平成14年の事故(改訂版)
(現時点で個人が知ることができたものだけに限られています)

重要:ダイビングの事故が、昨年調査したものよりさらに多く発生していたことが判明しました。
平成16年7月10日改訂版


ダイビングの事故で亡くなられた、全ての方々に深く哀悼の意を表します。
また同様に、事故によって深い苦痛を味わったり、また事故後も味わいつづけている方々の苦痛と悲しみに、ご同情申し上げます。


★ダイビングの事故は、新たに6件が判明しました。したがってこれまでに判明した平成14年の事故件数は44件となりました。追加された6件には、死亡・行方不明事故を2件含んでいます。

★この事例でもわかるように、私のような個人では常に全数把握することは困難です。つまりダイビングの事故は、表面に出ないままのものが実にたくさん存在するということです。

★これ以外にも事故がありましたら、情報のご提供をお願いいたします。


2002年、年間事故概要説明(事例分類上の種別記号の説明)


・〇は無傷など、△は比較的軽微な怪我・減圧症・入院など、▲は中程度から重度の怪我・減圧症・入院など。後遺障害等も含まれる(植物人間状態も含む)。●は死亡・行方不明など。それぞれのマークは1人に1個付与している。
・スタイルに「単」とあるのは、単独ダイビング、あるいは単独行動中、または単独状態に置かれたときに起きた事故のこと。
・スタイルに「反」とあるのは、イントラの安全配慮義務(注意義務)違反と思われるもの。
・スタイルに「自」とあるのはダイバーの自責と思われるもの(海況の判断ミス、無理なダイビングや病気も含む)。自分の意思による単独行動中の事故は原
則として全て自責と分類。
・スタイルに「業」とあるのはハイリスクの業務形態を取っていたと思われるもの。
・スタイルに「他」とあるのは、外部の人為的なミスによると思われるもの。
・スタイルに「不明」とあるのは、情報が少なく分類できないもの。
・「ファン」とはファンダイビングの略で、「イントラ」とはインストラクターの略のこと
・「-」は詳細が不明のため判断できず。


※自然条件による分類はしません。それは自然条件が悪いときは、本来ダイビングを中止すべきであるからです。
※「スタイル」の分類はあくまでも分類上の私見にすぎません。私が「反」と判断しても、警察が事件性なしと判断したものもあります。
※各事故の詳細は膨大になるので、後日別の機会に紹介したいと思います。(平成11年から13年分については、拙著「ダイビング事故とリスクマネジメント」(2002年 大修館書店)で紹介していますので参考にしてください)


※この事故情報は、事故犠牲者の苦痛を考え、興味本位で扱わないで下さい。これは、事故のリスクを直視することで皆さんの事故防止に役立るために活用してください。

※ダイビング事故とは、器材を装着してからエキジットを終了して器材を外すときまででありますが、減圧症などのように、時間が経過してから発症するものも含んでいます。

※ここでは、潜水による漁を行っている漁民の方の事故、フーカー式などの作業潜水の方、及びスキンダイビング中の事故は集計しておりません。

※事故の統計には、海上保安庁の記録、警察記録、救急隊の出動記録、他これに準ずるもので確認できたものだけを用いています。平成14年もここに計上している以外の事故も耳にしていますが、個人では前述のような確認ができないものがありましたので、それは統計から除いています。

※ここで紹介している事故情報は、あくまでこのホームページの管理人が個人で調査できたレベルに過ぎません。事故情報の内容には、調査・研究者が財政的にも物理的にも限界がある個人ででしかないことにによる全般的な制約があります。
 さらに個人であることの力不足だけでなく、事故の事実をないことにしたい各種の組織や人々の影響で協力を得られなかったり、事故や事故を生む背景に、このような調査・研究によって光があてられることをいやがっているある業者が、中心となってデマを流したり誹謗中傷を行っていることよって情報収集活動が妨害されていることもあり、得られた情報には限界があります。したがって実際には他にもいくつもの事故の事実が誰にも知られないままに、あるいは知らされないままに埋もれているものと思います。

※私の力が及ばないで不明となっているような事故の実態については、各指導団体や事故を調査している公益法人などに問い合わせてください。情報を公開する意思があればきっと公開してくれるものと思います。
 しかし匿名で事故情報を要求したり、また情報における個人情報に関した部分等、捜査に関する情報など、その他特段の事情がある情報は、その全てが提供・公開される訳ではありません。
 『特段の事情』の中には、捜査などに関するものなどを除いて、事故はなかったことにしたい、あるいはあることが知られたくない、業界との関係に配慮したいなどという、個人の、あるいは組織の『特段の事情』があるかもしれません。ただこれはあくまでも可能性の問題にすぎませんので、実際どうなのかについては私のような個人ではなんとも言えません。

※個人情報の管理について
  死亡事故やそれに準ずる事故の犠牲者のご遺族などによる正当な事情などを除いて、原則として事故の問い合わせにはお答えできません。基本的に事故を起こしたショップ名などについての公開を要求されてもお答えできません。

※以上のように、事故関係者のプライバシーの保護に関しては慎重に対処しています。これを踏まえて、事故防止のために、事故の事実を忘れないようにするために、多くの方からの事故情報のご提供をお待ちしています。

※過去の年度の事故事例紹介にも、このような前文の訂正の時間がないのでそのままにしておりますが、上記記述はそれらのページにも基本的に適用されます。


平成14年中の事故概要

   発生日 県名 ポイント 事故者 分類 概 要 結果 スタイル
1 1月5日 静岡 富戸 女(42) 不明 水深14mでレギュレーターが外れて溺水
2 1月20日 和歌山 串本 男(36) 講習中 インストラクター1人、ガイド3人、事故者含む客3人。事故者とそのバディは器材の準備に手間取っており、20分送れてエントリー。事故者は水中で気分が悪いと言って浮上。次第に呼吸困難となり意識を失って死亡 自(?)
3 2月10 静岡 富戸 女(31) 不明 ダイビングをした後、気分が悪くなり、ポイント近くにある自宅にたどり着くも倒れた。減圧症と見られた。
4 2月17日 和歌山 串本 男(38) 業務中 インストラクターが講習後、水中のメジャー回収に潜水し、浮上せず。海底で発見。死亡。 自単
5 4月6日 沖縄 読谷村 男(21,25) ファン 米軍人を含む軍関係者2人が沖合800m地点のリーフ上まで流されて漂流。通りかかったダイビング業者のボートに救助される。 ○○
6 4月20日 静岡 井田 男(40) ファン 水深35mまで潜って、インストラクターと3人で浮上していたが、事故者は途中で様子がおかしくなって沈んでいった。インストラクターはもう一人の客と浮上。事故者は死亡。窒素塞栓症とされた。人数比1対2。
7 4月28日 京都 舞鶴 男(60) 単独 事故者は友人1人と別々にダイビング中。行方不明となる。
8 5月4日 福井 越前町 男(60) 自己計画 事故者は友人2人とダイビングしたあと海面で溺水。病院へ搬送
9 5月1日 沖縄 座間味村久場島付近 男(53) ファン 前日からダイビングを行っていた事故者は、浮上直後に体調の不良を訴えた。搬送された診療所で減圧症の疑いがあり、自衛隊のヘリで沖縄本島の病院へ搬送された。
10 6月6日 沖縄 ハテ島灯台沖 女(18) ボランティア活動中 オニヒトデの駆除活動を行った後、船上で意識不明に陥り入院。疲労蓄積による痙撃発作(過去2ヶ月間無休で、1日平均3本の潜水)だった。
11 6月23日 鹿児島 鹿児島本港 男(55) 自己計画 23日深夜零時過ぎ、単独のナイトダイビング中の事故。午後2時半ころ水深18mの海底で発見。 自単
12 7月13日 和歌山 白浜町 男(19) 講習 人数比2(うち1人はイントラかどうかは不明)対7.客のうち4人が初心者。沖合い30mに行く途中に事故者を見失った。水深3mで発見。一時意識不明の重体だったが、その後回復。 反単
13 7月13日 沖縄 真栄田岬沖合 女(26) ファン 何人かで潜り、急浮上したあと、海面でマウスピースが外れて溺水。
14 7月17日 静岡 沼津市 女(47) 不明 救急車が現場に着いたときには事故者の意識はしっかりとしていた。
15 7月20日 静岡 脇の浜 女(20) 不明 沖合い約15mで溺水。救急車がついたときには事故者はテントの下で酸素を投与された。
16 7月23日 静岡 伊豆海洋公園 女(32) 不明 ダイビングポイントにレギュレーターを装着して潜水するときにパニックに陥った。救急車が着いたときに、意識は朦朧としており、手足の脱力感、頭痛、吐き気を訴えていた。
17 7月28日 静岡 伊豆海洋公園 男(33) 不明 沖合い約30mで潜水中、水温が下がったことでフィンが脱げてパニックになり溺水。
18 7月30日 沖縄 本部町 女(47) 講習 水深4.2mのところでマスククリアの練習中に溺水。浮上後海面で意識を失う。意識不明のまま病院に搬送されたが、8月8日に死亡。人数比1対2.
19 8月4日 沖縄 辺戸岬沖 男(35) ファン 単独潜水中にタンクの残圧がなくなって浮上し、岸にたどり着けず漂流。近くにいた漁船が発見して救助。 自単
20 8月7日 静岡 吉田 男(27) 不明 日中にダイビングをし、帰宅後気分が悪くなってめまいや吐き気、そして何度も嘔吐し、救急車を手配。
21 8月7日 静岡 大瀬 男(38) 不明 ダイビング後、上がってから気持ち悪くなってシビレが出た。脳梗塞と診断された。
22 8月10日 静岡 大瀬 女(29) 不明 ダイビング中に溺水。1ヶ月以上入院。
23 8月11日 静岡 伊豆海洋公園 男(45) ファン 伊豆海洋公園沖合い50m付近で仲間にはぐれて浮いているところを第3者に発見された。 不単
24 8月11日 静岡 神子元島 女(31) 不明 神子元島付近でダイビング中に負傷した
25 8月12日 沖縄 与那国島 女(40) ファン ドリフトダイビング中、事故者がパニック症状を訴えて浮上。インストラクターの男性が溺れている事故者を発見し救助。その後意識不明の重体が続いた。人数比4対10。 単反
26 8月16日 新潟 佐渡 男(37) ファン 事故者は経験はあるが初心者。講習と混載のダイビング。人数比1対8。事故者はダイビング中に意識不明となって、結局死亡。
27 8月17日 静岡 大瀬 女(48) 不明 潜水中、水を飲んだ。入院。
28 8月23日 岐阜 手取川 女(24) ファン 地元の人は危険として泳がないポイントで、10人でナイトダイビングを行う。事故者が見えなくなり、水深1.2mの水底で発見。死亡。 自他単
29 9月1日 静岡 伊豆海洋公園 女(38) 不明 ダイビング終了後、引き揚げ中、海岸で波により転倒して負傷。
30 9月1日 静岡 伊豆海洋公園 男(44) 不明 ダイビング終了後、引き揚げ中、海岸で波により転倒。顔面蒼白で手足のしびれ、脱力感を訴えた。
31 9月1日 静岡 伊豆海洋公園 女(47) 不明 ダイビング終了後、引き揚げ中、海岸の波打ち際で波の影響で近くにいた人とぶつかって打撲負傷。
32 9月11日 沖縄 チービシ 男(28) 講習 人数比1対4での講習。事故者が気分が悪くなり海面で嘔吐。しびれもあり救急車にて病院に搬送。過呼吸と診断された。事故者は始めての潜水であり、海で泳いだのも10年ぶり。
33 9月12日 沖縄 西表島 男(52) ファン 水深約15m付近から浮上していたが、その後、船から約30m離れた海面で浮いた状態で発見されたが心肺停止状態だった。病院で死亡確認。人数比1対3。死因は「冠状動脈不全」とされた。 自単
34 9月14日 静岡 大瀬 女(31) 不明 ダイビング中に泳いでいるときに肩が外れた。
35 9月23日 静岡 八幡野 男(27) 不明 エキジット後、めまい、悪心を訴え、救急車を依頼。
36 9月29日 静岡 大瀬 男(51) ファン 人数比1対6で行われたファンダイビング。事故者は水深13mでレギュレーターの調子が悪いと合図をした。インストラクターは、他の5人を水中に待機させたまま、事故者を潜水開始地点下の水深13mまで引率していったが、途中で水中のダイバーのもとに戻っていた。その間に事故者は海底に沈み死亡。死因は心不全とされた。 反単
37 9月29日 福井 小泊 男(28) 自己計画 魚つきのため単独ダイビング。定置網に引っかかり溺水。死亡。 自単
38 10月14日 徳島 牟岐大島 女(29) 自己計画 人数比2対5.水深8mで20分の潜水のあと、海面でぐったりとなった。港に向かう途中に意識を失い、死亡。事故者の経験6回(本?) 不単
39 10月20日 沖縄 石垣島 女(37) ファン(?) 人数費1対4.残圧が少なくなったためガイドが一緒に浮上して船内へ。過呼吸で病院へ搬送。
40 10月26日 沖縄 恩納村 女(24)
男(25前後)
自己計画 米軍人2人でファンダイビング中、沖合いに流されたが溺れ、ホテルのボートに救助されたが男性が死亡。 ○●
41 11月13日 静岡 初島 男(31) ファン 事故者は、インストラクター等5名とともにダイビングを行っていたが、ガイドロープに沿って浮上途中に行方不明となった。仲間らで捜索したところ、付近の海上で発見したが意識がなかった。 反単
42 11月24日 北海道 幌武意 女(30) 講習 プール講習もせずに、ドライスーツで直接海洋実習を行う。講習はダイビング禁止海域で行われた。コースディレクターのオーナーは他の客を案内し、事故者は非常勤のインストラクターと1対1で講習を受けた。事故者は前日の講習は体調不良で午後の分を中止していた。事故者はこの日マスククリアの失敗によって溺水した。インストラクターは1人で対処できず意識不明となる。そのまま入院し、その後12月2日に死亡。
43 12月10日 沖縄 本部 男(16) 体験 修学旅行中、人数比1対2で体験ダイビング。溺水。救急車で病院へ。
44 12月21日 沖縄 座間味 女(58) ファン(?) 水中でエア切れ。空気が切れるまでインストラクターが気づかず。急浮上で意識不明。肺水腫と減圧症

※下記の参考事例は、インストラクター訓練中の事故でありますが、潜水器材を外しての息ごらえ潜水訓練における事故ですので、事故統計には入れません。

参考 8月11日 沖縄 恩納村前兼久 男(20) 訓練 漁港内でダイビングショップの仲間数名と、インストラクター訓練の息こらえ潜水訓練中に溺れた。一時呼吸停止。入院。

※下記の参考事例は作業潜水後の事故とのことですが、レジャー潜水用の器材で、いわゆる作業潜水夫の作業ではない作業を行っていた可能性もあります。これ以上の詳細を知ることができなかったため、別枠で参考として掲示いたします。

参考 8月5日 静岡 富戸 男(29) 水深32m地点で潜水作業中に気分がわるくなった。エキジット後、救急車が到着したときには酸素を投与されていたが頭痛があった。

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平成15年6月8日

改訂版 平成16年7月10日