無事ホテルに着けるだろうか.飛行機から街の明かりが美しく見える.換金はスムーズだった.とりあえず1000ユーロを換金して1650レバーを20と10レバー札で受け取る.ガイドブックには1ユーロが約1.95レバーの固定相場とあったので,率は悪い.荷物も一番に出てきた.すぐに男の子が「タクシー?」と寄ってくる.荷物を持とうとするが,ちょっと用心して「セントラルホテルまでいくら?」と聞く.「メーター通り」と言って,胸に下げた写真入り証明書を見せてくる.並んでいるタクシーを見るとOKタクシーと書いてある.ガイドブックに載っていたタクシーだ.OK.ホテルまで70レバー.夜間だしこんなものかとも思ったが,後で実は6倍程も高かったとわかった.到着直後は仕方ない.11時半,シャワーを浴びて寝る.

ブルガリア最大の教会アレクサンダル・ネフスキー寺院
 
聖ネデリャ教会

聖ゲオルギ教会
 6月22日(火)晴れ夕方雨
ホテルで朝食を食べて出発.街は外壁の崩れている所もあってあまりきれいとは言えず,観光客もみかけない.ソフィアにはたくさんの教会があった.
地下鉄の駅のあたりに聖ペトカ地下教会が地下道に囲まれた位置に建っていて,屋根だけ少し地上に出ている.14世紀のオスマン朝時代に建てられた教会なので,遠慮気味らしい.写真撮影10レバーは少々高いと思った.
聖ネデリャ教会はオスマン朝支配からの解放後に建て替えられた.正面にある聖人の肖像<イコン>が並ぶ司祭の部屋から美しい歌声が聞こえてくる.それに応えて参列者が美しい声で歌っている.高音部,低音部でハモっている.一番前の一人が指揮しているようだ.参列者は女性が多い.高いきれいな声.司祭が歌い,参列者が応える.しばらく座って聞き惚れていた.円屋根のドームにはキリストの絵が描かれ,四方の窓から日が差し込んでいる.礼拝堂はドームの下に1つの空間が形作られ,それを遮る柱は無い.
聖ゲオルギ教会は4世紀にローマ帝国によって建設された.教会の後ろにはローマ時代の浴場跡が残っている.イコンで囲われた司祭の部屋からはやはり高い美しい歌声が聞こえる.ここではブルーの半袖Tシャツの男性が司祭の歌に応えて楽譜を見ながら歌っていた.とても美しい歌声がドームに響き渡る.聴衆は私たち2人の他は女性参拝者が1人いるだけだ.男性がもう1人,聖人の絵の扉を開けたり閉めたり,燭台を灯したり動かしたり世話をしている.歌声の応答はまだまだ続いていたが私たちは教会を後にした.
 
バーニャ・バシ・ジャーミャはオスマン朝時代に建てられたイスラム寺院だ.靴を脱いで入る.女性だけ入口で,フードの付いたコートを羽織るようにと手渡された.内部はシンプルな幾何学模様だ.外観は全く異なるが,高いドームの下の祈りの一部屋という意味では,他の教会と共通している.但し,ここにイコンはない.部屋の横に託児所なのか小さい子供が10人程遊んでいた.
イスラム寺院の道路向かいにはセントラル・ハリがあった.昔の中央市場だ.魚,野菜,パン,チーズを売る店が並び,地下から2階まであるが,それ程にぎわった大きな市場ではない.サンドイッチとコーヒーで安くて早めのお昼にした.
旧共産党本部の下,地下道の横に古代の城塞都市セルディカの遺跡がある.煉瓦と石積みの壁が地下鉄工事で発見された.ローマ時代の遺跡だ.旧共産党本部の近くには大統領官邸があって,制服を着た衛兵が直立不動の姿勢で立っている.考古学博物館もこの近くだ.
第二次世界大戦後,ブルガリアはソ連16番目の共和国と呼ばれるほどの親ソ体制を取っていたが,ベルリンの壁崩壊後,共産党独裁体制に終止符を打ち,1990年にブルガリア共和国となる.そして,2007年にはEUへ加盟した.
 
バーニャ・バシ・ジャーミャ

国立民族博物館

聖ソフィア教会
 
聖ニコライ・ロシア教会

旧共産党本部横の通りを行くと,国立民族博物館,国立美術館,国立自然史博物館などがずらーっと並んでいる.通りはさらに,聖ニコライ・ロシア教会,聖ソフィア教会,アレクサンダル・ネフスキー寺院,国会議事堂,海外アート国立ギャラリー,そしてソフィア大学へと続いている.
14世紀から19世紀までブルガリアはオスマン朝の支配下にあった.フランス革命の影響はヨーロッパに広がり,ブルガリアでも民族意識が高まるが,第一次民族蜂起は鎮圧され,ロシアの支援を受けて1878年自治権を獲得する.アレクサンダル・ネフスキー寺院はこの時の露土戦争で戦死した約20万人のロシア人兵士を慰霊する目的で建てられた.国会議事堂広場には,ブルガリアをオスマン朝支配から解放した英雄,ロシア皇帝アレクサンダル2世の騎馬像が建っている.
アレクサンダル・ネフスキー寺院は緑色と金色のドームが美しい大きなビザンツ様式の教会だ.内部の天井は高く,薄暗く,連なるドームの1つ1つに神様のフレスコ画が描かれており,壁面にはイコンがずらりと並んでいる.ブルガリアの教会は外観はそれぞれに全く異なるが内部はどれも同じ印象で,ドームの下に1つの祈りの場所があり,イコンで飾られ閉じられた所が司祭の場所のようであった.

アイスクリームを食べながら休憩した後,国立自然史博物館に入った.建物は4階まであり,いろいろな鉱物,鳥のはく製,動物のはく製,昆虫の標本など数多くの展示品が並んでいた.とら,ライオン,くま,しか,しまうま,黒ひょう,オオカミ,スカンク,さる,となかい,きつね,など大きいものから小さいものに至るまで,あらゆる動物のはく製が展示されているのは見事だった.
夕食はホテルで,ボーイさんのお勧めブルガリア料理を食べた.さめない竹筒形の陶器で出てきた料理はチキンとポークのシチュー風で,味は濃厚だった.本を見ながら,「スメットカタ・モーリャ(お勘定)」を言ってみる.セントラルホテルは星4つの高級ホテルに属するが,部屋は狭い.とりわけトイレは狭く,洗面台もとても小さい.そして何だか水を使うと漏れてきてトイレの足元が水浸しになるのには閉口した.
今日一日良い天気だったが,ホテルに帰ってきてから急に雨が降り出した.明日は朝晴れていても傘を持って出ようと思う.

国会議事堂

ソフィア大学
つづく