沖縄で事故を起こして迷惑をかけないようにしましょう
平成24年(2012年)の沖縄県では、死亡者が前年の3倍の6人となりました。
平成24年 | 平成23年 | ||||
事故発生件数 | 死亡者 | 生存(重症を含む) | 事故発生件数 | 死亡者 | 生存(重症を含む) |
11件 (沖縄県警把握事例) |
6人 (沖縄県警把握事例) |
6人 (沖縄県警把握事例) |
13件 (沖縄県警+海保情報) |
2人 (沖縄県警+海保情報) |
12人 ※重体と植物状態2人を含む (沖縄県警+海保情報) |
平成24年(2012年)は、講習中2件、体験中1件の事故がありましたが、全体として見ても事故の背景にはいろいろな事情があります。
このホームページではこれまで、主として業者の責任について述べておりましたが、今回は平成24年の沖縄の事故から、消費者側の問題を取り上げてみましょう。
※以下は公的機関から提供を受けた情報を元に論評しています。したがってその情報以外の背景などは把握していませんので、その上での論評内容とご理解ください。
1.「これは客側の問題だろう」という事例
ガイド2人と大学サークル仲間の客12人でダイビング中に、客同士がフィンを取り合うなどの悪ふざけをした。そのため事故者のタンクがずれてレギュレーターを掴め
なくなり、パニックとなった。ガイドはその事故者を船上に上げた。このとき事故者は意識はあったが、嘔吐等があったので病院へ搬送。診断の結果、肺に水が入っており1〜2週間の経過観察が必要とされた。
●→ 確かに業者側には、ガイドの客の人数比(講習や体験ではなかった模様)が2対10というのは、ハイリスクのガイド役務引き受け業務でしたが(そのような人数比でガイドを依頼する
方も問題である)、パニックになった原因が、大学生にもなってフィンの取り合いの悪ふざけとはいかがなものか。若い時代の悪ふざけはあり得ることとして
認めることはやぶさかではないが、ダイビングでの悪ふざけは、自分や相手の命、さらにはパーティ全体への危険の波及となり、その結果の重大さを考えれば、どんなにハイテンションな状態であっても行ってはいけないことである。
楽に見えても、実態は命がけのスポーツを行うものの行為としては許されるものではない。これでもし事故者が死亡、ないしは重度後遺障害となった場合には、ガイドには刑事責任や賠償責任が問われる可能性が高いのである。それは人数比の問題があるからである。
つまりダイビングの際の悪ふざけは、ハイテンションの輪に入って共にテンションを上げている者以外には、はなはだ迷惑かつ危険な行為なのである。
自分や仲間の状況を踏まえた、テンションの自己コントロールができない者に、ダイビングを行う資格があるのだろうか?
2.「器材の管理の問題とフリーフロー問題」
事故者、ガイド2名、他の客6名の計9名でダイビング中に、事故者のレギュレーターが突然フリーフローになり、パニックとなった。ガイドがオクトパスを加えさせエキジットした。
事故者は意識はあったが海水を誤飲していたため病院で診察を行った。入院は無し。道具は本人持参のもの。 経験は約100本だった。
●→ レギュレーターがフリーフローして危険な状況になったという事例は時折耳にする。器材のトラブルは某メーカーの最高級品でも起きているようである。器材の管理は、持参器材であれば、業者側は潜水前にきちんとしたテストで確認するように
と客に指示はできるが、圧力のない状況で問題なかったレギュレーターが水中でフリーフローするようなことまでを予想して使用を差し止めることは困難である。となると、これは事故者の器材の管理が悪かったのか、それとも欠陥器材だったのかなどの可能性が考えられる。事故者の管理が手抜きだった場合には、事故者に
、上記1の事例と同様の周辺危害の可能性を踏まえて猛省を促したいが、器材の問題だった場合には、メーカーに責任がある。
フリーフロー器材の故障があっても、メーカーがその事実を公開しあければ故障は起きていないと言い張る可能性がある。そして故障は所有者の管理ミスからだ
責任を転嫁するかもしれない。
器材の開発テストダイビングまで行うようなベテランダイバーでも、某メーカーの器材に故障が起きているということを知らないこともある。「あそこの器材にそんなことがあるなんて聞いたことがない」という
風である。
器材の品質のチェックと、事故予防に繋がるはずの故障ないしは不正動作の情報が公開されない、または意図的に隠ぺいされるケースには、
消費者や、その器材を使う消費者としての自分の客にどうやって対処したらいいのか、うまく隠されるとPL法での規制もくくられてしまうかもしれないし、これは困った問題である、正直
な、また実直なメーカーにとっては迷惑な同業者であろう。
ダイビング業者にとっても、把握できない器材の故障で客が死んだら、自分の責任範囲以上の法的責任まで負わされてしまう可能性が生じる。
今、この問題を解決できる良いアイデアはない。
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平成24年は、12人が事故に遭い6人が死亡している。致死率50%の、「安全で誰でもできるスポーツ」という宣伝文句
は、、少なくともこの年は罪深い。
多くの業者側と客側が、ダイビングの危険に関する情報を広く開示しあってそれを共有し、それによって事故を防ぐという社会的方向性は、いったい何人の事故者が生まれ、死亡・行方不明・植物状態・重度後遺障害・中程度の後遺障害などが累積
すれば真剣に考えてもらえるのか。
この問題の解決への道は、いつ開かれるのであろうか。
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さて、このページの表題である、事故によって沖縄県に迷惑をかけない、ということに触れましょう。
平成24年に事故に遭った方々の在住地を見ると、本人に責任があるかどうかは別にして、死亡者6人の内の3人、生存できた事故者の5人が沖縄県外の方々
(他に米軍軍属1人)でした。
あくまでも現在入手できている情報からの感想ですが、客となる側は、よく安全全管理ができる業者を選んで申し込み、事故に遭う確率を減らし、
まじめな業者が沖縄で仕事をしやすい状況になる手助けをしてください。沖縄で事故に遭うことは、結果として沖縄に迷惑をかけることになります。一見楽しそうでも、事故を起こしやすい業者を選ぶことは、結果的に沖縄にとって迷惑でしょう。客となる一般消費者やダイバーは、良い業者を選び、良い業者の成長に寄与し、安全で楽しくダイビングを行って良い思い出を故郷に持ち帰ることができれば、それこそが客にとっても沖縄にとっても望ましいことだと思います。
そうなってほしいものです。
平成25年7月3日
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