ブルガリア旅行2-ボヤナ教会


ボヤナ教会
6月23日(水)雨のちくもり
ボヤナ教会に行く.ソフィア中心部から8km,ヴィトシャ山の麓にある.タクシーを使わないで,トラムとバスを乗り継いで行くのにトライすることにした.アフトガーラ・オフチャ・クペルで乗り換えだ.5番のトラムが来た.チケットをパンチしようとして,券売機のまわりをうろうろしていたら,学生風の若い男性が教えてくれた.親切そうなので「アフトガーラで降りたい」のだと言うと,行き先を聞き違えたらしく,「このトラムではないよ」と言う.「5番か19番のはずだけど」と言うと,近くのおばさんが「*じゃないの」と口添えしてくれる.ガイドブックの地図を見せて,間違っていないことを確認する.男性は「自分もそこで降りるから」と言ってくれた.アフトガーラに着いてからついでにその学生に107番のバス乗り場を聞いたら,案内してくれ,窓口の人を呼び出して聞いてくれる.が,そこはリラ僧院行きとか長距離バスが出ているバスターミナルで間違いだった.さらに一緒に連れて行ってくれる.「107番のバスは見たことがあるなあ」と彼は言った.意外と多くの人が流暢に英語を話せるようだ.雨が降り始めた.「リラ僧院へは明日行くつもり」とか話していると,道路の向こうを107番のバスが来るのが見えた.急いで礼を言って,走って行ってバスに飛び乗る.
ボヤナ教会に向かってバスは坂道をどんどん登っていく.結構な距離がありそうで,タクシーで来ていたらあっと驚くほどかかっていただろう.運転手に「ボヤンスカ・ツェルクヴァ」に行きたいと伝えておくと,いいから座っていなさいという感じで頷いてくれた.教会のそばを通った時,ここだからと教えてくれ,その先のバス停で降ろしてくれた.バスの運転手もみんな親切だ.
ボヤナ教会は山の中にぽつんと建っていた.鍵を開けて中に入り,女性が英語で説明してくれた.フレスコ画がとてもすばらしい.11世紀に建てられてから,13世紀と19世紀に増築されている.13世紀には前のフレスコ画の上に壁を塗り込めて,新たにフレスコ画が描かれている.4人の聖人は同じ位置に描かれている.この聖人たちは実在の人のようでリアルな顔立ちだ.苦難のキリスト像の絵は異なる場所に描かれている.一部壁が剥がれて下の絵が見えている.11世紀の絵は平坦で色数も少ないが,13世紀に描かれたものは立体的で,色使いもグラデーションなど多彩だ.最後の晩餐の場面など,ユネスコの世界遺産に登録されている.
教会の出口で21番のミニバスの乗り場を聞く.ミニバスは乗り合いタクシーのようで,手を挙げて止める.「歴史博物館に行きたい」と言うと「いいから,まわってきて乗りなさい」と言われる.実は右側通行なのに反対側から乗ろうとしていたのだ.正さんに注意される.ミニバスはトラムより少し割高の1人1回1.5レバーだ.
国立歴史博物館は旧迎賓館が利用されていて,広い敷地のずっと向こうに建物が見える.数多くの金銀工芸品や民族衣装が展示されていて,見応えがあった.もう昼過ぎていた.ロビーにコーヒーの看板を見つけて,「コーヒーあるのかなあ」と正さんと話していると,来場者の女性がわざわざ寄ってきて,「階段の向こうの庭にカフェがあるよ」と教えてくれた.サンドイッチも売っていて,ラッキーにも昼食にありつけた.
傘を預かってくれた職員にソフィアセンターへの帰り方を尋ねる.「道路の向こうのパインツリーの向こうのロータリーの横のバス乗り場でトロリー2番に乗りなさい」バスはすぐに見つかった.そばの人に「どこでチケットを買えばいいか」尋ねると「バイミー」運転手さんだった.パンチの仕方やコインならバスの券売機で買えることなど教えてくれる.ずっとラッキーで来たのでほっとして,ソフィアセンターならアレクサンダル教会など目立つ建物なので見ていればわかるだろうと思っていた.なのに,さあそろそろ市街地らしいなと思う内,あっという間に通り過ぎて何だか郊外を走っている様子.渋滞でのろのろ走っていたバスが今やスピードを上げて快適に走行している.運転手さんは囲われた運転席の中にいる.後ろの女性にガイドブックの地図を見せて「今どの辺り」か聞いたがわからないと言う.「その地図は良くないわね」日本語の混ざった地図だから見にくいのだろう.「どこまで行きたいの?」「ソフィアセンターまで」「え?センターって何かわからないわね」急に周囲の乗客がブルガリア語で一斉にしゃべり始めた.「ツェントラルのことじゃあない?」「そうそう,セントラル」「私,助けてあげたいけど次でもう降りるから」「あなた,時間は大丈夫なの?」だれもバスを降りて戻れとは言わない.どうしよう.だんだんみんな降りて行き,とうとう最初の女性が「私が運転手に言っておいてあげるから.アレクサンダルで降りなさい.私の言うことわかる?」と言いながら降りて行った.運転手に何か話している.やがてトロリーバスは周回して市街地の方へ戻っていくようだった.列車の線路を越え,今度はアレクサンダル教会の金ぴかのドームが見えた.運転手もここだと合図してくれる.結局,50分間のバスツアーと相成った.

国立歴史博物館

海外アートギャラリー
海外アートギャラリーに行く.フランスの絵が多い.日本の浮世絵もある.浮世絵はこんな所まで来ているのか.当時ヨーロッパでは浮世絵は人気だったのだろう.
雨が上がったと思ったら,正さんが傘をトロリーバスに忘れてきたと言う.旅はまだ始まったばかりだし,この調子だとまだまだ雨は降るだろう.地下街でジャンプの折りたたみ傘を買う.ついでにと正さん気楽に財布も買う.まだ旅行の予算の目途も立っていないのに.現金が足りなくなったら又,両替しなくてはならないのに.
戻る つづく