第4回日本旅行医学会大会において


  平成17年4月15日、16日と、東京の市ヶ谷にある日本大学会館で行われた、第4回日本旅行医学会の大会で、「海外を含む日本のレジャーダイバーの事故の実態」という題でパネル発表を行いました。
 これは日本国内のみならず、海外の事故者のデータ(外務省提供)を加えてその実態を紹介したものです。
 これまで日本では日本のダイバーのリスクを語る面で、海外で日本のダイバーがどれだけ死亡しているかなどは伏せられてきました。以前から私の本では紹介してきましたが、今回、あらためてそれを国内の事故と関連付けて総合的な統計資料として発表しました。
 そして、平成15年と16年の事故パターンの第四期(プロの質の低下による事故激増期)を招くイメージコントロールの根拠年(平成12年から14年)の中で事故激増期を招く分岐点となった平成13年問題に言及しました。
 現在、社会には、業者とそこに内包された方々の視点と立場による事故の評価は満ち溢れていますが、圧倒的多数を占める一般ダイバーである消費者の安全や救済という立場と視点での事故評価は今のところ私しかしていないという残念な現実があります。
 しかし、消費者が沈黙することは社会の利益と合致しません(事故は本人のみならず、多額の税金の浪費を含む社会的損失です)ので、影で進展している阻害要因に負けずに発表しました。
 いずれまた何かの機会に詳しく発表しようと思っています。
 ダイビングが産業として健全に成長するためには、消費者の安全を第一と考える、現在は少数の立場にいる業者が主流となる日が来て、その経営のあり方がビジネスモデルとなる以外には道はないのではないでしょうか。


(パネル展示の様子)


 またこの大会では、15日に、「旅行とスキューバダイビング」という題で、沖縄の南部徳州会病院の小濱正博医師による講演がありました。
 この内容は減圧症に関するものと、その予防に関するもので、大変分かりやすくかつ具体的で、インストラクターやショップオーナー、またダイビング同好会の主催者、一般ダイバーにぜひとも見てもらいたい内容でした。
 少なくとも私が知る限りのいくつかの「指導団体」のインストラクターマニュアルでは、減圧症に関するこのような重要な内容を、これほど有用に語っているものはありませんでした。
 同種のテーマで語られる小濱医師の講演の機会があれば、プロはぜひとも行って聞くべきと思いました。


(小濱正博医師の講演模様)


 一般ダイバーは、自らがダイビング業界を支える消費者の立場にあることを自覚し、優良ショップや優良インストラクターを応援し、彼らのプロとしての努力と情熱を応援しましょう。


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 平成17年4月18日