第十一管区海上保安本部調査資料
(平成11年11月5日提供)
以下の資料は、第十一管区海上保安本部が、実際に海上にて捜索の実験をして、どのセーフティグッズなら発見されやすいかを調査した資料です。海況・気象が最高の状況での実験ではありますが、単なる机上の理論ではない、実用的な資料として貴重なものだと思います。
なお、ダイバーが漂流しているときに、一人の場合は見つけにくいそうです。もし複数で漂流した場合には出きる限り固まっているようにして欲しいとの要望がありました。フロートについても、できるだけ多くに人が固まって大きな形にすると発見しやすいそうです。また、捜索中は太陽に向かっているときは海面の反射で見つけにくいそうです。先方の担当官の方によれば「漂流者の方が先に捜索隊を発見するでしょうから、その時にはフロートを立てるなどして合図して欲しい」そうです。
最後に防水無線の件ですが、「雑音がひどくて聞きにくかったと言っていた人がいた」そうです。もっとも、「雑音があって話している内容がわからなくても、電波を発していることそのものが役に立つこともあるのでは」というお話でした。
スキューバダイビング事故対策訓練で使用したセーフティグッズの視認状況について
泊港付近(大橋) | 七号岸壁 | 高度500Ft(直上) | 高度300Ft(直上) | |
ダイバー | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ |
レスキューフロート | △ | 〇 | 〇 | ◎ |
シグナルライト | × | × | × | × |
シーマーカ | △ | 〇 | ◎ | ◎ |
フィン | × | 〇 | × | ◎ |
視認状況: | 良好 | ◎ |
可能 | ○ | |
不良 | △ | |
不可 | × |
(1)ダイバーについては、人間が集まった状態であればある程度離れていても確認は可能。
(2)レスキューフロートは、垂直に立てた状態の方が遠距離からの視認状態が良好であった。
(3)シグナルライトは、昼間につき何れの状態でも確認は不可能であった。
(4)シーマーカーは、着色範囲が広がった状態(直径約5m程度)でないと遠くからの視認は困難。
(5)レスキューフロートを携帯していない時には、フィンを振ることにより視認性をかなり向上させる事が出来る。
※今回の訓練では、シグナルライトについては昼間であったため、確認出来なかったが、夜間については、遭難者が、光源を携帯する場合は発見される可能性ががなり高くなることから、携行を心掛けて欲しい。
レスキューフロートは、外洋で波が高い時にも発見を容易にするので可能な限り携行して欲しい。
シーマーカーは、太陽光の方向にもよるが、ある程度広がった状態(直径約5m程度)で発見を容易にする。
【参考】 当時の気象晴れ西の風4〜5m/sec視程良好 |
調査海域の地図
平成11年11月10日