海上保安庁の遭難者捜索における考
(協力:第三管区海上保安本部)


 現在、海上を漂流しているダイバーの捜索に関して、有効な手段として赤外線による夜間監視装置(熱感知装置)があります。これは、荒天のときや夜間に海上を漂流しているダイバーが発する熱を感知することによってそれを見つけ出すために役に立つものであす。実際、1999年に沖縄の真栄田岬にあるダイビングポイントで、米軍軍人が、レジャーとして夜間ダイビングを行って漂流し、地元の警察と米軍が出動した事故において、結果的に死亡はしましたが、米軍のヘリコプターが漂流していた事故者を発見したのが体温を感知して目標物を探す熱感知装置によるものでした。さらに1999年10月19日深夜に発生した漁船八号幸栄丸転覆事故のときに、静岡県御前崎沖で漂流者を発見できたのも、海上保安庁の特殊救難隊が装備している赤外線による夜間監視装置によるものでした。私が海上保安庁から提供を受けた、発見から救助に至る実際の記録ビデオ映像を見てもその効果は非常に高かったと言えます。この装置の詳細については、「警備上の配慮から(中略)従来から一切公表していない」(第三管区海上保安本部)とのことなのでここでは言及できませんが、海上での遭難・漂流者の捜索のためにも、その装備が広くなされていくことと、捜索のノウハウの研究がさらにされていくことを願うものです。

 以下の画像は、前述した事故において、実際に転覆漁船の船員2名が防舷物につかまって漂流しているのを赤外線による夜間監視装置によって発見したときの映像からです。(海上保安庁第三管区海上保安本部提供)


上記の写真を見てもわかるように、漂流中は自分の体以外にも何か大きな浮遊物などがあればそれと一緒にいることで発見の可能性が高くなるのではと思います。この点で、フロートなども効果的なグッズであるのではと思います。

(上記内容は、私の論文からです)

平成12年3月27日