イメージコントロール
情報操作から身と心を守ろう


今年もまた事故者、死亡・行方不明者とも平成16年に比べ減少という情報が流れています。
事実でしょうか。
次に私と東京大学潜水事故調査委員会の調査による事故件数を紹介します(実際はさらにまだたくさんあると思います。)。

平成16年と17年の事故発生状況の比較です。

これをご覧になって分かるように、一見、事故件数が下がって安全になっているかのようですが件数で2件しか違わず、さらに悪いことに死亡・行方不明事故件数は実に25%も増加しています。(死亡・行方不明人数では、平成16年は18人、17年は21人となっています。)

平成17年の死亡事故には、大手「指導団体」の講習中に死亡事故が起きながら海上保安庁に届けられなかった事例もあります。事故報告書は「指導団体」には上がっているはず(そうでなければ保険が下りないし、その「指導団体」のイントラには保険が義務付けられている。警察からも問い合わせがあるはず。)ですが、自ら海上保安庁には届けないのでしょう。この結果海上保安庁の統計データにはこの死亡事故は存在しなくなります。それは安全の宣伝には好都合ではないのでしょうか。
そして知らされていない海上保安庁のデータをのみ引用して、平成17年は16年より事故が減って安全になったというようなイメージの展開が図られているようにも見えます。
真実は、その致死性は平成16年から実に25%も悪化しており、平成17年は、ダイバーにとっては、より危険な年であったと見るべきでしょう。
こうした数字の背景にある意思を、ダイバーの皆さんは十分に思慮して、安全を最優先としてダイビングを楽しんでください。またインストラクターの方も、客だけでなく自分も十分な技量レベルにあるかどうかについてしっかりと疑って自己点検を行い、客に事実と異なる情報を出すことのないようにして、自分と客のために、十分に油断なく、注意してください。

なお今年の最高裁の判断でも、事故後、知らなかったことで責任が回避できることはない、つまり「無知は免責の要因たらず。」とされていることを頭に入れて今年のシーズンを送ってください。


平成18年5月3日

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