最近の企業の社会的責任について思うこと
− コラムです −


 私程度の者が言ってもどうかと思うところもありますが、最近の介護の会社などを見ると、ビジネスの営利のシステムが社会にとっては欠陥システムとなる場合に社会にもたらす問題の深さを改めて考えてしまいます。

 国は、一般家庭電化商品を作っている会社に対して、それによる人身事故を報告するようにと義務付けました。するとぞくぞくと事例が出てきました。これが今後、事故の予防に結びついていくことでしょう。
 翻って、同じく一般に「誰でもできる」として販売されている商品スポーツとしてのダイビングではいかがでしょうか。
 このビジネスシステムにおける事故の実態は、誰が一番身近に握っているのでしょうか。
 役務商品であっても、一般消費者の安全に関わるものについては、物品としての商品と同列に扱うべきです。消費者が死んだり一生を台無しにされる(「される」とは、例えば刑事裁判や民事裁判で業者の責任が法的に認められる事例が多いことから、そのような事例を言う。)事例が、ダイビングビジネスの世界には多いからです。

 ダイバーの皆さんは、企業の社会的責任について考えさせる、有名な「タイレノール事件」(ネットで探してみてください。)を見て、現在のダイビングビジネスと比較してみてください。平成に入ってからの数百人もの死亡・行方不明者の他に、今日も多くの人々が重度の後遺障害に苦しんでいます。彼らはこれからも苦しみ続けるでしょう。この実態を、すべて「自己責任」と片付けるには無理があるのではないでしょうか。赤信号では道路を渡ってはいけないと教えられずに、講習を受けたので道路を渡れる能力があると認定された人が、後に信号を無視して道路を渡って事故にあったとき、その責任を「自己責任」と片付けるには無理を感じるのと同じと思います。

 こういった文化の中で、現場のショップで汗水流してダイビングビジネスの質を落とさないようにしているプロダイバーの方々の努力に、社会はぜひ光を当てて欲しいものです。


平成19年6月11日

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