拙著のご案内
「ダイビングの事故・法的責任と問題」


全てのダイバーのために、そして、優良ダイビング業者を目指す人のために

(1)一般ダイバーと、ダイビングの優良事業者をめざす事業者のための専門書です。
(2)ダイビングの事故を捜査する関係者やダイビング事故を扱う弁護士の方々にとって役に立つ内容です。


 私は、この本を、これまで調査したダイビングの事故の実態と法的な問題を、その他のスポーツとの安全性の比較や、法的問題について触れながら専門書として書き、そして杏林書院より発刊されました。
 この本は、一般ダイバーや講習生が大きな事故に遭った時に、そしてもし不幸にも亡くなってしまった時に、その遺族が、業者との法的平等性を確保する時に役に立てる本です。したがって、ダイビングを行う人は、自分のためにではなく、自分の家族や兄弟、そして友人のためにこそ、この本を自宅に置いておいてください。そして、真面目にダイビングの事業を行いたいと願っている優良業者の方々と、それをめざす方々は、正しいリスク管理(法的な面を含めて)を行うために大きな役に立てて下さい。そういった方々には、事故防止のためのリスク管理のための実用書として役に立つでしょう。

 この本は、出版社の方針とダイビングの事故と法的問題について日本で始めて書かれた専門書であるためなかなか店頭には並ばないと思います。また、最近は事故の実態を、海況やダイバーにのみ原因があるという「事故本」を出して、常に業界には一切問題はないという、業界の実態を知られないように情報を選択して提供しているダイビング業界からは都合の悪い本となるので、雑誌などでの紹介もされないでしょう。そのため、入手を希望される方は、一般の書店でご予約を入れていただくか、あるいは、出版元の杏林書院のホームページにアクセスして注文して下さい。杏林書院のホームページに記載されている電話番号に直接電話をかけると、土日を除いて、注文当日か翌日には発送してくれます。

 現在、この本は某官庁、警察、その他法曹関係者やスポーツ法学に興味のある大学などで読まれ始めています。特に一般ダイバーや優良業者がリスク管理(結果的にダイバーの利益となる)のために、ぜひ読んでいただきたい本です。


中田 誠著  杏林書院発行  予定価格:2700円(税別) 平成13年3月31日発刊


★内容

序文 土肥孝治 弁護士(前検事総長) 

第1章 安全性問題
1.ダイビングの安全性の検証
 (1)交通事故との死亡率比較
 (2)ラグビー競技者とダイバーとの死亡リスク比較
2.エントリーレベル(オープンウォーターレベル)講習における事故の発生率
3.ダイビングビジネスが「虚構の安全」を必要とする理由
 (1)売上高増加指数
 (2)マリンスポーツにおける事故の実態
 (3)1999年(平成11年)におけるスクーバダイビングの事故の実態
 (4)イメージコントロール
 (5)ダイビング業界の組織形態

第2章 資格商法としてのスクーバダイビング
1.レクリエーションスクーバダイビング業界
 (1)ライセンス(民間資格)販売というスクーバダイビング業界の特色
 (2)指導団体の事業規模
 (3)指導団体の事業手法の考察
 (4)独占による選択肢の制限
 (5)P型事業モデルの成功
 (6)業界形態の危惧
 (7)ダイビング業界の成功要因の総括
2.致死性スポーツにおける資格商法展開の問題

第3章 ダイビング事故の事例研究
1.1999年中,日本国内事例紹介
2.事故内容分析
3.注意義務の及ぶ人数の限界の検証
 (1)事故概要17例
 (2)静かなる事故
 (3)適性人数比較検討表
4.17の事故例に見る適性人数比の試算
5.海外事故概況
 (1)アメリカおよびその周辺地域の死亡者数
 (2)イギリスにおける死亡者数
 (3)フランスの事故における死亡者数の推定
 (4)海外における日本人の事故事例(1993年?1999年)
 (5)日本と海外の事故遭遇比率比較
 (6)DAN JAPANの保険金支払い事例から見るCカード保持者の事故の実態

第4章 安全配慮義務
1.刑事責任についての判例研究
 (1)アドバンスコース講習時における講習生死亡事件
 (2)サバチ洞窟事件
 (3)カスミ根事件
 (4)潜水から浮上した者がモーターボートと接触して死亡した事故につき,モーターボート操縦者の過失が否定された事例
 (5)ニセコ雪崩事件
 (6)判例研究をもとに考察する実際の事故例(私見)
 (7)1のまとめ
2.民事責任についての判例研究
 (1)スキューバダイビングの参加者が海洋に転落して溺死した事故
 (2)神奈川県スキューバダイビング漂流事件
 (3)ダイビングツアー中ボンベ(タンク)爆発負傷事件
 (4)越前沖沈船ダイビング事件
 (5)五竜遠見雪崩事件
3.過失の構成要素についての研究
 (1)刑事
 (2)民事
4.バディの法的責任
 (1)致死性の高さに対する社会的共有認識
 (2)バディによる不法行為
 (3)バディの法的制御
5.指導団体の法的責任
6.法的問題
 (1)被害者と事業者の間の法的力関係
 (2)スクーバダイビング業界のビジネススタイル
 (3)『The Law and Diving Professional』
 (4)日本での危険の引き受けによる違法性阻却とレクリエーションダイビング

第5章 免責同意書問題
1.危険の引き受けと免責同意書
 (1)アメリカにおける免責同意書
 (2)日本における免責同意書の内容
2.責任回避のための組織形態
 (1)モデルケース概略図
 (2)事業者側のみの免責
 (3)指導者団体が持つ「免責同意書」の意識
3.P型免責同意書の内容とその実効性の妥当性
 (1)日本
 (2)海外の状況
 (3)不当条項リスト
 (4)講習の契約をした事業者に対しての考察
4.指導団体の責任
5.合理的な免責同意書とは

第6章 消費者のダイビング事業者とのトラブルの実際
1.国民生活センターへの相談
2.ダイビングショップが不良器材をレンタルする問題
3.ケーススタディ:問題あるダイビング事業者の営業実態についての調査事例の紹介
 (1)調査事例
 (2)おとり広告
 (3)自分自身による直接確認

第7章 人為的事故を防ぐための考察
1.事故を生む要因と提案
 (1)法的平等性の確保
 (2)善良なインストラクターの保護
2.今後に向けた提言
3.同好会などで使用する宣言書試案
4.海上保安庁の遭難者捜査における今後の考察
5.最後に

資料1 フランスにおけるスクーバダイビングの国家資格(BEES)取得のための試験の仕組み
資料2 免責同意書に関するアンケートの結果


この本が、予防法学、あるいは応用法学の世界を新たに開拓した先駆本として、ダイビングの事故の罹災者にとって、また優良業者にとって法的平等性の確保がなされるために役立てる事を祈ります。


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平成13年4月15日(一部修正)