スクーバダイビング用アルミタンク破裂事故


スクーバダイビング用アルミタンクの破裂事故についての続報
※八丈島でもタンクの割れを発見

 某県の消防防災課では、2000年8月に、スクーバダイビング用圧縮空気の充填業者に対して、文書で事故防止のための注意の依頼がなされております。その中で2000年6月30日に発生した宮古島でのタンク破裂事故について紹介し、「1990年5月以前に製作された、スクーバ用アルミ合金製容器(材質−A6351)充てんに際しては、充分注意すること」と、「消費者に対しての周知義務を怠らないこと」などが記載されています。
 また、某自治体の保安対策課からも、同様の内容で、ガス業者に通知するよう、文書で発せられています(業者の委員会宛て)。
 これらの通知の基になった文書は、先の宮古島の事故を受けて、通産省環境立地局保安課長から各都道府県高圧ガス担当部長宛てに出された、「6351合金製スキューバ用アルミ容器の破裂事故への対応について」という2000年8月23日付け事務連絡文書です。
 なお、この文書には、タンク販売会社の、タンク交換の連絡も含めた8月23日付けの「ニュースレリース」も添付されています。
 さらに某高圧ガス安全協会からも、この6351の容器について、「該当容器の取り扱いについて十分注意されます様、関係者及び関係部署へ周知徹底して下さい」と記載された文書が出ています。
 加えて、某社保安推進室から、これらのことについて十分注意するよう訴える文書が9月に出ていますが、そこには「当該容器と同タイプの容器で、その後、東京八丈島においても割れによる空気漏れの事故が1件発見された」とありました。そして、この注意が喚起されている材質のタンク数が、日本国内出荷数で53,265本あるとの報告がありました。この内、当然既に廃棄されているものもあるかと思いますが、ある筋によると、この本数の基になったリストに漏れているデータもあるようだ、という話も聞いています。
これだけのことがあるのですから、この事故のことや、これらの通知のことを知らないとか、レンタルするタンクの材質について検査したり、どのような対策を打っているかなどを答えなかったり、答えようとしない業者に対してや、そういったことを調べずにタンクを借りて用意してくるダイビングショップには、ダイバーの側として十分用心するのがいいのでは、と思います。ということは、こういったこと情報開示をきちんとできて、すばやく効果的な対策を打っている業者は、タンクの安全に関してきちんとした業者であるともいえるので、今後の業者の安全管理上の姿勢の差を、ダイバーという消費者側が確認できるいい機会なのではないかとも思います。今後は、安全対策と情報開示に積極的な業者を、我々は応援すべきなのではないでしょうか?
 以上の見解も以下の見解も全て個人的考えです。


タンクの安全余話:「ナイトロックスガスの充填のときの話」
 ※ナイトロックスガス(酸素の比率をふやした空気)を充填している業者の安全管理の意識を判別できるかもしれないお話し。
 本来、安全のために、ナイトロックスガスは空気から窒素を抜きながら充填することを業界では勧めていますが、業者によっては、純酸素(100%)を二〇気圧で詰めてから空気を追加して、酸素比率32%や36%で二〇〇気圧のナイトロックスガスにする業者がいるようですが、純酸素を先に二〇気圧まで入れる手法では、それが十分に薄まる前に、たとえ僅かでも油分の混じった空気(タンクに接続する部品に使われるグリスなど)が入ったときには、それに引火して爆発することがあるそうです(業者内では、このような事故が実際あったという話が語られています。オーストラリアでも以前あったとのことです・・・文書などでの証拠確認は出来ていませんので、「話」として受け取ってください)。つまり、ナイトロックスガスの充填にあたって、安全にやろうとしないで、純酸素から充填して薄めている業者に関しては、我々は注意して見なくてはならないのでは、と思います。
 それと、ダイビング業界では、新市場という、売上増加のためにナイトロックスガスでのダイビングの普及を推進しているようですが、圧搾空気の販売(タンクレンタル)だけなら届出だけでいいとのことですが、ナイトロックスの販売には免許がいるとのことです。免許のないところで、某指導団体の暗黙の要望(某指導団体では、その事実を知っていて、その業者が摘発されても「聞いていなかった」ことにする、とのことです・・・話に過ぎません)や推薦でナイトロックスガスの販売を行っているところが多いとも聞きますので、ナイトロックスガスを買うダイバーは、ちゃんと免許のある業者かどうか、しっかり確認することが、リスク管理上必要なのではないかと思います。

 これ以外にも、別の危険なタンクの問題の話もありますが、今日はこの辺で・・・いい業者を見つけて盛り立てましょう。


平成12年10月3日  

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