三者間確認書の前提について

下記の内容は私が提案していた三者間確認書の前提条件となるものについての新たな見解です。


 私は数年前、三者間確認書というものを、免責同意書代わるものとして提案しました。
しかし、その後数年を経て、ダイビング事故の実態から、現在のダイビングビジネスによって生み出されているインストラクターの技量の驚くべき低下を見るようになりました。

 私が提案した三者間確認書の精神は、インストラクターやガイドが一人前(その判断の目安の一つとして、ドイツのプロの職人にランク付けされているようなマイスターとも言えるようなレベルのプロはプロとして5000本以上の経験。通常のプロとして恥ずかしくないレベルはプロとして2000本以上の経験)のレベルであるという前提と、指導団体を称する会社が、目先の申請料などの利益のために販売した結果としてではなく、その技量をしっかりと講習で伝えることができ、しかもそれを実質をともなって確認した上で、認定責任を持った上でインストラクターと認定したものという前提がありました。
 しかしこの前提はもはや存在しません。

 多くの事故の発生状況や、インストラクター資格販売の現実を見ると、現在では自力でプロとしての自分を磨いてゆける優秀な一部の個人を除いて事実上存在し得ないのではという考えを抱くようになってきました。

 そのため、この三者間確認書を試用してみたいと考える方は、相手側が最低でもプロとして(パートタイムやバイトではなく)2000本以上の経験値を持つインストラクターやガイドであることを確認の上に、試用を考えるべきものであるということをご承知おきください。 
 また、ダイバーの側も、一人前のインストラクターやガイドの指示を一応守れるレベルは100本程度(一つの目安に過ぎませんが)からとも考えられます。
 したがって、それ以下の経験の方々は、三者間確認書の内容を自らの技術レベルでは対応できるとは限らないというリスクがあることをご承知おきください。
 ここ何年かのダイビング事故裁判を見ても、あるいは現在進行中の、またこれから起こるであろう事故後の業者の対応を見ると、そこには、圧倒的に多数の、プロとはとても言えない”インストラクター”や”ガイド”の存在がありました。そしてその彼らと、指導団体の「基準」によるダイビングの講習そのものが不適切であるため、自立できる技術や知識がないままに、また自分の命や健康に係わる重要な事項を隠されたままにダイバーだとして資格(Cカード)を販売された方の存在が見られました。

 こうして資格を販売されたダイバーたちは、自分でその隠された部分を探し、自力で実につけていかねばならないという作業が必要という状況におかれています。

 プロとして2000本の経験すらもなかったり、自らの客の技術レベルにあった潜水計画を立案して実行できる能力がないことにすら気づかない、あるいは気づこうという努力もしないで、販売されたインストラクター資格が実体のあるものかのように信じ、また体力的に事故時の客をコントロールできる精神力や体力がない方は、まずは一人前のプロのサポートダイバーとして講習やファンダイビングについて、その経験値を上げていってください。決して1000本(プロ活動で)や1500本程度で(それでも一つの目安にすぎませんが)一人前とは勘違いしないでください。

 経験値の低い(100本以下。これも目安の一つに過ぎません)ダイバーが事故に遭っている事例を研究すると、事故時の最大のリスクは、上記のようなインストラクターやガイドの存在でした。一人前のインストラクターやガイドがそこにいたなら事故自体が起こらなかっただろうと思われる事故が圧倒的です。技術的・体力的・精神的・経験的に一人前でないインストラクターやガイドは、その存在自体が消費者にとってリスクであることを自覚して欲しいものです。それは未熟な医者が、患者にとっては、自らの病気や傷害の程度よりも、生命にかかわるリスクが高いという現在の状況と同じものと言えるのではないでしょうか。
 未熟なインストラクターやガイドが起こした事故の裁判の場合には、三者間確認書の精神は否定されるでしょう。

 したがって本来”大人同士の確認”であるべき三者間確認書は、お互いの条件が一致した場合にのみ試用を考慮していただければと願います。


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 平成16年12月20日