屋久島散策登山事故判決に思う


 以前、屋久島にHPで散策登山のツアーを募集して客を連れて行き、そこで複数人を死亡させたガイドを被告人とした刑事判決が平成18年2月に出ました。判決は禁固3年、執行猶予5年の有罪でした。

 執行猶予がついた理由は、事故時、自分の命を顧みず、事故者の救出に努力したということが認められたからということです。しかし有罪です。安全と信じて参加した一般客が複数亡くなっているからです。もし自分が怖いとして救出に少しでも躊躇していたら、今頃刑務所に服役していたかもしれません。

 ところで警察が被告人を送検した理由は、業務上過失致死傷罪と旅行業法違反の疑いでした。(ダイビングでよくある、HPでツアーを募集する行為にも旅行業法違反の疑いがあることを示唆しています。)

 さてこの判決では、業者には天候からくる危険を予見して対策(ツアーをやめることを含む)を打つ義務があるとされています。
 ダイビングでも海況や海象に基づく予見と人為的反応(パニックなど)の危険に対して予見は当然と見られるであろうことも(実際に判決はこの方向で出ています)、この判決理由は物語っています。

 この裁判に関しては、現在発表を準備している拙稿で少し触れていますので、後日それが公表されましたら、それをご覧ください。


平成18年3月14日

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