プロが犯罪者とならないための本と資料の紹介



プロに読んでほしい本

○専門書とその本の特徴

 1.「ダイビングの事故・法的責任と問題」杏林書院

 筆者の知る限り、日本で最初に一般向けに出版されたダイビング事故の法的問題を扱う専門書です。ただし文章が未熟すぎるので、それをご承知の上でお読みください。

内容では、この当時は判例集に掲載されていなかったサバチ洞窟事故を詳しく解説しており、これは現在でも唯一の本です。特に同事故を扱った「法医学の実際と研究」の論文に触れている資料はこれだけだと思います。元検事総長から序文もいただいています。

 ところでサバチ洞窟事故の判決は、本書出版後、上告棄却という最高裁の判断がなされ、現在はD1-Law.com判例体系という判例集に掲載されています。サバチ洞窟事故の裁判は、潜水計画の刑事責任について知ることができるきわめて重要な判例です。

 本書は、文章が未熟であってもダイビング事故を扱う法律関係の論文などで参考文献と紹介されることがあり、現在でも毎年一定数が購入されております。そのため年々出版社の残部が少なくなってきています。ただ専門性が高い本であるため、現在増刷の予定はありません。出版当時、海保から、全国の管区に一冊ずつ配布したと伺っています。

 国立情報学研究所所のデータベースによると、2014年現在、全国77の大学図書館に収蔵されています。

 

2.「ダイビング事故とリスクマネジメント」大修館書店

 某所での二人同時死亡事故の後、地元海保でこの本を教科書にして、地元業者に講習会を行ったと伺っています。また事故が多い某地区の警察では、有罪立件のための参考図書として現在も役に立っていると伺っています。それとダイビング事故を扱う弁護士に連絡すると、多くの方々から参考にしたと伺っています。静岡漁連では出版当時、各漁協(ダイビングポイントを管轄)に対してこの本を文書で紹介していました。また本書は日本図書館協会の選定図書にも選ばれています。

 この本も毎年一定数販売がされていますが、専門数が高いため、在庫がなくなっても現時点で増刷の予定はありません。

 元検事総長と、近年文化勲章を受けられた学者の方からの序文をいただいております。

 国立情報学研究所所のデータベースによると、2014年現在、全国73の大学図書館に収蔵されています。

 

3.「商品スポーツ事故の法的責任」信山社

 商品スポーツ論を提唱し、水域、陸域、空域のこれら商品スポーツの事故の法的責任を扱った日本で(筆者が知る限り世界で)最初の本です。2009年には、この本の商品スポーツ論が採用されたスカイダイビング事故の損害賠償裁判で、約1億800万円の賠償が命じられた判決が出ました。

 本書で扱っている事故と裁判事例は、水域では主にダイビング、陸は散策登山(ツアー登山)、空はパラセーリング・熱気球などです。引用文献も多数紹介されています。

 元広島と宮城の高裁長官だった方より序文をいただいております。また出版委員会のメンバーには、BPO初代理事長が参加されています。

 国立情報学研究所所のデータベースによると、2014年現在、全国85の大学図書館に収蔵されています。

 

○○○実用書とその特徴解説 

1.「忘れてはいけない ダイビングセーフティブック」太田出版

 ダイビングの事故者(死亡や重度後遺障害受傷者)の事例を、一般の方々が読みやすいように紹介した本です。事故の実態を身近に知ることができる本です。女性ダイバーにとって有用な情報も掲載されています。本書には、事故の捜査に当たる側の方々も興味を示しています。

 本書では、望まれるトップレベルの基準となる講習の紹介がされています。

 

2.「リキッドエリアの幸福―誰にでもできる安全ダイビングの手ほどき」成山堂書店

 フルカラーのきれいな本で、一般ダイバーやこれからダイビングを始めたいという方々に向けての安全ダイビングの手引書です。そしてこれはダイビングサービスを受ける側の視点で書かれた本であり、業者の方にとってはサービス向上のヒントとなります。また一般の人が安全に配慮された本物の内容のサービスを受けるための判断材料ともなり、優良サービスを提供する業者の方にとっては、優良とは何かを説明するために役立つ本です。現状では簡体字版のみですが、後ろのページから4分の1は中国語版にもなっています。

 なお本書は、事故を捜査する側からも、業者の法的責任についての判断をする際に役立つ部分があると興味を持たれています。


平成26年1月29日

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