悪魔紳士録その2




Eligos−騎士の公爵−
 外見は、黒い鎧を身につけ、黒い軍馬にまたがった感じの良い騎
士そのものです。右手には槍につけた旗印を持っていて、この旗印
は、現世でない別の世界から見なければ意味をなさないという伝説
があります。左手にはルビーの鱗を持った、酸を吐く蛇をまきつけ
ています。戦争の勃発や勝敗を予見する能力があるとされ、また実
際の戦闘では偉大な指揮官であって、この悪魔が味方につけば友軍
とその同盟軍から敗走する者はいなくなる、といわれています。


Focalor−水の公爵−
 体型は人間ですが、全身は緑色の鱗で覆われ、鷲の翼を生やした
ような姿をしています。髪は海草を思わせ、海と、死の臭いがする
といわれています。声は口笛のようで、その声で何かをするように
言われると、つい誘いこまれて、そうせずにはいられなくなるとい
われています。
 この悪魔は、水に関わる力を持ち、大変強力ですが、反面、水か
ら離れると無力です。海にいれば、海の獣を操り、暴風雨を呼ぶ力
さえあります。また、この悪魔は人を溺れ死にさせるのを大変好み、
機会がある限りそれを試みようとします。


Furcas−死神の公爵−
 骨のがたがたと鳴るような音とともに、蒼い馬にまたがって姿を
あらわします。その姿は長いあごひげを編んだ残忍そうな老人のそ
れで、蒼い鎧を身につけています。ふつう武器を帯びていませんが、
空中から、この悪魔だけが使うことのできる大鎌を呼び寄せ、必要
な時はそれを使います。この大鎌は呪われた地獄の武器で、その刃
にかけられたものは亡霊となって未来永劫この悪魔の奴隷にされる
といわれています。
 また、この悪魔は知的な面でも有名で、独特の耳ざわりな声で占
星術・手相術・哲学を語り、とくに哲学においては、地獄最大の存
在とされています。


Gremory−歌う公爵−
 滝なす鳶色の髪の美女の姿で、らくだに乗ってあらわれます。白
っぽい金色の帯と金糸でかがった黒いドレスという服装でいること
が多いようです。
 豊かで音楽的な声で話し、女性の愛を得させる力があるといわれ
ています。また、宝物や現在・過去・未来に関する知識があるとさ
れ、美しい女性の愛とひきかえにそれを教えるともいわれます。す
べての美しい女性の愛人を自称しています。


Gusion−賢明な公爵−
 サフラン色のローブをまとった、精力的な壮年の男としてあらわ
れます。柔らかな、魅惑的な調子で喋り、その助言はいつでも適切
であるかのように聞こえます。
 過去の出来事にくわしく、一部の現在や未来の事件も知ることが
できるようですが、その一瞬を垣間見ることだけしかできぬため、
必ずしもその知識は完全ではありません。ただし、知っている限り
では真実を話すといわれます。宿敵同士を和解させる力があるとも
いわれています。


Haures−豹の公爵−
 燃えるような瞳の豹としてあらわれますが、これはまやかしの姿
で、呼び出した者の命令で豹の皮をまとった浅黒い膚の男となりま
す。その顔は恐ろしく、両眼は本当に燃えていて炎をちらつかせて
います。幻影の炎をつくり出す力があり、それを本物の炎だと信じ
た者は、その炎で焼け死ぬこともあると伝えられています。火のあ
りかを知ることができ、また過去・現在・未来の、火にかかわる出
来事について知る力もあるといわれます。


Murmur−王座の公爵−
 幽霊がトランペットを吹き鳴らし、それを先触れにしてこの悪魔
は姿をあらわします。公爵の冠を戴き、グリフォン(鷲頭獅子身で
有翼の、伝説上の怪物)にまたがって、緑色の鎧に、盾と戦槌とで
武装しています。
 この悪魔には死者の魂を呼び寄せて、彼らの生と死について語ら
せたり、またそういった死者に質問に対する答えを強要したりする
力があるといわれます。


Sallos−偉大なる公爵−
 銀の鎧に身をかため、公爵冠を戴いて、鰐に乗ってやって来ます。
悪魔にしては平和的な性格で、そうしなければならない時だけ、い
やいや戦うといわれています。男女間に愛を芽生えさせる力があっ
て、幻覚や魅惑に関する術を得意とするといわれます。色事や酒を、
戦いや死より好み、いくらか臆病であるとされたりもします。しか
し、いざ戦うとなると敵を皆殺しにするまでやめることはないとい
います。


Uvall−砂漠と荒地の公爵−
 はじめは、大きな黒いひとこぶらくだのような外見であらわれま
す。しかし、呪文でこの悪魔を呼び出した者が命じれば、このみせ
かけの姿を捨てて、ゆったりしたローブをまとった日焼けした男の
姿をあらわします。無情な、脅かすような声で話します。槍と細身
の剣と、投げナイフを持っていて、特にこのナイフに当たると破片
が必ず血管に入り、心臓にまで至って死をもたらすといわれていま
す。
 女性の愛を得させる力があるといわれますが、狡猾で、直接攻撃
はしないものの、つねに自分を呼びだした者を裏切ろうとします。


Valefor−盗賊の公爵−
 多数の獅子頭の化物であるとも、ピューマの体にロバの頭をして
いるともいわれます。鋭い、鳴り響くような声で話し、大変不作法
であるといいます。
 盗賊の神を自称し、仲間や友人に対してさえ盗みを行うよう勧め
ます。困ったことに、この悪魔の助言にはかなりの説得力があると
いわれています。


Vapulai−獅子の公爵−
 紅いたてがみと鷲の翼を持った、黄褐色のライオンという姿であ
らわれます。両眼は緑色で、叡智に満ちているように見え、その声
は雷鳴がとどろくようだといいます。外見からすると意外ですが、
手芸や細工物にくわしいとする説もあります。


Vepar−海の公爵−
 銀で縁どられたエメラルドの鱗の、髪に海草をからませた人魚の
姿をとることが多いようです。美しい女性の姿をとることもありま
すが、これはただの幻で、水夫達を死へと誘う時に使うだけです。
どちらにせよ、この悪魔の指には水かきがあり、耳の後にはえらが
あります。
 この悪魔は海から出ることは出来ませんし、その力は当然海にか
かわるものが多く、海に自在に嵐を起こしたり、星ひとつない闇夜
に船を案内することなどお手のものです。さらにこの悪魔の凝視に
は他者に重傷を負わせる力があります。そうした傷は深い裂け目と
してあらわれ、腐り、特殊な術によって治されない限り3日程度で
死に至るといいます。





★この記事はTRPGの資料としての掲載を目的としており、他意
 はありません。


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