「誰も教えてくれなかったダイビング安全マニュアル」を読まれた方からいただいたお手紙からの抜粋

〜平成10年12月23日追加あり〜

 

ここでは、いただいたお手紙の中の一部を編集して紹介しています。
読者の方々の貴重な体験やご意見と思います。皆さんも参考にして下さい。なお、いただいたお手紙には全て住所氏名が明記されており、信頼できるものと判断しました。ただしこの場では氏名などは伏せています。

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(1)
 私は32才の会社員で、只今PADIのマスタースクーバダイバー(以下MSD)にもう一歩、という位置におる者です。キャリア・アップを狙う訳は、やはり将来はインストラクター(以下INST)を目指しているからに他なりません。水中世界の素晴らしさ、不思議さを多くの人々と共有し、海洋を含めた地球環境の保護やや水中動植物への理解を育くんで心的充足感を求めたいと希望しております。    
そして、より多くの方々にそれらの体験をして頂けるよう、安全で快適なインストラクションを実施できたらと思います。    
 しかし、まだそれ程のダイビング・キャリアを育さない私にとっても、現状のPADIブログラムでのキャリア・アッブシステムには、甚だ疑間を持たざるを得ません。MDS、アシスタント・インストラクターとしてのダイブマスター(DM)、そしてINSTのランク付けはダイビングの経験本数やその取り組み姿勢の優秀さよりも、高額なカリキュラムを多数受講すれぱとりあえず資格が得られてしまうという現状があるからです。    
(中略) 
 ダイビング業界の体質改善が一体いつの事になるか考えずにはいられません。    
(中略)
 各種Cカードは「仮免」程度に過ぎないと私は理っています。    
ですから、責任を持って適正な指導ができるINST、初心者をバカにすることなくそれなりに楽しませてくれるポイントを案内できるガイド、人間性が信頼できるバディなどの存在がなければ、すぐにでも命を落としかねないのですが、それを判断できるような総合的な情報は、初心者には今まで与えられていません。PADIは「一般消費者は楽しむためにダイビングを行うのでありINSTはマリンレジャーを盛り立てるサービス要員である」とする風潮が強く、”余分な”苦労や不安を排除するためにダイビングの    危険性や事故情報についてはあまり語らないという結果を導いているように思います。    
 自分達は人命を軽視しているつもりはないのでしょうが、リスクマネジメントのできないINSTや悪徳ショップに対して、その資格を剥奪することもなく野放しにするならぱまさに同罪であり、社会的賞任を考慮する能力のない悪質団体といえます。
(中略)
 PADIでは定期的にINST会議を開催して、現場報告やプログラム改善の要望を発表させてはいるようですが、その集計がどうなっているのか末端には公表されないのでわかりません。

 

(2)
 ぼくは、事故にはまだあっていませんが、4年前にCカードを取り、その際、ショップの言う「キザイは最初から自分のものを使う方がよい」という言葉を真に受けて、重キザイも購入、今のところ、海外を中心に40本あまりと少ないダイビング数ながら、ダイビングの素晴らしさを実感しています。が、同時にショップやダイビング雑誌など、このギョーカイのイビツなあり方も感じるようになりました。
(中略)サービスを提供する側の一方的な都合で情報は流れており、客観的な(場合によってはネガティブな情報だってあり得るハズ!)情報には、まったくと言っていいほどめぐり合うことがない。
 知り合いがCカードを取るので、MD誌(雑誌名は伏せました・・・作者注)に『3万円』と広告を出していたショップに出かけて話を聞いてみると、それは重キザイなど全部買った場合の料金であるとのこと。広告には一切、そんなことは書いてなかったので、MD誌編集部に抗議したが、中途ハンパに誤るだけでラチがあかない。けっきょく、知人は、別のPADI5スターショップに決めたわけであるが、そこも器材を買わせるためのセールストークがすごく、一緒に申し込んだ2人の女の子は、O.Wと同時に、アドバンストコースを申し込み、その上に、重キザイとドライスーツ(だれにでも必要とは思えない)まですすめられて買っていたそうです。
(中略)
 何も知らない初心者であることにつけこんで、「あれも、これも」と金を使わせるのがアタリマエみたいになっている現状はイビツ以外の何者でないと思います。
(中略)
 これから一生、ダイビングをやろうと腹をくくっているヒトも、結局、自分や知り合った人たちだけの限られた情報をたよりにしていくしかない。

 

(3)
 私は、現在33歳のダイビング愛好家です。
 私がダイビングを初めてしたのが大学生の頃ですから、すでに12年ほどたっています。
 これまでに、太平洋の島々、モルジブ、東南アジア等、様々な場所で潜り、今までの経験数は1300本を超えています。
(中略)
 メナドにおいても、「免責同意書」の提出を当然要求され、記入しないのであれば潜らせてもらえない、とのことで、遠路はるばるダイビングを目的にやってきた者にとっては、納得する、しないにかかわらず署名せざるをえないわけで、人の弱みにつけこむにもはなはだしい・・・とまたもや思いました。
 また、メナドの場合、「免責同意書」が日本語で用意されているのでまだ良かったわけですが、他のリゾートの場合、英語版のみということも多く、よほどの語学力が無いかぎり、細部までわかるはずが(日本人には)無いでしょうし、「日本語を話す」スタッフに説明を求めても、てきとうにしか教えてくれないことが多かったです。
 その点、カヌーやパラセイリング、ラフティングといったレジャーを行う際はほとんどといっていいほど保険付であるにもかかわらず、もっと危険なダイビングにはなぜそうでない場合が多いのか本当に不思議です。
 ちなみに、私はいつも海外旅行者保険とカードの保険、そしてDANの3つでカバーしています。
さて、話は変わりますが、私もこれまでの経験から、友人が共に潜っていた仲間が漂流したり、私自身も漂流や水深30mでのエア切れなど、いくつものこわい経験をもっています。ただ幸いなことに、結果として重大なものには至っておらず、こうして今でもダイビングを楽しんでいますが・・・
 漂流といえば、やはり多いのはパラオです。
 特にペリリューコーナーは昔から何回も同じようなさわぎが起きています。潮流が速くなることだけでなく、上層と下層で流れがまったく違ったり・・・と複雑なうえ、コーナーから少し離れると波が高く、いくら目がパラオのキャプテンでもなかなか見つけることができないようです。流されている自分側からは船がしっかり見えているのに、船上の人はこちらを見つけてくれない・・・ということが何回もありました。
 また、時々は、私たちが潜っている間に、昼寝をしていて、そのために見つけてくれなかった・・・というような、笑うに笑えないことさえも。
 私自身は、30分ほどの漂流しか体験が無いのですが、私の友人は、あのペリュリューコーナーから約5時間も流され、セスナ機によって発見されました。
また、沖縄のある離島(ここは、あえて伏せさせて下さい)では、私と一緒に潜ったダイバー2人とガイド1人が諸事情が重なり、漂流し、日もくれてしまった夜中、7時間近くの恐怖をあじわった後、保安庁の飛行機で発見されました。この時は、ライトを持っていたために合図を送ることができ、夜中にもかかわらず助け出されました。この時の状況は、私自身が海上保安庁の船上にて事情聴取されました。
 その他、すぐに書けないくらいの様々な体験をしてきましたが、それらすべてにおいて(特に水深30mでのエア切れ)パニックにならず対処できたのは、自分に経験があったからだと思います。これが100本以下の初心者の時に起こっていたら・・・そう思うと、やはりぞっとします。
(中略)
 私も講習の時、決してそのようなおそろしいことが起きるなどとは夢にも思わなかったし、そのようなことについては教えてもらいませんでした。
 現状の中で、私がダイビングを行う際、はっきり言って、ガイド、そしてその時にあてがわれたバディのことは全く信頼していません。特にガイドに対しては、相手がチェックダイブを行うはずの1本目は、逆にこちらがチェックガイドを行っています。ちゃんと安全確認をしているか、ブリーfフィングに問題はないかetc。
 そして、ダイビングというかなりのリスクを背負ったスポーツを行うのであれば、自分が自分に対してどれほど大きな責任をもっているのか、自分の命を守れるのは自分だけしかいない。そんな思いももっています。
 ただ、そのことを本当に自覚できるようになるのは、何百本も潜ってからでしょう。
  ですから、今後ダイビング団体、ショップにおいては、そのようなリスクの説明、そしてCカード発行の意味するもの(時々、免許証と思っている人がいる)、アフターフォロー等を細かく行ってほしいし、もしもの時の対応も楽しむ側の立場に立って行ってほしと思います。

 

(4)平成10年12月23日追加
私もダイビングを始めて9年目になりますその中であきらかにガイドのミスであろうと思われた事を報告します。
場所は沖縄の渡嘉敷島でシージャックというサービスで毎年行っていました。その時(90年7月8日:その日はおりしも私のCカード取得記念日でした)いつもとちがうのはガイドでした。
天気もよくアリガーというボイントで目玉はガーデンイール、沖にのびるケープルに沿って行くというものでした。
水深23mにガーデンイールがいて夢中でシャッターを切っていたのでダイコンを見ていませんでした。ガイトに合図されて減圧不用限界に近い事を知り反省しつつ移動の指示に従いました。戻るんだと思ってついていきましたが深度計を見ると(透明度が貝いので深いという感寛はなかった。)25mと深くなっていくのでコンパスを見るとエントリーした方向とは逆に進行していました。もしかしたら船長がそっちに移動しているのかも知れないとも思いましたが一抹の不安があったので私だけは約水深15mの所で進行していました。しばらくすると全員がエアーがなくなり私の目前を急浮上していさました。ただしガイドだけは私(私は残圧100くらいあった)の所にきてエアーをもらってからゆっくり浮上していきました。幸い全員とも減圧症様め症状はでませんでした。それからはそのサービスを使っていないですがそのガイドはその直後いなくなったそうです。
その他ではダイビング中の事故でないのですがイントラが一般ダイバーをなぐって鼻を折ったというのが沖縄タイムスに載っていました。

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