平成16年の事故
(平成18年5月上旬時点で判明した事例に限る)
※ここで紹介している事故は、私が調査してきた情報に、東京大学潜水事故調査委員会との共同調査によって得られた情報を併合した上で簡単にまとめたものです。なおこれまでの調査経験から、実際にはもっと多くの件数が発生していると考えられます。なおここでの評価などは私見です。
なお事故当事者以外の方からの個別の問い合わせにはお答えできませんのでご容赦ください。また申し訳ございませんが、事故当事者(及びそのご家族・ご遺族)と申し出られた方でも、ご本人確認をさせていただくことになりますのでどうかご承知おきください。
●-死亡・行方不明/▲-入院/△-救急車出動・自力で病院搬送(入院した可能性もある)/○-無事/■不明
発生日 | 県名 | ポイント | 事故者 | 分類 | 概 要 | 結果 | |
1 | 1月1日 | 沖縄 | 恩納村 | 男(●41、●54、47) | ファン | 米軍属の3人は、高波にもまれて沖合いに流された。1人は自力で浮上して海岸まで泳ぎ着いたが、41歳の男性と51歳の男性が死亡。現場は潮流が早く、地元のダイバーも近づかないところ。 | ●●○ |
2 | 1月3日 | 静岡 | 宇久須 | 女(28) | ファン | 水深13mの海底で事故者が意識喪失。直ちに浮上させて人工呼吸を実施し、救急車で病院に搬送。軽度の溺水。1週間程度の入院。 | ▲ |
3 | 2/29 | 福井 | 敦賀港金ヶ崎 | 男(60) | ファン(ショップは?) | 事故者が浮上時に「助けてくれ」と叫びながら沈降。溺死。 | ● |
4 | 3月18日 | 沖縄 | 北谷 | 男(20-24)、他男17人年齢不詳、他9人は性別年齢不詳 | 講習中 | 事故者等、米海兵隊員18人はCカード取得目的で潜水。時化で講習が困難となり、漂流と自力で岸に泳ぎ着く。波浪注意報を無視。 | ○×24 |
5 | 3月21日 | 北海道 | 羅臼 | 女(30) | ファン | 人数比1対4。イントラが事故者を見失った。レギを口から外した状態の事故者を発見したがおう吐物による窒息死。 | ● |
6 | 3月21日 | 和歌山 | 串本 | 女(30-34) | ファン | 事故者に船長が気づかずボートを前進。事故者はイントラに救助されたが、右大腿部裂傷などで約1ヶ月の重傷。 | ▲ |
7 | 4月18日 | 勝浦 | 男(35-39) | 業務 | 事故者はショップの支配人。水深約24mのブイの錨を外す作業を約15分実施し、十分な減圧潜水を行った後海面まで浮上したが全身に痺れ及び吐き気をもよおす。 | ▲ | |
8 | 4月24日 | 沖縄 | 粟国島 | 男(23、33) 女(29) |
ファン | 2対1で潜水。浮上後にボートが転覆しており、船長は転覆船に乗ったまま漂流。ダイバー達は自力で島に泳ぎ着く。後に発見した船長は死亡。(船長は非ダイバーのため事故者とカウントせず) | ○×3 |
9 | 5月23日 | 徳島 | 海部郡麦町 | 女(50-54) | ファン | 人数比1対1。事故者が浮上中パニック。溺水の疑いで入院。事故者は濁った海水に不安を抱いてパニックになった。 | ▲ |
10 | 5月30日 | 沖縄 | 慶良間 | 女(50) | ファン | 船長が半ズボンのすそをクラッチに絡ませてボートを後進させ、船尾付近にいた事故者が左眉裂傷、前顎部に裂傷、左手首の骨折、左肋骨の骨折等などを負う重傷。 | ▲ |
11 | 6月3日 | 静岡 | 富戸、伊豆海洋公園 | 男(60) | ファン | 事故者が潜行用ブイで待機中に溺水。別のイントラが水深2mの海中に身体を仰向けにして沈んでいく事故者を発見。救助。海面で人口呼吸を行ったところ自発呼吸を開始。救急車内で意識を取り戻し病院へ搬送。 | ▲ |
12 | 6月6日 | 静岡 | 富戸、伊豆海洋公園 | 男(49) | ■ | ダイビング後、シャワーを浴びている際、めまいがし、救急車を要請。救急車到着時事故者は自分で酸素投与をしていた。回転性めまいを訴え、眼振が有り、瞳孔左右縮瞳していた。 | △ |
13 | 6月19日 | 静岡 | 富戸、伊豆海洋公園 | 女(34) | ■ | 事故者は波にもまれ負傷。救急車到着、左膝部が変形し痛みを訴えた。 | △ |
14 | 6月21日 | 沖縄 | 西表島 | 女(45-49) | ファン | 人数比2対4。事故者が10mから浮上。喉に違和感を訴え、自力で病院へ行く。呼吸器系に軽い障害が見られ1週間程度入院。 | ▲ |
15 | 6月26日 | 静岡 | 宇佐美 | 男(30) | ファン | 人数比1対5。水深約2mで事故者が息苦しさから浮上速度を速める。事故者はパニックとなっり溺水。 | △ |
16 | 7月3日 | 和歌山 | 串本 | 男(28) | ■ | 事故者は水深5m付近でパニック。減圧症の疑い。 | ▲ |
17 | 7月9日 | 沖縄 | 伊江島 | 性別年齢不明 | ファン | ダイビングを終えた潜水客を乗せてボートを発進させる際に、取り外し式はしごが水流で移動して潜水客に接触し、客が前頭部裂創の怪我。 | △ |
18 | 7月11日 | 静岡 | 伊豆海洋公園 | 男(35) | ファン | 潜水してこない事故者がブイにしがみつきレギ呼吸。BCの肩口排気バルブから空気が漏れて浮力が保たれなかったことからパニック状態。戻る途中レギを外し溺水。 | △ |
19 | 7月17日 | 仲ノ御神島 | 男(40-44) | ファン | 事故者は太ももがつり、バディに知らせずに単独で浮上。漂流。近くでダイビングをしていた他のショップのボートに救助される。 | ○ | |
20 | 7月18日 | 静岡 | 脇の浜 | 女(42) | ■ | 事故者は水深約17m付近で左前胸部の痛みをバディに訴えた。橈骨動脈不触、ショック状態。 | △ |
21 | 7月21日 | 北海道 | 余市島泊海岸 | 男(36) | ファン | 事故者は単独ダイビング。後に発見されたが検視結果は溺死。発見時レギを外していた。 | ● |
22 | 7月23日 | 愛媛 | 南宇和郡 | 男(21) | 講習中 | 1対1でダイビングの練習中、指導者が事故者を見失う。後に水深約18mの海底で発見。溺死。 | ● |
23 | 7月24日 | 沖縄 | 辺戸 | 男(35) | ファン | 事故者は車を海岸に残し行方不明。車中には潜水器材あり。 | ● |
24 | 8月1日 | 静岡 | 伊豆海洋公園 | 男(30) | ファン | 事故者とバディは他の者たちと離れて単独でエキジットポイントに向かったが、エア切れで急浮上。 | △ |
25 | 8月7日 | 静岡 | 伊豆海洋公園 | 男(34) | ファン | 事故者の同僚等2人が水中で事故者のウエイトベルトの締め直しをしていたところ、事故者のレギが口から外れているのを同僚等2人が発見。死亡。 | ● |
26 | 8月8日 | 神奈川 | 葉山 | 男(40-44) | ファン | 事故者は単独潜水。後に水深約4mの海底に仰向けに沈んでいる事故者を発見。 | ● |
27 | 8月9日 | 静岡 | 大瀬 | 男(40) | ■ | 事故者はめまいと吐き気を訴え、潜水病(減圧症)の疑い。 | △ |
28 | 8月13日 | 京都 | 久美浜 | 男(53) | ファン | 準備が遅れた事故者がボートから約30m離れた付近に浮上、ボンベを下にして海面に仰向け状態で浮く休息の姿勢をしていたことから仲間が気にせずにいたがそのまま死亡。 | ● |
29 | 8月15日 | 静岡 | 大瀬 | 男(43) | ■ | 事故者はダイビングをしていてフィンが外れて浮上、溺水。3週間以上の入院が必要と見られた。 | ▲ |
30 | 8月22日 | 静岡 | 井田 | 男(44) | ■ | 事故者はインストラクターを含む仲間5人とダイビング。水深2mから急浮上し、気絶溺水。 | ▲ |
31 | 8月22日 | 静岡 | 菖蒲沢海岸 | 男(47) | ■ | 事故者は溺水。 | △ |
32 | 8月29日 | 福井 | 丹生郡八ツ俣沖 | 男(41) | ファン | 事故者は水中スクーターを使用してダイビング。海岸に戻った友人2人は事故者を見失っていた。その後、仰向け状態で浮いている事故者を発見。溺水した考えられる。 | ● |
33 | 9月4日 | 静岡 | 八幡野 | 女(46) | ファン | 事故者の頭上から潜行してきた仲間のフィンが事故者のマスクとレギに接触、両方とも外れてしまったため海水を飲み込み溺れた。病院に搬送。 | △ |
34 | 9月4日 | 福井 | 立石(タテイシ)市 | 男(64) | ファン | 人数比2対4。事故者が異常のサインを出したのでイントラ2人が浮上させたところ事故者は嘔吐し、意識を失った。心不全に起因する呼吸困難を起こしたと推定され、1-2週間の入院。 | ▲ |
35 | 9月5日 | 佐賀 | 鎮西町 | 女(23) | 講習中 | 人数比1対2で講習。事故者は自らレギを外す。その後事故者は病院の集中治療室で治療。 | ▲ |
36 | 9月8日 | 沖縄 | 慶良間 | 男(52) | ファン | 人数比1対6。ショップ経営者が事故者を見失う。水深15mの水中でレギが外れた状態で発見。死亡。 | ● |
37 | 9月11日 | 静岡 | 神子元 | 男(25-29) 女(30-34) |
ファン | 人数比1対5でドリフトダイブ。客5人は潮流の影響で両手で岩塊に掴まる状態。3人のみが浮上、2人が浮上せず行方不明。 | ●● |
38 | 9月12日 | 静岡 | 大瀬 | 女(30-34) | ファン | 人数比1対5。事故者は体調不良で浮上したが、溺水した。ガイドは事故者から離れて他のダイバーをガイドしていた。 | ● |
39 | 9月12日 | 兵庫 | 竹野町 | 女(32) | ファン | 事故者はショップのナイトダイブツアーに友人と参加。緊急浮上の練習時、異常をきたした事故者をイントラが浮上させたが既に意識がなかった。死因は心不全。 | ● |
40 | 9月17日 | 沖縄 | 久米島町ハテの浜 | 女(47) | ■ | ダイビング中、レギが口元から外れた。自衛隊の急患ヘリにて病院へ搬送。肺水腫の疑い。 | ▲ |
41 | 9月19日 | 岡田港 | 男(45-49) | ファン | 事故者はフィンが外れて修復中にバディとはぐれ漂流。救助。事故者に怪我なし。 | ○ | |
42 | 9月25日 | 静岡 | 雲見 | 男(30-34) | ファン | 人数比2対5で潜水。客1人の残圧が少なくなったのでイントラ1人が引率して浮上。残るイントラは潜水を中止せず、そのまま客を洞窟に引率。初心者の客を見失ったことがわからず浮上。後に事故者は洞窟内で発見された。 | ● |
43 | 10月28日 | 神奈川 | 江之浦 | 女(62) | 講習中 | 講習を行っていた事故者のレギュレーターが外れて溺水。 | △ |
44 | 10月30日 | 静岡 | 大瀬 | 男(53) | ■ | 水深3mのところで溺水。救急車を要請。入院。 | ▲ |
45 | 12月23日 | 沖縄 | 下地島 | 男(35) | 業務 | 事故者(イントラ)が単独潜水後の減圧中、急に潜水器材を脱ぎ捨てて浮上、救助を求めた。救急車で病院へ搬送。 | ▲ |
46 | 12月26日 | 高知 | 柏島 | 男(24) | 業務 | 人数比2対1。オーナーが事故者のスタッフを見失う。30mの海底で発見。溺死。 | ● |
47 | 12月27日 | 静岡 | 宇佐美 | 女(40) | ■ | 潜水の1時間後に体調不良を訴える。原因不明。 | △ |
48 | 12月30日 | 沖縄 | 与那国 | 男(20-24) | ファン | 人数比2対12でダイビング。終了後事故者は腰が痛いとのことで船上で20分程度横になる。減圧症の疑い。 | △ |
49 | 12月31日 | 東京 | 八丈島 | 男(36、?) | ファン | 事故者がエキジット場所を間違い、波にあらわれた。 | ○○ |
死亡・行方不明事故件数 16件 死亡・行方不明事故件数発生比率 32.7%
死亡・行方不明人数 18人 死亡・行方不明者比率 23.1%
生存人数 60人(※但し全員が後遺障害もなく完全な健康体であるとは限らない。重度の後遺障害を負った人もあるかも知れないことを理解しておくこと。)
平成18年5月3日
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