事故多発特異地域への懸念


 まだ11月でありますし、調査途中ではありますが、それにもかかわらず、どうしてもいたたまれずにこのようなコラムを発表することにしました。
 平成12年は、昨年の反省からか全国的に事故が少なかったのですが、今年前半、わずか5件に過ぎなかった事故が、7月1日以降、わかっているだけで(このHPでは全部の事例はまだ発表していないが)11月上旬まで(4ヶ月ちょっと)で20件も発生しています。このペースが1年間続くと事故が60件で死亡事故が30件と、昨年と変わらなくなってしまいます。
 今年の事故件数は、新潟県で昨年と同じく1件、新たに鹿児島で1件発生した以外は、1箇所を除いて全ての県で減少しているかゼロになっています。(最低でも救急隊が出動するレベルの事故以上に限ればです) これは大変に喜ばしいことです。先の1箇所を除けば。
 その問題の1箇所だけで今年の11月の上旬までの通算事故件数25件(うち死亡事故が14件)のうち、16件(うち死亡事故が6件)を占めています。実に全国の事故の64%をただ一箇所の地域で占めているのです。この地域では、7月1日以降で見れば13件の事故(うち死亡事故が4件)が発生しています。その日本国の事故多発特異点とも言える地域は伊豆半島です。この小さな半島だけで、日本全国の7月1日以降の事故の65%が発生しているのです。
 この伊豆半島のある静岡県は、昨年、あれだけ全国で事故が多発して、その中でも第一位の10件の事故が発生し、死亡事故が4件(5人)も発生した県ですが、今年は既に16件の事故と6件(6人)の死亡事故が発生しています。この地域だけは、昨年よりさらに大きく悪化しているのです。昨年でさえ多すぎたのにもかかわらず、その全国一の高い事故数をベースにしてさえ、事故発生”成長率”が160%となれば、もうこれは”異常”という表現を使っても全く問題はないでしょう。特に7月1日以降で13件の事故と4件(4人)の死亡事故があったのです。このペースを年間に換算すると、ただこの半島だけで39件の事故が起き、12件(12人)の死亡事故が起きることになります。
 今日のところは詳細な分析は除きますが、例え体験や講習であろうとも、ガイドの付く付かないのファンダイブであろうとも、とにかく、この地域でダイビングを行う場合は十分に注意してください。昨年も11月から12月31日まで事故が続いていたのです。
 そして、ダイビング業者の方々も一般ダイバーも、皆さん気をつけてください。また、伊豆半島のタンク業者の方々、例のクラックの入ったタンクの調査ですごい数字(具体的数字はあえてここには書きません)が出たことはタンク業界内でウワサになっているほどですね。万が一の事がないようによろしくお願いします。このような状況でタンクの破裂で死傷者が出てしまったら大変なことになるかもしれません。

 平成11年と比べてせっかく減った事故をこれ以上増やさないために、そして伊豆半島で亡くなるダイバーがこれ以上増えないように、その注意と対策を考えていただくために、あえて年の途中でコラムという形で情報を公開しました。
 
 ※この恐ろしい実態を知っているのに一切触れないダイビングマスコミには、商売向けの伊豆半島の特集を組んでばかりでなく、ぜひその裏で事故が多発していることをダイバー達に警告して欲しいものです(事実を曲げたり情報操作をしないで!)。そして一般マスコミには、この実態を徹底的に取材して注意を喚起して欲しいものです。


平成12年11月22日  

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