2013年までの事故発生状況

 


 

グラフで見る最近のダイビング事故発生状況





■グラフの意味と背景事情へのコメント


上記1−3のグラフにある生存者の数字には、植物状態を含む脳機能障害、重度から軽度の麻痺の残存、意識不明で重体のまま追跡調査されずに生存と記録されている事例を含んでいる。

また2011年の事故減少は、津波の影響でダイビング行為そのものが減った結果と見られ、それ以降は、そのダイビングの為数の回復が全国的に十分でなかったことが、結果的に事故数減少の理由の一つになっていると見られる。

2013年は国内死亡・行方不明事故件数が対前年で減っているが、この年には一度の事故で複数人が遭遇する事例が前年より減ったことが影響していると思われる。
他に、通常なら死亡していた可能性が高いと思われる事例でダイバーが助かっている事例が見られた。

例えば通常なら死亡の可能性が高いと見られた事例の一つは、事故者が心肺停止となった際、現場に医師2人、看護師2人が居合わせ、彼らによる救急車が来るまでの対処、及び救急車による搬送途中に薬品を入手して医療行為を実施しながら病院へ引き継いだ事例である。
他に、事故から意識不明のまま入院していた事故者が、その後の状況追跡がなされないまま生存と換算されている事例があり、また、心肺停止、自発呼吸なしの状態となった事故で、現場の緊急対応が幸運にも適切(常に適切に対処される訳ではない)であったと思われる事例で助かったとみられる事例も複数ある。

これらの事実と、グラフ3が事故時の致死性が下がっていないことを示していることから、2013年の死亡件数が減ったことが、素直にダイビングの安全性が向上したためと即断すべきではないと思われる。

なお海外での事故事例のうち、特に死亡・行方不明事故数の推移の傾向は、ダイビングの事故が、ダイバーの活動に伴い、常に一定の割合で発生する常時性を有している可能性を示している。

ところで、現時点では未調査のため今回のデータに入っていない2014年のシーズンは、前半は特に重大事故が減っているとの聞き取り情報があった。
この状況の背景には、後述する同年2月のバリ島での日本人の漂流事故報道が、多数の新聞 (紙媒体やネット記事)に連日掲載されたこと、またテレビにおいても、冬季オリンピックの報道と同じ番組や同じ時間帯で集中的に行われ、こうしたことでダイビングに内包する危険が広く社会に知られる契機となったことがあったのではないだろうか。
こういった尊い犠牲がダイビング現場での安全意識向上を今まで以上にもたらし(レーダー反応型フロートに、事故後、過去にないほどの注文が入った−メーカー談−とのこと)、少なくともその年のシーズンに事故抑止効果をもたらした可能性が高い。

 


 平成27年6月14日
 

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