死亡原因の第一位はダイバーの技量不足?


 某県の2004年に発生した講習中の死亡事故で、当時のインストラクターとショップオーナーが今年前半に書類送検されていましたが、10月末に地検が彼らを起訴しました。
 他にも、今年起訴されて複数のガイドが有罪になったファンダイビング中の事故、客二名の死亡事故でガイドが書類送検され、現在検察が捜査を行っている件もあります。さらに私が知る限り、警察などが捜査中の事故があります。
 他にも複数の民事裁判などが進行中、また準備中のようです。
 いずれもダイビングビジネスの最中の事故です。つまり、少なくとも有罪になった事件は、そのビジネスシステム上の欠陥によって発生した死亡事例と考えてもよいようです。万能のはずのインストラクターが有罪となるくらいですから。

 ダイビング雑誌で影響力が高い某誌の12月号が出ました。その雑誌の某ページで紹介している事故数は、本来把握できる事故人数で数十パーセントも少ない数字のみ(足りない数字を補完する努力は行っていない)の上、さらに事故者の「事故原因の1位は技量の未熟」としています。
 ダイバーの技量不足って、これは何故そのような人たちがダイバーになれているのでしょうか。また誰が彼らをダイバーとなるように指導して、“合格”としているのでしょうか。これは、手抜きの講習を行ったり、また講習そのものを満足にできないインストラクターを養成し、彼らの粗悪な講習を受けた客から申請料を徴収させて送金させ、それを認定して「認定ビジネス」を展開し、よって未熟な技量のダイバーを量産して利益を上げているビジネスシステム上の欠陥(製造物ならM社のガスヒーターやP社の製品のように直ちに全面回収となるような事故発生率を生み出す欠陥)の問題は存在しないのでしょうか?
 不思議な情報の作り方をしています。
 この状況は、この”調整”されたデータを信じたことによって生じる可能性のある、一般消費者たちの「正常化の偏見」の商業利用を目的としているかのようにも感じます。
 そのもたらす最悪の結果は、消費者という一般国民の死なのですが。 残念に感じます。

 ダイビングの事故は死亡や重度後遺障害にまで至ります。
 毎年年末にかけても死亡事故が発生しています。
 どうか事故数を甘く見ることのないように、安全で楽しくダイビングを行ってください。またぜひ、優秀なインストラクターを“発掘”して、その方々のビジネスを育ててください。それが皆さんを守る最善の方法の一つです。


平成18年11月15日

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