プロダイバー候補と、「ガンガン」ダイバビングのリスク


※以下は、あくまでも個人的意見です。


 丁稚として、ショップでお金を払って働いているダイバーや、薄給ダイバー、あるいは「ガンガン」潜っているダイバーのリスクについて、ある事故の事例を紹介します。

 今年、沖縄県のある地域で、若いダイバーが危険な状況になりました。
●事故の概要
・発生時刻:平成14年某日12:00頃
・発生場所:沖縄県某所沖約1.5海里の海上
・当時の気象等:晴れ・北東の風2m・波高なし
・事故者:18歳・女性・ダイビングショップスタッフ
 
・概要
 事故者は、遊漁船での潜水を行いました。事故者のダイビングコンピューターの記録では、潜水開始は10時42分で、潜水終了は11時58分、最大深度は19.9mでした。
 事故者は潜水を終え、船上で潜水器材を外した時にそのまま座り込むように倒れ、手足を痙撃 (てんかんの様な症状)させて、意識不明におちいりました。
 すぐに船内に保管してあった純酸素を吸入させたところ、徐々に意識が回復し、会話もできる状況になりました。
 この後この事故者は、海上保安庁のヘリコプターに吊上げられて救助され、高気圧障害治療施設のある病院へ搬送されました。
 事故者の診断の結果は、疲労蓄積による痙撃発作でした。
 事故の発生の要因と思われることは、この事故の前2ヶ月間も無休で、1日平均3本のダイビングを行っていたことでした。

・次の写真は、事故者が遊漁船から吊り下げられて救助されるときの様子です。


写真提供:第十一管区海上保安本部

 この事例は、プロ・アマを問わず、あまりにたくさんのダイビングを連続して行えば、若く元気で、既往症もなく、また直前まで健康で元気であっても、突然に劇的な体調の変化が起きる可能性があるということを示しています。
 今回の事例は、船上で発症したのと、すぐに適切な対応がされたので助かっていますが、もし水中、あるいは水面でこれを発症したことを考えると、非常に危険な状態になったことが予想されます。これは、疲労がダイビングの大敵であることを示しています。
 本年は、別の所で、インストラクターが浅い水域で死亡する事故も起きていますが、その当日までの活動があまりに疲労の蓄積を伴うものだったので、これが要因ではとも考えられています。
 この事例の場合は、もし水中で発症しても、バディシステムが完全に機能していれば助かる可能性は考えられます。別な視点で言えば、単独ダイビングの場合(例えば一人でボートを出してダイビングを行っていれば、船上で痙攣しても誰も助けてくれません)には、僅かな助かる可能性すらも消し去ることになることを考えさせます。
 この事例を、自分のダイビングスタイルを考える参考にしてください。


平成14年10月15日

このホームページの内容を、無断で転載などを行なうことは一切禁止します。
直接このページにリンクを張ることはご遠慮ください。


 

home.gif (2588 バイト)