2005年6月
フランス-1

6月5日(日) パリ リヨン駅,晴れ
エールフランスのバスを降りて荷物を渡してくれたおじさんに聞く.
Ou est la station de taxi?おじさんは黙って階段を指差して昇る,右,真っ直ぐと,手で示してくれた.にっこり笑ってメトロ路線図とパリの地図をくれた.階段を昇ってもう一度,若いスーツ姿の男性に聞く.Ou est la station de taxi?すると,Tern left...と英語で答えてくれた.メルシーと言って別れる.フランス語はまだ駆け出しだが,とりあえずフランス語で始めるのがおおむね好評のようである.ただし,私がフランス語ができないのもすぐにばれてるようだけど.
パリ空港シャルルドゴールからリヨン駅までのバスは24ユーロ,リヨン駅からホテルまでのタクシーは8ユーロ.ホテルはインターネットでとったけれど,とても狭い.ダブルベッドの他,テレビもシャワーもドライヤーも何でも設備は付いているけど,スーツケースを広げたら歩くスペースもないくらいだ.
6月6日(月) パリ 美術館めぐり,雨
ホテルの地下で10ユーロの朝食をとる.パンもチーズもフルーツも美味しかった.
一日中小雨が降ったり止んだり.ざーっとひどく降ってきたり,又すぐ止んだり.今日は美術館めぐりにしよう.美術館の共通チケット(カルトミュゼ3日間30ユーロ)とメトロの10枚回数券カルネを買って,市庁舎駅からコンコルドまでメトロに乗る.市庁舎にもメトロの駅にも2012年パリオリンピック誘致の広告が大きく出ていた.(私たちが日本に帰ってからロンドンに負けたことがニュースになった.)
オランジェリー美術館は2005年夏まで工事中で閉鎖されていた.モネの睡蓮で囲まれた部屋が見たかったのだけど.旅行案内には2004年夏まで工事とあった.看板の4に張り紙をして5に書き直したらしい跡がみえる.工事が遅れているのだろう.
ピカソ美術館に行く.美術館の中では,小学生の集団や大人の集団が1つの絵の周りに集まって先生の説明を聞いたり,何か答えたりしていた.


市庁舎HOTEL DE VILLE
オリンピック誘致


サントシャペル礼拝堂Ste-Chapelle


シテ島Ile de la Citeの西側の先端
6月7日(火) パリ,晴れ
オルセー美術館に行く.1900年に建てられたオルレアン鉄道の駅舎を利用した美術館で,モネ,マネ,セザンヌ,ゴッホ,ルノアール,ドガなど美術の教科書で見たことのある絵画が沢山ある.
昼過ぎセーヌ川沿いをシテ島に向かって歩き,ルイ9世が建てたゴシック様式のサントシャペル礼拝堂に行く.午後の光の中,一面のステンドグラスが輝いていた.
シテ島は島という言葉からイメージしていたのとは全く異なる.大きなビルやマンションが建ち並び,広い道路を行くと,セーヌ川を渡ったのにさえ気づかない.パリ発祥の地であり,パリの中心だ.ノートルダム大聖堂前にある地面の星印はパリゼロ地点を表していて,ここを基点にパリから何キロと距離を測るのだそうだ.
ノートルダムの前でゆりと待ち合わせる.ゆりは昨日からパリソルボンヌ大学に学会で来ている.5時過ぎに携帯に電話がかかってきた.正さんはドコモの国際携帯電話を借りてきている.着信にも費用がかかるが,日本での番号がそのまま利用でき,待ち合わせには便利だ.
夕食にはまだ間があるのでリュクサンブール公園に行く.かわいい花壇やその周りでくつろぐ人々を眺めながら,木のベンチに腰掛けて,一人フランスで暮らす娘との久しぶりの会話がはずんだ.木立の中からは楽団の演奏が聞こえてくる.レストランを捜してぶらぶら行くうちに,18世紀に再建された古い教会パンテオンが,大きなビル群の間に見えた.ここの地下祭室にはルソー,ユゴー,ゾラ,キュリー夫人などが眠っているということだ.

パリノートルダム大聖堂
Cathedrale Notre-Dame de Paris
6月8日(水) ベルサイユ宮殿,晴れ
ベルサイユ宮殿はすばらしかった.あまりゆっくりしすぎて,帰りのTGVの時間にぎりぎりになってしまった.RER高速郊外鉄道からメトロに乗り換え,ホテルで預けてあった荷物を受け取ってからタクシーでリヨン駅に行かなければならない.ゆりがメトロからホテルに携帯で電話をかけて,「あと10分でホテルに着くけど急いでいるのでタクシーを呼んでおいてほしい」と頼んでくれた.話は伝わっていたのに,私たちが着くまで電話はしてくれていなかったが,タクシーはすぐに来た.ところが,バスの前に割り込んだタクシーとバスの運転手の間でバトルが始まった.割り込まれたバスの運転手が前に詰めるので,タクシーのトランクが開けられない.タクシーの運転手は怒って何かわめいていたが,あきらめてタクシーを前に移動させた.ところがバスの運転手はなおもしつこく間隔を詰めてくるのだ.これにはそばで見ていた私たちもびっくりした.こんないじわるをしていたら,バスも結局前に進めないのに.これがフランス人かという光景を見てしまった.
しかし何とかTGVには間に合って乗り込めたのでとりあえず一安心.ぶどう畑をいくつも越えて,列車は3時間後にエクスの駅に着いた.ここでレンタカーを借りる.大型車は狭い道は走りにくいし,駐車も大変だからとのゆりの勧めでコンパクトオートマを予約している.Aクラスのメルセデスだった.
6月9日(木) エクサンプロバンス,晴れ
朝,ゆりとパンを買いに行く.一番近くの店でクロワッサンとバゲットを買った.朝食はヨーグルトとコーヒー.ゆりはエスプレソマシンを買っていた.一番下に水を入れ,コーヒー,フィルター,ポットを置いてねじで締め付け,火にかけると蒸気が上がって,蒸気の中にコーヒーが抽出されてくるという仕組みだ.さとうと牛乳をたっぷり入れて飲むとなかなかおいしかった.
キャデラッシュにゆりを送っていくが,そのままゆりのアパートへ帰ってきた.今日はコインランドリーで洗濯をしたり,マルシェで買い物をしたり,ゆっくりするつもり.ゆりのアパートの上の階が空いていないので今回は10日間,ゆりの部屋に居候の予定だ.去年買ったソファーを広げてそこへ正さんが寝,私はゆりのベッドを使う.今年はホテル代が節約できそう.
さて,コインランドリーでは洗濯物と洗剤とお金を入れて,スイッチを入れるが動かない.隣のマシンに洗濯物を移し変えてやってみるがダメ.そばにいた若い男性が親切に見てくれたけれどわからない.家に帰ってゆりにマシンが壊れていたと話すとそんなはずはないという.結論は料金不足だった.2ヶ月前に2.45ユーロから3.45ユーロに値上げされて,マジックで2の上に3と上書きしてあったが,字が薄れて元の値段が浮き出ていたのだ.
昼食はマルシェで買った6ユーロのパエリエ.鶏肉,貝,えび,たこなど一杯入っていてとてもおいしかった.スーパーマーケット,モノプリで牛乳,ヨーグルト,トイレットペーパーなどを買う.午後になるとあんなに賑やかだったマルシェがすっかりたたまれて,広場はまるで別の場所のように見える.細い道は斜めで,少しずつ曲がって交差しているので,何度通っても覚えられない.正さんは夕食用のワインを買う.BANDOLのロゼ10ユーロ.これを見たゆりが「お父さん随分高いワインを夕食用に買ってきたねえ」と驚いていた.「ここらでは3ユーロのワインでも十分おいしいよ」スーパーではなく肉屋さんで買ったビーフと,トマト,えんどう豆を入れてトマトシチューを作った.ゆりがモッツアレラとトマトのサラダを作ってくれた.


エクサンプロバンスAix-en-Provence