免責同意書がインストラクターやショップにもたらすものの考察


※このページの内容は、あくまでも仮定の、個人的見解にすぎません。当然ながら、何ら公的なものではありません。


  ここでは、免責同意書が、はたしてショップやインストラクターにとって影響があるのかないのか、について、ちょっと考えて見ます。

 まず、免責同意書は、基本的に指導団体が印刷していますね。そして現場では、それを使って、ショップやインストラクターが講習生やダイバーに署名を求めています。
 これは次のような流れになります。

指導団体が作成して、その名称を先に印刷しておく

それに、ショップやインストラクター名を書き込む

講習生やダイバーは、それへの署名を求められる


 ここで、免責同意書の作成責任は指導団体にありますが、ショップやインストラクターは、それを知った上で講習生やダイバーに署名を求めています。
 ところが、重大な事故が発生すると、その免責同意書が公序良俗に反して(現在は消費者契約法に違反する)無効であるという判決もあるように、ショップやインストラクターが免責されるという効果は、一般に見られません。
 では、ここで何が起きるのでしょうか。
 それは、もし指導団体の基準やコンサルティングに問題があって事故が起きたとしても、プロであり、消費者契約法によって保護されないショップやインストラクターは、彼らが行う業務において、指導団体にいかなる責任もないとことを十分に認識した上で、その文書を使用したのだ、ということにされるのではないかということです。つまり、免責同意書によって、ショップやインストラクターが最終的な責任を一身に負うことになり、それによって、万が一、指導団体の"基準"や"コンサルティング"にまちがいがあったとしても、結局はショップやインストラクターが全ての責任を1人で負わされる可能性が考えられるのです。

免責同意書は誰に対して向けられているか
 そもそも免責同意書に対して、最終消費者(講習生やダイバー)が署名を求められる時、その消費者と指導団体は、まだ契約関係になく、消費者もその時点では、一般的に指導団体との直接な契約関係は求めていないのです。
 この時点で、指導団体と何らかの商売上の契約関係や代理人関係にあるのは、消費者に署名を求めているショップやインストラクターなのです。
 つまり、消費者が契約関係を望んでいない時点で、ショップやインストラクターが、消費者との契約に指導団体を介入させることは、ショップやインストラクターがそれを望んだとも言えなくはないという解釈も考えられるのです。とすると、指導団体の基準やコンサルティングに問題があって事故が起き、ショップやインストラクターが賠償責任などを負ったとしても、ショップやインストラクターが、これによって発生した損害について、指導団体に契約上の責任を求めても、指導団体はこれ(ショップやインストラクターがそれを望んだこと)を理由に、一切の責任をとらないと主張をする可能性が考えられます。
 ショップやインストラクターは、指導団体が定めた基準やコンサルティングに従って事業を行っているのが一般的です。しかし、指導団体が作った免責同意書を使っていれば、契約している業者のリスクマネジメント(免責ないしは減責が勝ち得る)ができると"指導"ないしは"コンサルティング"したことの責任はどうなるのでしょうか。
 過去の裁判や消費者契約法で無効であることが明らかであっても、それを十分に明示・説明せず、免責同意書の使用によって免責や減責されるという認識を業者に与えた時、その"指導"や"コンサルティング"が有効でなく、業者の免責や減責に有効でなかった場合、その"指導"や"コンサルティング"の間違いについて、指導団体が、ショップやインストラクターから追求される可能性はないのでしょうか。

 あくまでも話の上での可能性に過ぎませんが、結局、免責同意書によって、最も確実に利益を受けているのは、指導団体だけなのではないでしょうか。

指導団体
基準やコンサルティングに問題があっても、責任はとらない
(責任の分担はしない)

(免責同意書によって事業リスクから免責されるとする)
(消費者契約法は事業者間の法律ではない)
×


(指導団体に責任の分担を求める)

ショップやインストラクター
基準などに問題や欠陥があったとしても、全ての責任を負う

(免責同意書は消費者に対しては効果はない)

消費者(ダイバー/講習生)
損害が発生した場合は、損害賠償を請求する権利がある(訴訟など)

 

 以上は全て、あくまでも、個人的な仮定の話に過ぎません。


平成14年8月7日 

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