危機一髪の助かった話


 平成16年に、某所で発生した事故が、あるインストラクターの機敏な対応によって人命が救われた事例を紹介します。

 某日午前10時すぎ、某ビーチのエントリーポイントから、あるパーティが7人でエントリーを行った。しかし波が大きいために全員でエントリーすることができず、男性一人がシュノーケルで海面を移動して先行し、約40メートル沖合にあった潜行用ブイで待機することになった。
 某ショップのインストラクターK氏は、この事故者とは別のグループだった。
 彼は客1名を引率し、事故者と同じグループがエントリーを行っている間に同じく開始し、潜行用ブイに到着した。そして潜行を開始しようとしたところ、水深2メートル付近に仰向で海底に沈んでいく事故者を発見。その様子に異常を感じ、客を海面で待機させて、ただちに潜行した。そして水深4メートルの海底にシュノーケルをくわえたまま沈んでいた事故者に接近、ゆらしてみたところ反応がないため、即座にかかえ上げて浮上した。
 浮上すると事故者のマスクを外して状態を確認した。すると自発呼吸がなく瞳孔が開き気味であったため、人工呼吸を5〜6回実施した。すると自発呼吸を再開したので、エントリーポイントの南側にある海岸まで搬送した。そして周囲のダイバーに協力を求め、午前10時30分頃救急車に引き継いだ。
 事故者の男性は、午前11時すぎ、搬送先の病院で診断を受け、排水腫が認められる等したため、約1週間の加療が必要と診断された。

 この事故は、人数比が多いパーティで起こった事故を、正しい人数比でダイビングを行っていたインストラクターが異常に気付いて適切に対応したために事故者の命が救われた事例です。
 もしこのインストラクターが5人も6人も引率していたら、このようなことができたかどうか分かりません。そもそも沈んでいく人に気付かなかった可能性が高いと考えられます。
 このインストラクターと、正しい人数比でのダイビングを販売したショップに拍手ですね。


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 平成17年6月4日