沖縄県の事故に見るボートダイビングの問題


※以下は個人的意見です。


 本年前半に、沖縄県で減圧症と見られる事故がありました。
 某日10時30分頃、S村のK島沖約50mのKの鼻、というポイントで、前日にもダイビングを行っていた50歳代の男性ダイバーが、浮上した時に具合が悪くなり、診療所に収容されました。その後減圧症の疑いがあり、自衛隊のヘリで、沖縄本島の病院に搬送されました。
 この方は、前日のダイビングで疲労していたとのことでした。

 この事故で問題なのは、このファンダイビングを行った時に、ボートが無人になっていたということです。ボートのアンカーは打っていたとのことですが、沖縄では以前、無人となったボートのアンカーが切れて流され、多数のダイバーが漂流した事故がありました。
 また、講習中にダイバーが海面で具合が悪くなったときに、船上にスタッフがいたにもかかわらず、一緒にいたインストラクターが非力で引き揚げができず、なすこともなく、二人で海面で待つことになり、別のパーティを引率してファンダイブを行っていたインストラクターが、それを終えて浮上してきたときに、その助けをかりてやっとボートに引き揚げましたが、結果的に死亡に至った事故もありました。
 こんなことって、あっていいのでしょうか?
 今回の事故も、結局、ボートで事故者を介護したのも、通報を行ったのも、客である他のダイバーでした。
 もしこのとき、ボートが流されていたり、あるいは船上に引き揚げるのに時間がかかって、結果的にダイバーが治療を受けることが遅れて危機的状態になったとしたら、どうなったでしょうか。
 1993年、私自身が事故で1人海面に浮上した時、ボートにスタッフが残っていたために(インストラクターや他のダイバーはずいぶん後になって浮上してきました)、私は自力で合図をして発見してもらい、救助されました。もしもボートに誰もいなかったらと考えると、ぞっとします。

 これまでの事例を見ても、ダイビングの事故は、ほんの少しの油断によって、死に直結しています。したがってこのようなダイビング商品(ボートに誰もいなくなるような)を購入するときは、最悪、トラブル時に死亡する確率が高まることが明らかであるため、その覚悟するべきでしょう。しかし当然、これを販売するショップは、この致死的危険性が高まることの説明義務はあると思います。
 もっともこのような商品が販売されないダイビング文化の確立こそが望ましいことは言うまでもないのですが。
 また、自分たちでボートを操船してダイビングを行う際は、そのダイビング形態がもたらす結果については、特別な例を除けば、自己責任でしょう。

 ダイビングの事故でありませんが、8月11日午前10時半ごろに、和歌山県有田市の地ノ島海水浴場沖で、女性2人がプレジャーボートのスクリューに巻き込まれて、1人が死亡し、もう1人が重傷を負うという事故がありました。
 過去にも、下田でダイバーがスクリューに巻き込まれて死亡する事故が起きています。他でも
 ボートダイビングの時には、ぜひ、油断をせずに、楽しくダイビングを体験してください。


平成14年8月15日

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