減圧症を呼び込むダイビング


 「ガンガン潜れるダイビング」、というキャッチフレーズを受けてダイビングをしている人はいませんか?
 休みの日や海外旅行で「ガンガン潜った」ことを自慢にしている人がそばにいませんか?こういった話はネット上でもときどき目にします。しかし、「ガンガン」は、レクリエーションダイバーにとってそれほどの勲章なのでしょうか?

 このようなダイビングを行ってダイバーが減圧症になり、約一ヶ月のあいだ治療となりました。その間、数週間もの入院となてちます。退院後も毎日数時間もの再圧チェンバーでの治療を受けた事故の事例があります。


●事故に至るまでの潜水ログ

  

最大水深

潜水時間

1日目

1

15.6m

42分

     
     

2日目

1

28.7m

30分

2

40.0m

27分

3

37.8m

24分

3日目

1

29.4m

30分

2

28.0m

37分

     

4日目

1

26.1m

41分

2

16.3m

34分

3

25.0m

37分

5日目

1

28.4m

31分

2

29.3m

32分

3

31.8m

24分

6日目

1

27.5m

27分

2

31.4m

26分

 2本目のエキジット後発症

 事故は、6日目の2本目のエキジットの時に発生しました。この中には何本ものドリフトダイビングも入っており、また安全停止を行っていないダイビングも行われていました。ログを見てわかるように、最初に深いところに潜水して、次により浅いところで、という基本さえされていません。

 ここの問題は、減圧症のリスクが高い役務商品を販売し、それを購入するダイビング文化にあると思います。
 この事故者が再圧治療を受けるために海上保安庁も出動しており、このようなダイビング文化のもたらしたものに膨大な税金が使われたことになります。
 この事故は、正しい潜水計画を実行するだけで未然に回避できることは間違いないのです。しかしレクリエーションダイビングの文化の中の一部にあるように、短期間に多くの本数を潜ることや、より深場に潜ったダイバーの自慢話を受け入れる土壌がある限り、またそのような意識付けを行う業者やダイビングマスコミがあるかぎり、なかなかなくなりません。

 ダイバーの皆さん、業者の皆さん、自慢のためのダイビングは、ダイバー当人にとってハイリスクであり、社会にとって迷惑であります。レクリエーションダイビングが、健全なリクリエーションとして定着するためには、まずダイバーの側でこのような意識を変えていくことが必要です。そしてこのような意識を受け付けようとしないショップやマスコミは一切相手にしないことです。


平成13年2月21日

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