伊豆問題
平成12年のダイビングの事故については、今年の春頃に概要を公開するつもりですが、その過程で非常に気になる問題があります。
平成12年の事故数は、その件数でも、人数でも、平成11年より減少しています。その要因の一つとして、平成11年に全国2位の事故件数(多人数での漂流事故もあったので、事故者は第一位だった)沖縄では、サミット開催によって、夏の長期間に渡って、特に本島においてダイビングそのものが行われる回数が激減したこと、それと休みの日に、低気圧などでダイビング数が減ったことなどがあげられます。ダイビング数が減れば、当然事故になる件数も減ります。また平成11年に全国第3位だった和歌山県での大幅な事故減少が、全体の数字を押し下げた要因でしょう。
しかしそのような中、静岡県のみが、平成11年に全国一の事故数であったのにもかかわらず、平成12年も、その安全性が悪化してしまいました。以下に示す数字は、まだ試算ですが、これから春休みや卒業旅行などで、ダイビングをする人が、事故に遭わないような教訓としてもらえるよう願って、ここに公開します。
なお、事故としてカウントしたものは、最低でも救急車が出動したレベルとします。
●静岡県における事故の実態(以下は暫定値ベース)
1.事故者数
H12年事故者発生順位 | 1位 |
H12年事故者計 | 16人 |
H12年死亡者計 | 5人 |
H12年死亡率 | 31.3% |
H11年順位 | 1位 |
H11年の事故者計 | 16人 |
H11年の死亡者計 | 5人 |
H11年の死亡率 | 31.3% |
事故者増加率 | 0.0% |
死亡者増加率 | 0.0% |
ここから読みとれることは、全国で事故者数が減少している中で、静岡県では全く減少していないということです。
2.事故件数
H12年事故件数発生順位 | 1位 |
H12年事故件数計 | 16件 |
H12年死亡事故件数 | 5件 |
H12年死亡事故件数率 | 31.3% |
H11年順位 | 1位 |
H11年の事故件数計 | 10件 |
H11年の死亡件数計 | 4件 |
H11年の死亡事故件数率 | 40.0% |
事故件数増加率 | 60.0% |
死亡事故件数増加率 | 25.0% |
ここから読みとれることは、事故発生を件数で見ると、平成12年は、平成11年に比べて、実に60%も増加している点です。加えて死亡事故件数も25%増加しています。
平成12年に比べて全国で事故の件数が減少した平成13年、静岡県、というより実際は伊豆半島ですが、ここではダイビングを安全に行うための、業者と一般ダイバーの環境が、著しく悪化してきていることを物語っています。
このような事実を知りながら(間違いなく知っているはずです)、平成13年の幕開け前後で伊豆特集をしているダイビングマスコミでは、講習生や一般ダイバーのためにこの重大な事実を隠したままで、「楽しい」「安全」とうたって特集を組んでいるようです。
平成12年中、夏以降急激に事故が増えてきた中、伊豆半島では、直ちに手を打たなかったためか、このような結果となっています。
私は、この問題を、特に「伊豆問題」と名づけて、今後も注目していきたいと思っています。
平成13年2月2日
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