平成12年3月25日 大瀬 男性(55歳)死亡事故


 この日、複数でダイビングを行っていた男性(55歳)が海面に浮かんでいるのが発見された。
11時54分に消防署へ連絡が行き12時8分に救急車が現場に到着。救急隊は、陸上に上げられて軽トラックの荷台でCPRを受けていた事故者を引き継いで病院に搬送した。救急隊が引き継いだ時点で男性は心停止、自発的呼吸なしの状態であった。病院搬送後、男性は死亡。
事故に遭った男性は、複数でダイビングを行っていたが、これが講習かファンダイブかははっきりしていない。またガイドが引率していたかも定かではない。ただ、男性が浮かび上がってCPRを受けている最中も事故者本人以外はダイビング中で、事故者の周りに誰一人として関係者がいなく、事故者が誰であるかすら不明であった。ただ、ある旅館の経営者が、自分のところに泊まっていた人ではないか、と事故者に関するメモを救急隊員に渡している。後に事故者がこのメモのとおりの人であったと判明した。
警察では、現在この事故を刑事事件として捜査中であるため、情報の公開はできないとのことであった。なお、警察もこの事故をマスコミには特に発表もしていないとのことである。

限られた情報の中で考えると、これが講習でもガイド付きのファンダイブでもなかったとしても、いかなる理由によるか知らないが、水中でバディシステムが守られていなかったことが事故発生の最大の原因ではなかったかと推定される。もし講習中か、ガイド付きのファンダイブであった場合は、業者側の安全配慮義務違反として事件となる事故であると思われる。
複数によるグループダイビングでも、実質的な単独ダイビングの危険性と、グループのメンバーがいなくなっているのにもかかわらずダイビングを継続しているという状況の恐ろしさを感じるものである。
なお、警察においてマスコミ発表もされていないという現実から、このままではこの事故が「なかった」ことになってしまうのではないかと危惧するところである。


平成12年4月6日