悪魔紳士録その3




Zepar−紅い公爵−
 全身を紅い武具でかためた、あるいは真紅の軍服を着た、ほっそ
りしたえび足の戦士の姿であらわれます。暗い容貌で、現世に住む
すべてのものに対する軽蔑に満ちた、独特の口調で話します。
 女性を、特定の男性を愛するようにする力があるといわれますが、
この悪魔に触れられた女性はすべて不妊になるといわれています。
また一説によれば、女性を他の姿に変える力もあるといわれていま
す。ただし、この悪魔は自分を呼び出だしたものを憎み、協力を得
るのは容易ではありません。もし自分を呼びだしたものの敵が自分
を解放し、地獄へ帰らせてくれるといえば、そちらと手を組むこと
さえあります。


Ipos−道化の太守−
 ライオンの頭、ガチョウの足、野うさぎの尻尾を備えた天使の姿
で出現します。この悪魔の声は甘く、またすぐれた音楽家でもあり
ます。人間を大たんに、機転がきくようにする力があり、この力は
ただこの悪魔がいるだけで、その場にいるすべてのものに働きます。
ただし、この悪魔の影響下にある時、見知らぬものに対して好戦的
になるともいわれます。そうして、もしそれで実際に戦闘が起こっ
てしまっても、この悪魔の影響下にあるものは危険に際して逃げる
ことがなく、笑って死んでいくだろうといわれます。


Orobas−馬の太守−
 紅いたてがみと紅い尾を持った、大きな黒い馬の姿をしています。
ひづめは銀で、軍馬のそれのように鋭くしてあります。しぼり出す
ように馬の声で話すといわれます。
 この悪魔は、信頼の出来るパートナーであり、自分を呼び出した
ものの面倒をよくみます。災害や危険、他の悪魔からの攻撃に対し
て、できる限り守ってくれようとするのです。その上、自分を乗馬
として乗ることさえ許してくれるといいます。


Seere−親切な太守−
 とうもろこし色の髪と氷のような目をしたハンサムな男の姿で、
鷲の翼を生やした銀色の馬に乗っています。やわらかく陽気な声で
話し、気だてもよく、自分を呼んだ者の命令に従順です。
 盗みに関する情報にくわしく、盗賊などの分捕品のかくし場所を
知っているといわれます。また、まばたきする間に全地上を移動す
ることができ、他人も一緒に運べる、ともいわれます。さらに、こ
の悪魔を呼んだ者は、”幸運の洪水”とでもいったような状態にみ
まわれ、あらゆる状況が自分にとって都合のよいものになるとさえ
伝えられています。


Sitri−美しい太守−
 地獄の王子ともいわれます。豹の頭と鷲の翼を持った、筋肉質の
大男の姿であらわれることが多いようですが、体格のよい、この世
の人とは思えないような美男子の姿や、官能的な美女の姿をとるこ
ともできます。肉欲の愛好者として有名で、両性間の恋を燃えたた
せ、それを成就させる力があるとされています。


Stolas−大鴉の太守−
 爪が銀色で、目を赤く縁取られた大鴉の姿をしています。つぶれ
た、おそろしげな声で話します。薬草や魔力のある貴石・鉱物にく
わしく、それらに関して尋ねれば、正確な知識を与えてくれるとい
われています。


Vassago−予言の太守−
 鰐に乗った老人の姿で、右手首には大鷹をとまらせてあらわれま
す。その目は虚ろで、他の世界の出来事を見ているといわれており、
この世界では盲目です。にもかかわらず、いやかえってそのためな
のか、この悪魔には失くした物やかくされた物を見つける力があり
ます。また、事物全般に対して広い知識を持つともいいます。ただ
し、さしせまった危険がおこらぬ限り、その知識を使おうとはしな
いと伝えられています。


Avnas−炎の頭領−
 火と煙の柱の姿で出現します。その炎をのぞきこんだ者は、あり
えないようないくつもの世界の歴史をパノラマのように見ることに
なり、時にその中に自身の過去や未来を垣間見ることができるとい
われています。この悪魔を呼び出した者が命じれば、そのようなま
やかしの姿をすて去り、小さな、しぼんだような茶色い男の姿とな
ります。
 この悪魔には、近くにある、幽霊や、精霊や、妖魔に守られてい
る財宝のありかを知る力があります。また、いつでも炎の姿をとる
ことができるといわれていますが、この炎は物を焼くことはできま
せん。この炎から感じられるものは冷たさと死の気配だけだといわ
れ、実際に触れた者は炎の中に自分の死の有様を見るといわれます。


Botis−醜い頭領−
 巨大な、恐ろしい蛇の姿でまずあらわれますが、この姿はまやか
しです。呪文で強制すれば人間の姿をとるようになりますが、その
場合でもすさまじい牙と鋭い角が生えています。仇敵同士を友人に
することができ、またその場でおこったこと、これからおこること
がわかるともいわれます。


Buer−星の頭領−
 巨大な弓を持った半人半馬(ケンタウロス)の姿であらわれます。
膚の色は銀色で、星のように輝いているといわれ、また瞼は火星の
ように赤く、髪は真白だといわれます。
 この悪魔が触れると、すべての傷や病は癒されるといいます。不
感症や不能を治す力があるとさえ伝えられています。


Camio−つぐみの頭領−
 まず小さなつぐみの姿であらわれた後、すぐにその姿を捨て、黄
色い膚の男になります。話すことはできませんが、大変な雄弁家で
す。つまり、この悪魔の言いたい言葉は、聞き手の前に、燃える石
炭で書かれた文字で示されます。鳥や獣の言葉にくわしいともいわ
れ、またある場所に起きた出来事を、流れる水の(もしそういった
ものが近くにあれば、の話ですが)言葉を聞いて教えてくれるとい
われます。知っている限り真実を話すとされています。


Foras−頭領であり、探索者の王−
 強そうな、それでいて柔和な男の姿であらわれます。かくされた
ものやかくれた者をみつける力があるとも、人間を透明にすること
ができるともいいます。さらには、この悪魔は自分を崇拝するもの
には、常人の3倍程の長寿を約束するとされます。唯我独尊をきめ
こんでいるような所があり、他の神や悪魔のことは全く気にかけま
せん。





★この記事はTRPGの資料としての掲載を目的としており、他意
 はありません。


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