インストラクターやガイドが問われる法的責任の短信

下記の内容はここ数年のダイビング事故裁判判決を見た上で、インストラクターが問われている責任の内容の一部です。

 くわしく知りたい方は、「ダイビングの事故・法的責任と問題」(中田、杏林書院)と「ダイビング事故とリスクマネジメント」(中田、大修館書店)をお読みください。


 プロの法的義務二原則(商品スポーツ全体に共通)
▼「常時監視義務」の原則
  「たえず受講生らのそばにいてその動静を注視すべき注意義務」
最高裁判例から
「ダイビングの事故・法的責任と問題」(中田、杏林書院 平成13年) 76頁

▼「潜水計画責任」の原則

  「潜水計画の管理者として、第一次的にガイドダイバーとして責任を負う」
(一審判)
  「生命等に危険が及ばないように事故の発生を未然に防止するための措
   置をとるべき業務上の義務を負う」 (二審判)
最高裁決定(原審参照)から
(前掲 80頁)

ダイビングにおける安全配慮義務
「参加者との間の契約上の債務であると同時に、一定の危険を伴うダイビングツアーを営業として行い、これにより利益を得ている者として負うべき不法行為上の注意義務でもある」
(前掲 123頁)

免責同意書の有効性(商品スポーツ共通)
「公序良俗に反し、無効である」
(前掲及び「ダイビング事故とリスクマネジメント」76、83頁)

インストラクターが問われる法的責任(具体例)
@講習時の注意義務
A常時監視義務
B技術レベルの異なるパーティでの監督責任
C講習とファンダイビング混載のパーティ全体に対するメインインストラクターの監督責任
Dツアーガイドの法的責任:潜水計画に対しての責任
Eバディシステムには責任転嫁できない
Fツアー主催者会社(ショップへ下請けに出す会社)には法的責任がある
Gリスクに対する説明責任

刑事責任の整理
1.見失ってはいけない
2.事故発生時には直ちに救助する
3.安全に帰還できる潜水計画
⇒刑事責任が問われるかどうかは、すべてはこの三点が達せられているかに収束する


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 平成16年12月20日