行列のできるソフトクリーム-その1

ソフトクリームですよ。あなた。あの、かるーいコーンの上に、にゅるにゅるって渦をまくあのソフトクリームです。作るの30秒、食べるの3分。いや、そんなにかからないか・・・とにかく、並んで食べるもんじゃないでしょ?

それがね、ずらーっと行列しているんです。びっくりしましたね。何事かと思いました。お店の名前はKIHACHI、ご存知の方は、よーくご存知の、あのキハチです。

ご存知ない方にちょっと説明すると、キハチは女性に人気の小洒落たレストランチェーンの名前です。無国籍料理とか、フレンチ風とか、チャイニーズとか、ケーキ屋にもキハチブランドがあったような気がする。青山やら銀座やら、ちょっとお高いところに洒落た建物が建っていて、ふと見上げた看板に「KIHACHI」の文字が・・・、ってカンジ。なるほどキハチね・・・って程度で、あまり威圧感がないのがいいのよね。いかめしさがないから若者にも入りやすい、でもカジュアルではない特別っぽいカンジが若者には受けているんだろうなぁ。

でもね、キハチよ。値段高すぎないかぁ・・・って、もう若くない私は思うのですよ。レストランにしてもケーキにしても、たかが雰囲気にそこまで金は払えんと思えるシロモノを出してくる、そんだけ払えばもっとイイモンが腹いっぱい食えるぞ、ってね、つい思っちゃう。それが私の中でのKIHACHIというお店のブランドイメージ。そして、あまり金持ちでない若者にとってKIHACHIで食事するのは勇気のいることだろう、と金持ちでない若者だった私は想像するのです。

さあ、そこでソフトクリームです。キハチのスフトクリーム屋、並んでいるのは皆若いカップルでした。ソフトクリームくらいはお洒落なお店で食べたい、あこがれのKIHACHIの味を味わいたい、ということかしらん。 その気持ち、なんとなくわかる気もするんだな。でも、でも、でも、そんなに並ぶかぁ〜そこまでして食いたいかぁ〜ソフトクリームってもっと気軽に食べるもんでしょーが。行列なんて気合入った行動は似合わないよ。・・・と心の中で叫びつつ(イヤ、最近の若者は私らと違って気軽に行列しちゃうんだろうか・・・)、私はひとり行列の横を通り過ぎたのでした。

この項つづく


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