1998年から2000年5月までの海外での事故
(資料提供:外務省)


 これからご紹介する、海外における日本人のダイビングの事故の資料は、外務省が、私の研究テーマである、ダイビングの事故を防止するための情報公開という主旨と活動に賛同してくださり、この度、データベースで用意していない情報である、以下の内容を集計して提供して下さいました。
 以下のデータは、2000年6月19日に提供いただいた情報からまとめたものです。
 この夏、海外でダイビングをする方は、これを見て、決して油断せずにダイビングを楽しんできてください。
 1997年以前のデータは、「ダイビング生き残りハンドブック」(太田出版)に掲載してありますので、それをご覧下さい。そのデータも外務省が提供して下さっています。
 なお、ダイビングの事故などの情報は、外務省でも残念ながらその全てが捕らえられているわけではありません。例えば以前、私がハワイのサウス・シーズ・アクアティックスというダイビングショップで事故にあって入院し、入院費用も含めて業者から強引に泣き寝入りさせられた事故(「ダイビング安全マニュアル」「ダイビング生き残りハンドブック」に詳しく出ています)も、現地ショップの狙い通り、結局、現地の領事館の記録に残らないようになってしまいました。したがって、海外でのダイビングの事故の実態は、これ以上であることを頭に入れておいてください。私が知っているだけでも、2年前の紅海での日本人男性(福井県出身の20歳代)の死亡事故は記録に残っていません。私がエジプト大使館に確認してもこの事実の回答は得られませんでした)の事故も捕らえられていません。
 しかし、そのような中、外務省が世界中のデータから、このような検索をしてくださったことは、一般ダイバーの保護に対する強い意思の現れだと思います。私は、この情報公開への積極的対応に、深く感謝するものであります。


ダイビングの事故

地域 日付 内容 結果
死亡 行方 不明 ●)
重傷 ▲、 軽傷 △)
(大きな異常なし〇)
不明 ?)
フィリピン 1998/10/6 マクタン島 沖において、邦人男性 (41歳)が ダイビング中に 行方不明
インドネシア 1998/3/25 バンカ 島 沖合 いにおいて、邦人男性潜水後行方不明となり、水死体で 発見された
インドネシア 1999/2/5 ヌサ・ペニダ 島付近 において、 邦人男性 (32歳)がダイビング中に行方不明となったが、 翌日 地元 により 無事救出された
スリランカ 1998/7/11 モルディヴにおいて、邦人女性 (26歳 )が 水中から 浮上中にスピードボートのスクリューに 巻き込まれ 重傷
マレイシア 1999/7/4 ジョホール プラン・アウル(アウル島)において、 邦人男性(53歳)がスクーバダイビング中に死亡
フィジー 1998/9/28 ビチレヴ島南方のバツレレ島において、 邦人女性がダイビング中に 行方不明
オーストラリア 1998/11/30 ロットネス島沿岸 において、邦人女性がダイビング 意識不明 ▲→?
オーストラリア 1998/12/2 エクスマスにおいてナイトダイビング中 邦人女性 行方不明となり、 後日遺体 発見された
オーストラリア 1998/12/27 ロットネス島において、 邦人女性が 行方不明 となり、まもなく 海面かんでいるのが発見されたが、 意識不明の重体であり、 後日脳死と判定された
オーストラリア 1999/12/15 シドニー 郊外のマンリー 地区シェリービーチにおいて、ダイビング中の 邦人女性が行方不明となり、 後日 遺体で発見された
パラオ 2000/5/8 ペリリュー 島ジャーマン・チャンネル付近において、ダイビング中の邦人男性が行方不明となった
米国 ベイコク
(ハワイ)
1998/2/12 マウイにおいて、 邦人男性 (42歳)がスクーバダイビング中に行方不明
米国 ベイコク
(グアム)
1999/3/13 グアム島において、 邦人女性(62歳 )がダイビング中に意識を失ったが、インストラクターに救助され病院に 収容された △→?
米国 ベイコク
(グアム)
1998/11/3 アブラ 湾沖のダイビングサイトにおいて、 邦人男性( 50歳)がダイビング中具合が悪くなり、 水面に浮上したところ、 鼻血が出ていたたため病院に収容
サイパン 1999/5/11 サイパン島において、 邦人女性(53 歳)がダイビングを 終えボートで 接岸後 歩行不可能となり病院に収容 された(減圧症との診断) △→?
サイパン 1998/9/30 サイパン島北部のグロットにおいて、 邦人男性( 38歳 )がダイビング中に意識不明となり、インストラクターにより 救助され、 病院に 搬送されたが、 死亡
サイパン 1999/6/6 サイパンにおいて、 邦人(28)がダイビング 終了後、スノーケル、 素潜りを 繰り返しているうちに 溺れ、インストラクターに救助されるも 病院収容後死亡

1998 1999 2000(5 まで)  
地域
フィリピン 1                       1      
インドネシア         1     1         1     1
スリランカ   1                       1    
マレイシア         1               1      
フィジー         1               1      
オーストラリア 2 1     1               3 1    
アメリカ 1   1       1           1   2  
サイパン 2           1           2   1  
パラオ                 1       1      

6 2 1 0 4 0 2 1 1 0 0 0 11 2 3 1 17

死亡率→

64.7% 11.8% 17.6% 5.9%  

 


参考:スノーケリング中の事故

地域 日付 内容 結果
死亡 行方 不明 ●)
重傷 ▲、 軽傷 △)
(大きな異常なし〇)
不明 ?)
フィリピン 1998/3/27 カピラオにおいて、邦人男性(66歳)が、スノーケリング中に溺れ、病院で死亡
フィリピン 1998/10/17 ボラカイ島において、邦人男性(49歳)がスノーケリング中に遭難し、現地救助隊により救出された  
フィリピン 1999/10/7 ボラカイ島において、邦人男性(44歳)がスノーケリング中に溺死
タイ 1998/8/22 プーケット島ダイヤモンドクリフホテルのプライベートビーチにおいて、邦人男性(45歳)がスノーケリング中に溺死
米国
(グアム)
1999/2/25 タモン湾において、邦人男性(33歳)がスノーケリング中うつ伏せの状態で水面に浮かんでいるのが発見され、病院に収容されるも死亡

※スノーケリングも軽く考えてはいけないデータです。  


2000年6月19日、外務省提供資料「海外におけるスキューバ・ダイビング事故(1998〜1999)」より構成


平成12年6月20日  

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