悪魔紳士録その4




Gaap−召使いの統領−
 獣皮を身につけた男の姿であらわれ、戦装束であることが多いと
もいわれます。日焼けしたような皮膚の色から、荒地の住人のよう
に見えるといいます。また、Gaapの後には、この悪魔が仕えて
いるとされる4人の地獄の高官達の幻影のようなものが見えるとも
いわれています。
 親しい者同士の仲を引き裂くことを得意とするとも、また(監禁
などされている)友人や恋人、親族などをとりもどす力があるとも
されています。さらに、この悪魔に触られた者は意識を失い、目覚
めた時には、以前憎んでいた者を愛するように、以前愛していた者
を憎むようになると伝えられています。


Glasya−統領であり、殺人者の主−
 正しくはGlasya−Labolasと呼ばれます。鷲の翼を
生やした犬の姿をしており、その翼で空中をすさまじい速度で飛び
まわります。口は泡でおおわれ、よだれをたらしながらしじゅう歯
ぎしりしています。様々な知識を与えてくれますが、代価として必
ず1つの生命を要求します。もちろん、最も喜ぶのは人命です。も
しそれを与えなければ、自分を呪文で呼びだした当人に襲いかかる
といわれています。愛を芽生えさせたり、敵同士を和解させる力が
ありますが、生来流血を好み、またその肉体的生命を維持していく
には常に殺人を必要とするので、機会さえあれば争いや不和の種を
ばらまこうとします。


Haagenti−有翼の統領−
 鷲の翼を生やし、角の先に金をかぶせた赤い雄牛として、まず姿
を見せます。ただし、これはまやかしの姿で呪文で呼び出した者の
命令により、黒髪で赤い膚の男の姿になります。触れただけで、水
をワインに、ワインを水に、さらに金属を金にすることができます。
 また、この悪魔には人を賢明にするのを自分の職務と心得ている
ようなところがあり、頼まれれば誰にでも自分の知識や技術を分け
与えます。そして、もし生徒の覚えがよければ、何の代価も要求し
ません。しかし、もし物覚えが悪い激怒すると伝えられています。


Marbas−封印を統べる統領−
 黄褐色で、たてがみが黒く、鼻面を血で濡らした獅子の姿であら
われるとも、あるいは鳥の姿であらわれるともいわれますが、いず
れにせよそれらの姿は単なる幻影に過ぎません。呪文でそう命じれ
ば、黄金色の膚を持った、乱れた黒髪の男になります。
 かすかに触れただけで、人間を、体が腐敗していく業病にかける
ことができます。また、宇宙の多くの秘密を握り、それに関しては
つねに真実を語るとされています。さらに、特に富有な人間や有名
な人間の秘密に通じ、敵の計画を失敗させる力もあるといわれてい
ます。


Raum−盗みと破壊の統領−
 爪を血で赤く染めた、鴉の姿で出現します。ただし、呪文で命じ
ればそのみせかけの姿をすてて、やせて背の高い男としてあらわれ
ます。都市の城壁を崩す程の地震を起こすことができ、また宝物を
盗みとるような仕事も得意とします。さらに、この悪魔を呼び出し
た者は、その力によって、仇敵が自分を命賭けで愛するようにでき
るとさえいわれます。


Ose−豹の統領−
 Vosoとも呼ばれるようです。恐ろしげな緑色の目をした、巨
大な、赤味がかった毛皮をした豹の姿で出現します。人肉を好み、
自分を呼び出した者でさえ、隙があればむさぼり喰おうとします。
巧妙で魅力的な口調で語り、特に獲物に対してはそれに磨きがかか
るとさえいわれています。触れただけで人の姿を変えることができ、
しかも変えられた当人には以前からその姿だったと信じこませるよ
うな力があるといわれます。


Volacc−竜の統領−
 地獄に住むという双頭の赤い竜にまたがった、天使の羽を持った
子供の姿で出現します。かん高い、間の抜けたような声で話します
が、その話の内容は賢明ではないにしても真実です。
 蛇の居場所を知る力があるとも、また、無数の蛇を呼び寄せ、そ
れを自在に操ることができるともいわれています。


Bifrons−死の伯爵−
 角のある怪物の姿をとることもありますが、ふつうは、ハンサム
な青年の姿であらわれます。夜の墓場をこの悪魔が通れば、墓の上
のろうそくに火が灯ったようにみえるといわれます。死体を、まる
で生きているかのように見せかける力があり、たとえ腐敗していた
としても、まったくそれを気づかせません。


Furfur−嵐と稲妻の伯爵−
 燃えるような色の尻尾を持った雄鹿の姿であらわれます。また、
見せかけの姿として、天使の形をとることもできますが、これは呪
文で真実を話さざるをえない時だけです。粗野で、きしきしと耳ざ
わりな声で話し、聞いているだけで不快になるといわれます。多く
の秘密を知るといいますが、強制されぬ限り真実は話しません。ま
た、その名の通り、稲妻や嵐を起こす力があります。
 さらに、この悪魔の声の響きは男女を恋におとし、倒錯の道へと
走らせるような力があるともいわれています。


Marax−学識ある伯爵−
 人間の顔をした雄牛の姿をしており、大変醜怪だといわれます。
魔法などに使う植物、貴石にくわしいともいわれ、さらに天文学に
も深い学識を有するとされています。


Malphas−幻惑の伯爵−
 大きな鴉の姿であらわれますが、呼び出した者が要求すれば、見
せかけの姿は溶け崩れ、黒いビロードの服を着た色黒の男の姿とな
ります。服のビロードには貴石や宝玉がちりばめられ、その口調は、
粗野でありながら深く、逆らい難い魅力を持っているとされます。
 魔力をこめた建物や、高い塔をつくる技術などにくわしいといわ
れ、また、敵のひそかな望みを知る力があるともいわれます。必ず
しも敵対的ではなく、礼儀正しく扱えば協力的であるとされていま
す。


Malthus−死と荒廃の伯爵−
 巨大で醜悪な禿鷲の姿をしています。羽は夜のように黒く、眼は
鮮血の色をしているといいます。そしていつも、腐肉の臭気を漂わ
せるともいわれます。
 偉大な将軍であり、強固な要塞を作る技術と力を備え、戦士を、
殺戮のために組織し、行進させる術に長けています。その上、どん
な所にその軍隊が行こうとも、補給を絶やすことはないといわれて
います。喜んで人間に仕えることは決してなく、おとなしくさせて
おくためには、毎日人肉を与える必要があります。





★この記事はTRPGの資料としての掲載を目的としており、他意
 はありません。


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