漂流事故とその生き残り対策につい

下記の内容は平成16年11月5日の第39回日本高気圧環境医学会総会での発表と11月18日の日本旅行医学会での講演で紹介したものからです。


過去5年間の事故に見る漂流事故の実態

平均で見ると、1回の漂流事故件数は全体の14.0であるが、人数では28.8%を占めることから、この事故を分析し、防止策を考えることが必要である。

平成11年(1999年)〜平成15年(2003年)に発生した事故から、漂流事故27件(91人漂流)の原因を分析する。

見失い:ボートに人がいて何らかの合図をした にもかかわらず見失われて漂流
未熟:潮目や天候の状況を予見することができ なかったり無視したことで漂流
無人:ボートが無人だったため漂流
単独事故者の単独、あるいは事実上の単独 ダイビングが原因と考えられる事例
イントラ見失いインストラクターが客を見失って 漂流していることに気づかない事例
  漂流事故はダイビング事故の中で唯一、助かるための時間的余裕がある事故である。
u 重要な問題は、漂流事故が発生しやすいドリフトダイビングや海況が悪いときのダイビングでは、急激な浮上などによって減圧症などを発症する可能性が高いということであり、この場合、できるだけ早く救助することこそが、ダイバーの命を救う唯一の方法である。

漂流事故対策

漂流事故は、その発生後ただちに発見すれば、「事故」化せずにすむ。
漂流者を捜索するには、フロートの装備(複数ほど効果が高い)が最低限必要であるが、それだけで不十分である。
発見のためのベストな方法は、漁船などが法律に基づいて装備しているレベルのレーダーで捜索発見を可能とすることである。←これまではそのような手段がなかった。


▼対策案:
1.ダイバー側もレーダーに感知されるための努力をすべき
  ⇒すでに実用化され市販されている、レーダーに反応する機能をもったフロートの装備によって実現可能
2.ダイバー、特にコマーシャルダイバーは、これを常時複数装備し、ショップはイントラと個別の客にそれを持たせる。


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 平成16年12月3日