スクーバダイビングと交通事故の死亡率比較
お詫び
私がこのホームページの掲示板及び「セキュリティスポーツライフ」誌(総合スポーツ研究所)上のコラムにて発言した、「レジャースクーバダイビングの死亡率は、一般市民が交通事故で死亡する場合の155倍である」という数字について、推定値として計算したものに、勘案すべき数値が適性でないと判断し、再検討を加えた結果、その推定値を大幅に下回るとの結果が出ましたので、ここにその推定値の換算の手法も公開した上で訂正致します。
なお、この件で、過大な数字によりご迷惑をおかけした皆様には、心から謝罪致します。(平成11年6月24日)(2次訂正6月26日)
(社)レジャー・スポーツダイビング産業協会の許可により、「平成10年潜ダイビング産業に関する調査研究報告書」((社)日本機械工業連合会、(社)レジャー・スポーツダイビング産業協会編)のデータを参考に推定しました。
死亡率比較計算のための前提
レジャーダイビングの世界では、多くの指導会社(団体)とそのブランドを看板に掲げているショップやインストラクター・ガイドが、その運営方針において、ダイビングとは「死亡する可能性が高い、潜水という行為を自ら進んで行う」という真実を隠している(あるいは教える事に消極的、場合によっては事実ではないことを教える)のが現状だと思っています。(ごく少数の意識の高いインストラクター個人を除きます)
「ダイビングは安全」という事実と異なる世界が、彼らの事業に必要だからだと私は思っています。
私は「事実を知って、安全に注意してこそ楽しいダイビングができる」と思っています。
一般的に、普通の講習生やダイバーには、「死亡する可能性が高い、潜水という行為」こそがダイビングなんだ、ということを知らせない(意識させない)ようにしていると感じています。これはダイビングマスコミの立場も同様だと感じています。
私が、よりリスクの高い職業ドライバー等を比較の対象に絞らなかったのは、一般の講習生やダイバーが教えられているのと同じような、「道路を歩く事は死亡する可能性が高い行為を自ら進んで行っている」と思っていない人々と同じ程度の意識の中での比較したかったからです。これは「統計では同じ種類のものを比較検討する」という前提にしたがったものです。
なお、ダイビングにおける、予期せぬ自然環境下での事故の発生は、交通事故において、歩道を歩いていても突っ込んでくる自動車やバイク(時には自転車も。以下同様)による事故、信号を無視した車等に轢かれること、、寝ていても家の中にトラックや乗用車が突っ込んでくる、などと同じと考えています。
PADIがホームページ上で’96で250強と説明
NAUIはホームページ上で300
上記3つのうち多くのショップでCカードの種類が重複しているので、PADIをメインに取った場合、NAUI、CMAS単独の割合を総数の20%と仮定すると、3大ブランドで250+60+60=370店舗。
3大ブランドで70%のシェアであると推定される。他の30弱の"団体"で残り30%で111店舗と推定。
よって、Cカードの講習を行うショップ数の推定は、370+111=481店舗と推定する。
・体験ダイビング延べ人数
93人/店なので、ショップ数481店、体験ダイビングの人数44733人で、延べダイビング数44733本
付き添いインストラクターが一人で4人を対応するとして、ダイビング数は、11183本
よって、体験ダイビングでの述べダイビング本数は55916本
・OW講習ダイビング延べ人数
実習4ダイブ×83512人(認定数)=334048本
付き添いインストラクターが一人で4人を対応するとして、ダイビング数は、83512本
よって、OW講習でのダイビング本数は417560本
・ダイバーレベルのステップアップダイブ数
各コースの平均で4ダイブと仮定して、145539人×4=582156本
付き添いインストラクターが一人で4人を対応するとして、ダイビング数は、145539本
よって、ステプアップ講習でのダイビング本数は727695本
・インストラクターの試験本数
これは1本として、11768人×1=11768本
インストラクター認定者が一人で2人を見るとして、ダイビング数は、5584本
よって、インストラクター試験でのダイビング本数は17652本
以上の総計は1,218,823本
ファンダイブの推計
新規OWダイバーがその後2回、計4ダイブとして、334048本
うち、連続してADに行く人が30%とすると、334048×30%=100214本を引く。よって233834本が新規OWダイバーのファンダイブ本数と推定。
この70%がガイドをつけてダイビングするとして、ガイドが4人を見ると仮定すると、40920本となる。
よって、新規OWダイバーのファンダイブに要するダイブ数は274755本と推定する。
過去のOWダイバーとAD以上のダイバーのファンダイブの本数を同数と仮定する(この数値に裏づけはありません。主観的な推定値にすぎません)。
この50%がガイドをつけてダイビングするとして、ガイドが4人を見ると仮定すると、29229本となる。
よって、一般ダイバーのファンダイブに要するダイブ数は263063本と推定する。
以上により、年間ダイビング本数についての推定値は、
体験 |
OW |
ステップアップ |
インスト |
新規OWファンダイブ |
一般ダイバーのファンダイブ |
計 |
55,916本 |
417,560本 |
727,695本 |
17,652本 |
274,755本 |
263,063本 |
1,756,641 |
これを時間で見ると、潜水中+水面移動などで、ダイビング行為1本あたり1時間が平均なので、平成10年中には、1,756,641時間に17人死亡していることになる。これは103,332時間に1人死亡していることになる。
交通事故と比較(あくまでも暫定的な推定値上での計算です)
通勤通学や、1日中車に乗っている仕事、外まわりの仕事をしている人、道路に面した家にいる人、外で遊ぶ子供など、交通事故が起こり得る可能性の活動時間を一人当たりで1日3時間と仮定します。さらに年間300日は外に出ており、65日は全く出ないと仮定したら、人口1億2千万人の交通事故の可能性がある時間が出る。それを、年間死亡者数の仮定値1万人で割ると、10,800,000時間に一人の割合で死亡(暫定値)している。これで比較すると、
レジャーダイビング中の1時間当たりの死亡率は、交通事故で死亡する場合の約104.5倍となる。私の以前の死亡事故率が、交通事故と比較して155倍と推定していいましたが、各ダイバーの皆さんには誇大な数値によってご迷惑をお与えしたことを深く反省し、重ねて謝罪致します。