ダイビング事故裁判事例一覧


「商品スポーツ事故の法的責任」に紹介されたダイビング事故裁判事例一覧

「商品スポーツ事故の法的責任」では、数多くの裁判例を紹介しています。
 こういった、実際に起きている事故の背後にあって長く被害者やその家族・遺族を苦しめている実態について、一般のダイバーの方やインストラクターの方々は情報を開示されていますでしょうか。
 なぜ、安全で誰でもできるとされ、事故はダイバーの自己責任と言い続けている方々がいる背景で、それと正反対の事実が大量にあるのか、そしてなぜそれらがなかったことにされて無視されなければないのか、これを隠すことでどんな利益を期待しているのか。またその最大利益授受者の陰で、いったい誰が一身に責任を負わされているのか、などについて考えてください。

以下は、「商品スポーツ事故の法的責任」で紹介されている裁判例です。
※詳しい内容や解説、また事件番号などは本書をご覧ください。

スクーバダイビング事故裁判
■現在は全く採用されなくなっている、間違った判断で判決が出された二つの裁判例
(A)初級者溺死事件
 (大阪地裁、『ダイビング事故とリスクマネジメント』)
(B)講習生エアエンボリズム(空気塞栓症)溺死事件
 (東京地裁、『ダイビング事故とリスクマネジメント』)

ダイビング事故の責任の根拠となっている、最高裁が示したプロの法的義務二原則
▼「常時監視義務」の原則 
  「たえず受講生らのそばにいてその動静を注視すべき注意義務」
(最高裁、『ダイビングの事故・法的責任と問題』)
▼「潜水計画責任」の原則
 「潜水計画の管理者として、第一次的にガイドダイバーとして責任を負う」(一審判決)
  「生命等に危険が及ばないように事故の発生を未然に防止するための措置をとるべき業務上の義務を負う」 (二審判決)
(那覇地裁、福岡高裁、最高裁、『ダイビングの事故・法的責任と問題』)

免責同意書を不当文書とする司法の見解
「身体及び生命に侵害が生じた場合にまで被告の責任を免除することを内容とする合意は、公序良俗に反し、無効である」
(大坂地裁)
「人間の生命・身体に対する危害の発生について、免責同意者が被免責者の故意、過失に関わりなく一切の請求権を予め放棄するという内容の免責条項は、少なくともその限度で公序良俗に反し、無効である」
(東京地裁)参照:『ダイビング事故とリスクマネジメント』、「スクーバダイビング裁判における五秒テストの提案」日本スポーツ法学会年報 第9号)


洞窟ダイビングにおける業者の義務を明示した内容
■サバチ洞窟事件
 潜水計画立案者は、「参加したダイバーに洞窟の状況を適切な方法で周知し、洞窟の危険性を説明し、参加したダイバー全員を十分監視できるようなチームを編成し、緊急時に備えて予備タンクを設置し、ガイドラインを張った上で出口がわかるようなマーカーを設置するなど、事故の発生を未然に防止するための措置をとるべき業務上の注意義務を負う」(福岡高裁、最高裁)

危険の予見についての判断の基点となる最高裁の判断
■東大ルンパール事件
「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挾まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。」
(最高裁)

ダイビング事故における法的責任
民事責任
■講習中の見失いによる漂流事故
(東京地裁)
■講習におけるインストラクターの常時監視義務違反
(東京地裁)
■講習における手抜きと、講習を行う場所の選定ミスの責任
(大阪地裁)
■技術レベルの異なるパーティにおけるインストラクターの責任
(京都地裁)
■ツアーガイドとツアー主催者の法的責任−1 潜水計画責任と危険の予見回避義務
  →ファンダイビングに参加した一般ダイバーが死亡した事件。(東京地裁)
■ツアーガイドの法的責任−2 潜水計画責任の根拠とその及ぶ範囲
(東京地裁)
■講習受講生の溺死事件(講習における溺死が、事故者の既往症が原因だとする主張が排除された事例)(大阪地裁)
 ○インストラクターの注意義務
 ○事故は講習とは別の海中散策中の出来事であったので、高度な注意義務はないという主張に対する判断
 ○鑑定意見書を出して、事故者の潜在性の心臓疾患という既往症が溺死を招いた原因であり、よって事故者の溺死とインストラクターの行動には因果関係はないという主張に対しての判断。
■ファンダイビング中のスクリュー巻き込み死亡事件(大阪地裁)

説明責任
■特別の危険性の告知
(東京地裁)
■ブリーフィングと説明責任
(東京地裁)
 →通常のブリーフィングの内容程度では説明責任は果たされたとは見なされない。

インストラクターと「指導団体」の認定責
■インストラクターの認定責任

アメリカにおける裁判と責任の所在の状況
@クンツ対ウィンドジャマー事件
Aタンクレディ対ダイブマカイ事件
Bフィゲロア対ナウイ事件


刑事責任
■【重要】アドバンスコース講習死亡事件
(最高裁、『ダイビングの事故・法的責任と問題』 )
■【重要】サバチ洞窟事件
(最高裁、那覇地裁 福岡高裁、『ダイビングの事故・法的責任と問題』)
■アドバンスコース中の講習生死亡事件 
(熱海簡裁、『ダイビング事故とリスクマネジメント』)
■八丈島ファンダイバー見失い死亡事件
■スクリュー巻き込み死亡事件(ボート上の見張りの注意義務違反)
■ファンダイビング中のパニックダイバーへのガイドの監督義務違反が問われた死亡事件(那覇地裁)
 ガイドの注意義務
 ○パニックになる要因とその認識
 ○ガイドは講習受講と最終認定を受けた者に対して監督と注視の義務はあるのか
 ○ガイドの補助者Bに対する指示の義務とは
 ○注意義務を果たす時間と距離の関係
■アドバンス講習中の講習生(受講生)見失い死亡事件
(清水簡裁)
■講習でファンダイビングを優先して行う形態での死亡事故
(佐賀地裁)
■ファンダイビング中の見失い死亡事件
 ○ファンダイビングにおけるガイドの責任
(鹿児島地裁)
■カスミ根事件
(那覇地裁、『ダイビングの事故・法的責任と問題』)

海難審判庁裁決と刑事判決の関係
■カスミ根事件
(高等海難審判庁)

海難審判庁裁決に見る、中止の義務
■旅客船ラ・トルチェ潜水者死亡事件
(高等海難審判庁)


平成20年6月17日

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