とよたま愛読会119回
     「
霊主体従 (2巻)28章〜50」     
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            記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成18年8月27(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語   霊主体従 2巻 丑の巻 第28章 〜 第50章

★ 報告
秋冷の心地よい季節、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。

伊達定治さんがネパールでお知り合いになった、日本山妙法寺の大森さんが拝読会にご参加いただき、また暑気払いにもお付き合いくださいました。 大森さんがお若いころ、東京北区の国道17号沿いに「出口王仁三郎」と書かれている大きな看板があったそうです。それを見て、いったいどんな人なんだろう、と思ってその名前がずっと残っていたところ、ネパールで伊達さんと知り合い、興味を持たれて来苑されたとのことです。
看板は、少なくとも今から四十年ほど前ごろからあって、二十年ほど前まで出ていたが、その後無くなってしまったとのことです。  ネパールの気候風土、風俗政情など、興味深いお話を聞かせていただきました。また、岩田さんが若いころに日本山妙法寺にお世話になっていたことがあるとのことで、懐かしいお話に花が咲いた一幕もありました。
ご来苑ありがとうございました。おかげさまで楽しいひと時を過ごすことができました。またのご来苑の機会をお待ちしております。  

拝読箇所は、引き続き地の高天原を狙う魔軍と、竜宮城軍の戦闘の様子です。魔軍は主として、常世城に割拠し、盤古大神を戴いて天下を狙う八王大神と常世姫の勢力です。  常世姫は竜宮城の主宰である稚桜姫命の娘神でありながら、金毛九尾白面の悪狐に魅入られて、強力な悪神となってしまっています。美山別・国照姫の邪神軍や、武熊別、鬼雲彦、清熊らを配下に吸収して、一大勢力となっています。  また、稚桜姫命の娘であるという立場を利用して、竜宮城内部を謀略によってかく乱し、大八洲彦命、言霊別命、神国別命らを滅ぼそうと画策します。  戦闘では邪神軍を退けた竜宮城側は、混乱した地上神界を治めるため、国治立命、豊国姫命、天道別命が天地の律法を制定することになりました。  その一方で、常世姫が竜宮城の守将である花森彦を部下に誘惑させ、言霊別命に濡れ衣を着せて追放した事件がもととなり、稚桜姫命の夫である天稚彦が、道を誤り律法を犯してしまいます。そして天稚彦の過ちがもととなり、今度は稚桜姫命自身までが、道を誤ってしまいました。  稚桜姫命、天稚彦は国治立命に裁かれて、幽庁の司として落とされ、三千年の艱難辛苦を嘗めることになりました。稚桜姫命の後は、天神である国直姫命が降られて、竜宮城を総轄することになりました。  シオン山の戦闘に破れた常世姫は荒れ狂い、それによって邪霊たちの争い・同士討ちで世界は惨憺たる有様になってしまいます。常世姫の夫・八王大神は、常世姫の荒びを抑えられず、いったんは地の高天原に帰順して、天地の律法で混乱を収拾しようとします。  しかし常世姫や大自在天の部下たちの魔言によって、何度も心変わりをした上、結局は元のように、地の高天原と敵対することになってしまいました。

 

★ 拝読箇所で気のついたこと
霊主体従 丑の巻
第五篇 神の慈愛
第28章 高白山の戦闘(78)

* 言霊別命と元照彦は、猿世彦の木乃伊に神言を奏上して息を吹きかけると、猿世彦はたちまち蘇生した。言霊別命は、常世姫に対する降伏勧告の信書を持たせ、猿世彦を解放した。

* 一方、スペリオル湖畔を港彦に守らせると、言霊別命と元照彦は、高白山へと軍を進めた。高白山には正しい神司・荒熊彦・荒熊姫が割拠していたが、常世姫の部下・駒山彦のために包囲され、捕虜となっていた。

* 言霊別命と元照彦は背後から駒山彦軍を攻撃して、荒熊彦・荒熊姫を救い出した。二神人は言霊別命に恩を感謝し、自ら従臣となって高白山の城塞を献上した。

* 言霊別命は元照彦をローマ、モスコーに遣わして情勢を探らせ、自らは荒熊彦・荒熊姫とともにしばらく高白山に根拠を置くことになった。高白山は常世の国の北極に位置する、世界経綸の神策上、もっとも枢要な地点である。

第29章 乙女の天使(79)
* 言霊別命は高白山を中心として善政を敷き、その治下は地上天国というほどよく治まった。

* しかし荒熊彦と荒熊姫は、自分の息子・清照彦が、先の駒山彦との戦闘で元照彦に殺された、という風評を聞きつけ、恩神である言霊別命を裏切り、駒山彦と共謀することになってしまった。

* 駒山彦が攻めてきた際、言霊別命のもとに天使と名乗る女神が現れ、荒熊彦・荒熊姫の変心を警告し、自分に高白山軍の全権を与えるようにと警告した。

* しかし、荒熊彦・荒熊姫を深く信頼していた言霊別命は忠告を信じず、かえって女神を邪神と疑い、剣で斬ってかかった。

* するとその剣は、女神の頭上から現れた光輝によって三段に折れ、柄のみが命の手に残った。女神の天使・絹子姫は、天津神のご配慮を詳細に説き諭すと、言霊別命はここにいたってようやく女神を天使と信じるにいたった。

* はたして荒熊彦は鉄棒を打ち振りながら、やってきて、言霊別命に自決を迫った。しかし天使・絹子姫が合掌するとたちまち天神の神卒が荒熊彦を縛ってしまった。荒熊彦は肝をつぶし、裏切りを白状し、高白山軍の全権を返上した。

* 高白山は、荒熊姫の裏切りによって応援の元照彦軍も危機に陥り、いまや落城せんとしていたが、絹子姫が指揮を執ると、天使が味方についたことで勇気百倍し、駒山彦軍を撃退した。

* 荒熊彦は元のように言霊別命軍の部将となり、戦闘で負傷した。また荒熊姫も絹子姫に降伏し、裏切りを謝して元のとおり言霊別命に仕えることになった。

第30章 十曜の神旗(80)
* 高白山を中心とするアラスカ国は、ふたたび平和に治まった。天使・絹子姫は照妙姫と名を変じ、言霊別命の身辺を警護することになった。

* 駒山彦から絹子姫のことを聞いた常世姫は、さっそく竜宮城に、「言霊別命は怪しい女性をはべらし、高白山に割拠して反逆を企てている」と中傷した。

* 稚桜姫命を初めとする竜宮城の諸神はこれを聞いて色をなし、対策の協議を開いた結果、神山彦を遣わして、事の真偽を確かめることになった。神山彦は従神たちを引き連れて高白山に向かった。

* 神山彦は赤の十曜の神旗を掲げた天の磐楠船で高白山に到着すると、言霊別命に諸神を遠ざけさせ、来意を伝えた。

第31章 手痛き握手(81)
* 神山彦は、言霊別命が第二の妃神を娶ったという噂について、詰問した。言霊別命は疑いを晴らそうと、照妙姫(=天使絹子姫)を呼んだが、すでに照妙姫は天上に帰ってしまい、姿を認めることができなかった。

* 神山彦らは嵩にかかって言霊別命に迫り、刀の柄に手をかけて詰め寄った。言霊別命は進退窮まり、母神・国世姫から授かった領巾を取り出して打ち振った。

* するとたちまち絹子姫が現れた。また領巾を振ると、天女が多数現れ、神山彦らをその場に縛ってしまった。

* 神山彦らはようやく疑いを晴らし、言霊別命に陳謝した。しかし神山彦は、これからが肝心の談判の正念場である、と言って息巻いている。

第32章 言霊別命の帰城(82)
* 神山彦らは次に、言霊別命がローマ、モスコー、高白山に神軍を配置して竜宮城に戻らないことが、稚桜姫命の疑いを招いているとして、即刻帰城するように、と迫った。 * 言霊別命は、各地に邪神が割拠する世の中に、各地に神軍を配置するのは竜宮城を守るためなのに、それを理解しない稚桜姫命の思慮の浅さをなじって席を蹴ろうとした。

* すると神山彦らはその場で切腹しようとしたため、言霊別命は驚いて制止した。神山彦らは、このままでは稚桜姫命に復命できないとして、決心の色を面に表している。

* 仕方なく言霊別命は竜宮城に帰還することにした。高白山は元照彦に任せた。そして荒熊彦・荒熊姫の息子・清照彦は実は命を救われてかくまわれていたのだが、これに自分の妹・末世姫をめあわせて、長高山の北方に都を開かせた。

* 言霊別命が竜宮城に帰還すると、諸神の喜びようはたいへんなものであった。ただ常世姫だけが面白からぬ顔をしていた。そして、各地に神軍を配置する命をなじり、稚桜姫命の命令に服するようにと嫌味を言うのみであった。

第33章 焼野の雉子(83)
* さて、常世姫の部下・駒山彦は、荒熊彦・荒熊姫の息子を討ったのは元照彦である、という噂を利用し、高白山に忍び入って、荒熊彦・荒熊姫に再び謀反を促していた。

* 荒熊彦・荒熊姫は、わが子への情に負けて、元照彦を討って常世姫側に寝返ることに決めてしまった。

* 荒熊姫は面会を装って元照彦を害そうとしたが、元照彦は荒熊姫の面上に毒気を感じ、荒熊姫を逆に詰問した。すると荒熊彦、猿世彦、駒山彦がどっと元照彦に斬ってかかった。

* 元照彦は三人を相手に闘ったが、敵せず、山を下って身をもって逃れ、ローマに落ち延びた。高白山は再び常世姫の手に落ちた。

第34章 義神の参加(84)
* 竜宮城の神々は大半が言霊別命・神国別命に信服していたが、次第に常世姫の魔の手が広がっていた。そこで二神は、天下の義神を募って竜宮城に参集させようと東西に旅立った。

* ペテロの都に声望の高い道貴彦という義勇の神があり、言霊別命は自ら訪ねて神界の経綸を説明した。道貴彦は竜宮城に出仕する決心を固めたので、言霊別命は村幸彦を迎えに遣わした。

* 道貴彦が出発しようとするとき、道貴彦の弟の高国別は大酒を飲んで現れ、出立を妨害しようとした。曰く、祖先の館を捨てて怪しい竜宮に仕えるとは何事だ、という理屈である。

* しかし村幸彦に諭された高国別は時勢をようやく悟り、自分が祖先の地を守り、兄を送り出すことに同意した。

* 道貴彦は花森彦とともに、竜宮城の大門の部将として、入り来る神々の善悪正邪を審判するという重要任務が与えられた。

* 常世姫は部下の魔我彦・魔我姫に城内の様子を探らせておいて、自分はひとまず常世城へと帰って行った。

第35章 南高山の神宝(85)
* 常世の国のカシハ城に割拠して声望をとどろかしていた若豊彦という神があったが、大自在天のために城を追われたため、竜宮城の神政成就に参画しようと訪ねてきた。 * 言霊別命は神国別命に命じて、若豊彦を審神したところ、数多の邪霊が憑依していることがわかったが、邪霊は審神によって逃げ散り、若豊彦は正しい神人に戻った。

* 若豊彦は言霊別命の参加に加わり、天上に使いして天神・高照姫命を竜宮城に迎えた。高照姫命は稚桜姫命に謁見し、天上の混乱を伝え、地上の修祓を宣旨した。

* しかし魔神・大魔我彦が高照姫命の後をつけており、この秘密の会合のことが邪神に知られることになってしまった。

* そこで言霊別命が召し出され、わずかな従神を従え、高照姫命と共に南高山に密かに出立した。途中大魔我彦一派の妨害を避けると、高照姫命は南高山に秘め置かれた神宝を点検し、言霊別命に授けた。

* この南高山は天上から降った神宝が秘められた霊山であり、これらの神宝はみろく神政成就のために使われるものである。そして神宝は言霊別命だけが点検することを許された。

第36章 高白山上の悲劇(86)
* 高白山を荒熊彦・荒熊姫に追われた元照彦は、ローマに逃げ帰った。これを聞いた清照彦は、父母の無道な行為をいさめて正しい道に返そうと、使いを高白山に送った。

* 信書を受け取った荒熊彦夫妻は、元照彦に殺されたと思っていた息子が生きていたことを喜んだが、息子は今や敵対する竜宮城の部将となっており、親子の情と常世姫への忠誠に悩むこととなった。

* 荒熊彦はついに病を発して倒れてしまった。そうするうちに、清照彦より第二の使者が来た。その信書は、「第一の使者への返事がなければ、やむをえず神軍を率いて父母の軍を討つことにならざるを得ない」、という最後通告であった。

* 荒熊姫は悲嘆にくれて自害しようとしたが、常世姫の部将・駒山彦はそれを押しとどめ、忠義に訴えて常世姫への忠誠を促した。荒熊彦はついに決心を決め、常世姫への忠誠を貫いて息子が率いる竜宮城軍と合間見えることとなった。 * この様子を確かめた第一、第二の使者は長高山へと帰って行った。

第37章 長高山の悲劇(87)
* 長高山の清照彦は帰還した使者から、常世姫の圧迫のため、荒熊彦夫妻は竜宮城への敵対を決めた、と聞いて落胆した。しかし決心を固めると翻然として神軍を召集し、高白山出陣の命を下した。

* 清照彦は一室で、父母を討たねばならない不孝を嘆いていたが、妻の末世姫がやってきて、ここは中立を守って忠と孝の両方を全うするように、と諭した。しかし清照彦は、いったん決めたことを翻すわけにはいかないとして、末世姫の忠告を聞かなかった。

* 末世姫は一室に入ると自害して果てた。これを見た清照彦は自らも自害しようとしたが、元照彦にとどめられて戒められた。

* ときしも、竜宮城からの使いがあり、荒熊彦夫妻討伐の命が下った。言霊別命の真意は、清照彦をして荒熊彦夫妻を改心せしめようとのことであったが、清照彦は大義名分を重んじて、父母と一戦交えることになってしまった。

* 高白山では、常世姫軍の高虎彦の部下に大虎別という忠勇の神があり、荒熊彦夫妻の悪事を諌めて降伏を勧めたが、荒熊彦は聞かなかった。大虎別は自害して果てた。

* やがて清照彦率いる長高山の神軍が高白山に押し寄せ、戦闘の末常世姫軍は敗退し、荒熊彦夫妻はローマ方面に遁走した。清照彦は高白山に入城し、アラスカ全土を安堵した。

* 後に清照彦は言霊別命の命によりこの地をよく守り、シオン山の戦闘にも加わらず、アラスカは平和に治まった。

第38章 歓天喜地(88)
* 清照彦は最愛の妻に死に別れ、両親を討滅することになった。荒熊彦夫妻はかろうじて逃れたが、清照彦は追撃せず、両親が無事に落ち延びて、どこかで隠棲することを願った。

* しかし風の便りに、両親はローマで捉えられ、殺されたという噂を耳にした。清照彦は悲嘆のあまり自刃しようとしたが、天空から女神が現れて、しばらく隠忍するようにと諭し、必ず妻と両親に再会させよう、約束した。

* 清照彦は合点がいかなかったが、自分が死んでしまっては両親と妻の霊を慰める者がいなくなってしまうと、思いとどまった。

* 清照彦は悲哀のうちにも暮らしていたが、あるとき十曜の神旗が立った鳥船が数十も、高白山めがけて下り来た。鳥船からは言霊別命らが現れ、稚桜姫命の神使として清照彦の忠孝を賞するためにやってきたのだ、と来意を告げた。

* 清照彦が不審の念を抱きつつも来意を謝すると、鳥船から降ろした輿から現れたのは、父母の荒熊彦・荒熊姫、そして自害したはずの妻・末世姫であった。清照彦は思いもかけぬ親子夫婦の対面にうれし涙にくれた。 * 高白山は元のとおり荒熊彦夫妻が治めることになり、清照彦は長高山を治めるよう神命が下った。

* 末世姫は自害したと見えたが、その貞節に感じた天使によって身代わりに助けられ、ずっと言霊別命の側に仕えていたのであった。

第六篇 神霊の祭祀
第39章 太白星の玉(89)

* 竜宮城の黄金水より出た十二の玉のうち、赤玉を奪われた竜宮の従臣・鶴若は、無念のあまりその精霊が丹頂の鶴に変じてしまった。

* 丹頂鶴は天高く昇って鳴き叫んだため、その声は天の太白星に伝わった。太白星の精霊・生代姫命はこの声を聞いて怪しみ、鶴から玉の経緯を聞いた。丹頂鶴を憐れんだ生代姫命は、「十二の白鳥に命じて貴重な国玉を汝に与えよう、それをもって竜宮城への功績とするように」と託宣した。

* 丹頂鶴は必死で十二の白鳥の後を追った。力の限り天上に追っていくと、白鳥は各地に降下して白い光となり、光は地上から天に向かって輝いた。丹頂鶴が行ってみると、白鳥らそれぞれ各地に十二の色の玉となっていた。

* 丹頂鶴はそれらの十二の玉を飲み込んで、ようやく芙蓉山の中腹に帰ってきた。芙蓉山には、色彩鮮やかな雲が立ち上がった。

* 清国別という神がこれを怪しんで訪れてみると、そこには立派な女神が現れ、十二個の玉を産んでいた。この女神を鶴野姫と言った。清国別は鶴野姫から経緯を聞いて夫婦の契りを結び、ともに竜宮城に玉を奉納しようとした。

* しかし夫婦の契りを結んだことで、二人は通力を失い、動くこともままならなくなってしまった。泣き叫ぶ二人の声を聞いて、アルタイ山を守護する大森別は、部下を芙蓉山に遣わした。

* 清照彦と鶴野姫は、十二個の玉を竜宮城の大八洲彦命に献上するように、と頼んだ。大森別は請いを容れ、さっそく、玉を大八洲彦命に献上した。大八洲彦命は大いに喜び、これを神国守護の御玉として、シオン山に立派な宮殿を造営して安置した。

* シオン山は竜宮城の東北に位置する要害堅固の霊山であり、竜宮城防衛上の重要地点である。ここに、邪神・美山彦、国照姫はこの霊地を奪って宝玉と竜宮城を手に入れようと進軍を開始した。いよいよシオン山の戦闘が開始されることになった。

第40章 山上の神示(90)
* 大八洲彦命は、稚桜姫命の神命を奉じてシオン山に登り、自ら地鎮祭を行うと、顕国の御玉が現れた聖跡を中心に、十六社の白木の宮を造営した。鵜の羽で屋根を覆い、金銀珠玉の珍宝をちりばめ、荘厳優美な様であった。

* 一つの宮にそれぞれ玉をご神体として祭り、四つの宮に、鶴野姫、大森別、生代姫命、姫古曽の神を鎮際した。その他楼門、広間等大小三十二棟を造営し、あまたの重臣がこれに住んで日夜神明に奉仕した。そして宮比彦を斎主に任じた。

* 常世姫の部下である美山彦、国照姫は鬼城山から部下を率いて出陣し、東西両面からシオン山に迫った。また別働隊として南方からは、武熊別らが攻めかけた。

* 大八洲彦命は東西南北に神将を配置してこれにあたった。三方から押し寄せた魔軍は難攻不落の霊山に攻めあぐね、山を囲んでにらみ合いになった。

* 常世姫は間者に偽の情報を持たせ、シオン山軍の戦力を割こうとしたが、大八洲彦命に見破られた。部将の中には、間者の偽情報を信じる者もあったが、宮比彦が神示のままに間者を神前に引き立てると、間者は計略の一切を白状したので、一同は大八洲彦命の洞察に感嘆した。

第41章 十六社の祭典(91)
* シオン山では敵の計略を神明と大八洲彦命の明察によって免れた神恩を感謝するため、盛大な祭典を催すことになった。敵でなければ誰でも、参拝を許すことになった。すると麗しい巡礼の女性たちが山を登ってきた。

* 巡礼たちは宮比彦の請いを入れて、神饌神酒を奉り、神楽を奏した。しかし直会になって酒を飲んだ将卒たちは、手足痺れ七転八倒し始めた。

* すると十六社の宮が鳴動し、中から数多の金鵄が現れて、宴席の上を飛び回った。これによって将卒たちは全員たちまち元気回復した。乙女の巡礼たちと見えたのは魔神の化身であり、老狐や毒蛇となって四方に逃げ散った。

* これは国照姫らの姦策であった。以降、戦場には酒と女性は入れないことになった。

第42章 甲冑の起源(92)
* 南方の敵軍の将・武熊別は、部下の魔軍を数千万の黒熊と変化させ、夜陰に乗じていっせいに攻撃を仕掛けた。不意を付かれた南軍と西軍は混乱し、魔軍は勢いで一気に十六社の宮まで登ってきた。

* すると社殿の扉が自然に開き、中から数千万羽の金鵄が現れて、黒熊の魔軍に向かって火焔を吐いて翔け回った。黒熊は毛を焼かれて羆となり、北方の雪山めがけて逃走した。毛を焼かれたものは雪に穴を掘ってもぐり、回復を待ったが、全身白毛を生じて白熊となった。

* 攻撃が失敗したため、今度は武熊別は国照姫の魔軍を数千万の亀に変化させた。亀は口から火を吐きながら、神軍に襲いかかった。神卒たちは刀で首を切り落とそうとしたが、甲羅に阻まれ、また甲の中から吐き出される火焔に悩まされた。

* 大八洲彦命は宮比彦に神策を授け、神殿に奉納された神酒を数百の甕に移した。すると黒雲が起こって雨が降り注ぎ、数百の甕に満ち溢れると、雨水はすべて芳醇な神酒と化した。

* 亀たちは首を伸ばして神酒を飲み干したが、酔っ払って踊り狂うと酒の毒が回って、苦悶し始めた。神卒たちはここを狙って亀の首を切り落としていった。そして甲羅をはいで、各自身にまとった。これが甲冑の起源である。

第43章 濡衣(93)
* シオン山は大八洲彦命の戦略によって守られていた。常世姫はシオン山を包囲する魔軍に、決して退却せずに、シオン山に大八洲彦命を釘付けにせよ、と命令した。そして自分たちは芙蓉山、ローマ、モスコー、竜宮城を攻撃しようとした。

* 竜宮城はこれを察知し、ローマとモスコーへは神国別命と元照彦を、芙蓉山は真鉄彦を派遣し、竜宮城は言霊別命と花森彦を防備に当たらせた。 * 常世姫の夫・八王大神常世彦はローマ、モスコー、芙蓉山を攻撃し、常世姫は魔我彦・魔我姫とともに竜宮城に入り、内部から崩壊させようと企んでいた。

* 常世姫は、容色端麗な唐子姫を使って花森彦を誘惑させた。花森彦は唐子姫と逐電してしまったため、花森彦の妻・桜木姫は悲嘆のあまり発狂してしまった。常世姫はこれを利用し、桜木姫と言霊別命の不倫をでっち上げた。

* 稚桜姫命は常世姫のでっちあげを信じてしまい、言霊別命を追放した。そして、夫の天稚彦に花森彦を迎えにやらせた。

* 花森彦は竜宮城の使いにたちまち目が覚め、竜宮城に帰還することになった。しかし今度は、使いに来たはずの天稚彦が唐子姫の容色に迷い、逐電してしまったのである。

第44章 魔風恋風(94)
* 言霊別命は万寿山に落ち延びた。言霊別命の声望を慕って神将たちが集まり、万寿山の神軍は次第に集まってきた。

* 一方竜宮城は常世姫のために落城し、稚桜姫命は神国別命らとともに、万寿山に落ち延びてきた。言霊別命は稚桜姫命を礼を尽くしてお迎えした。稚桜姫命は、言霊別命の潔白をようやく認められた。

* 万寿山には、常世姫の暴虐に義憤を発した紅葉別という勇将が馳せつけ、言霊別命はこれを万寿山の主将とした。

* 竜宮城をはじめ地の高天原、橄欖山も一時魔軍の手に落ちた。シオン山の大八洲彦命は、大足彦の国の真澄の鏡で敵軍を射照らさせ、壊走させた。また竜宮城の魔軍に対しても、真澄の鏡を射照らすと、常世姫の身体から異様な光が現れて金毛九尾の悪狐と化した。そして、常世城めがけて遁走してしまった。

* ここに稚桜姫命は言霊別命らを率いて竜宮城に帰還した。

* 一方、天稚彦は唐子姫と山奥で暮らしていたが、唐子姫は悪狐の姿を現して逃げてしまった。天稚彦は仕方なく諸方を流浪し、艱難をなめつつ竜宮城へ帰ることになった。

第七篇 天地の大道
第45章 天地の律法(95)

* 地の高天原をしろしめします国治立命、豊国姫命は、神界の混乱は厳格な神律が定められていなかったためであるとして、天道別命とともに、律法を制定された。

* 内面的な律法:
 ・反省よ。恥ぢよ。悔改めよ。天地を畏れよ。正しく覚れよ。

* 外面的な律法:
 ・ 第一に夫婦の道を厳守し、一夫一婦たるべきこと。
 ・ 第二に神を敬い長上を尊み、博く万物を愛すること。
 ・ 第三には、互いに嫉妬み、誹り、偽り、盗み、殺しなどの悪行を厳禁すること。

 * この律法を天下万神人に宣布する前に、竜宮城と地の高天原で実行して模範とすることとなった。この律法により竜宮城と地の高天原はよく治まった。また大足彦が魔軍を追い払ったことで、黄金時代が現出した。

* しかし遠い国はいまだ泰平でなく、律法も行き渡っていなかった。

* 稚桜姫命は天下泰平のお喜びに、諸神の遊楽場にお出ましになった。そこで眉目秀麗な男神が舞うのを見て、にわかに顔色蒼白になって倒れ伏した。

* 大八洲彦命は驚いて介抱し、奥殿に運び入れた。そして薬を選び手を尽くして看病したが、容態はよくならなかった。あるとき稚桜姫命は舞を見せよと仰せられ、諸神は神楽を奏上した。

* 舞曲を一心に眺めていた稚桜姫命はまた吐息をもらして倒れ伏した。その夜、大八洲彦命が看病していると、稚桜姫命は玉照彦の名を連呼された。大八洲彦命は稚桜姫命に玉照彦について尋ねたが、命は寝入ってしまって返事がなかった。

* 大八洲彦命はただちに玉照彦を招き、稚桜姫命の看病を命じた。するとそれより命の病は日に日に回復した。そして玉照彦は稚桜姫命の側近く仕えることになった。

第46章 天則違反(96)
* 天稚彦は諸方を流浪し、万寿山を守っていた吾妻別のもとを訪ねた。吾妻別は天稚彦であると認め、竜宮城に使いを送って、天稚彦の帰還を知らせた。しかしそれを聞いた稚桜姫命は顔色蒼白となり、唇は震えていた。

* 天稚彦が帰還したとき、稚桜姫命は狼狽のあまり、袴を後ろ前にはき、上衣の裏を着るなど周章ぶりはひとかたならなかった。

* 天稚彦は到着するやいなや、鉄拳を振り上げて玉照彦を打ち据えた。玉照彦は息も絶え絶えになりながら、天測違反の罪を告白すると、息絶えた。

* 国治立命はその場にご神姿を現し、天稚彦、稚桜姫命を天則違反の罪によって、幽界に落とし、幽庁を主宰せしめることを言い渡した。ここに二神司は三千年の忍び難き苦しみを受けることとなった。

第47章 天使の降臨(97)
* シオン山と竜宮城の戦闘に破れた常世姫は、ロッキー山、ウラル山、バイカル湖、死海に向けて伝令を下した。すると死海の水はにわかに沸騰し、天に沖して原野を濁水に変じ、悪鬼となった。

* ウラル山は鳴動し、八頭八尾の悪竜と化し、あまたの悪竜・悪蛇を吐き出した。バイカル湖の水は赤色を帯びて血なまぐさい雨となって降り注いだ。揚子江の上流である西蔵、天竺国境の青雲山から火焔が吐き出され、金毛九尾の悪狐となり、その口から数多の悪狐を四方に吐き出した。

* 天足彦、胞場姫の霊から出生した金毛九尾白面の悪狐は、天竺にくだり、ウラル山麓の原野にあらわれた。そして、八頭八尾の悪竜の一派であるコンロン王の妃となった。

* しかしコンロン姫はコンロン王を滅ぼしてウラル山一帯を掌握しようと、仏頂山の鬼竜王と通じていた。それを知ったコンロン王の部下・コルシカは鬼竜王を攻撃した。常世の国の援軍は、仏頂山に進んで荒鷲、猛虎、獅子、狼となって散乱した。ここに敵味方入り乱れた同士討ちの混乱が始まった。

* このとき地の高天原では国治立命が、大八洲彦命に命じて芭蕉の葉に律法を記し、もって混乱を収めようとしたが、用いる者無く失敗した。天上からは高照姫命が降り、一刻も早く地上の混乱を収めるように、と国治立命に神意を伝えた。

* 国治立命は混乱の収拾を確約し、国照姫命は天上に帰還した。

第48章 律法の審議(98)
* 天稚彦、稚桜姫命が律法によって罰せられ、幽界に落とされてから、竜宮城と地の高天原では律法はよく守られていた。

* 言霊別命は、独り者となっていた花森彦に妻を選定しようと提案したが、諸神は、天稚彦と稚桜姫命の堕落のもとを作ったのは花森彦であるとして、賛同しなかった。

* 肉体上の罪はおろか、霊魂上の罪まで前世にさかのぼって律法で裁かれるべきである、と主張する諸神に対して、言霊別命は、自分は言霊姫を妻とするまでに何度か妻を変えたので、まずは自分が幽界に落ちる、と宣言した。

* そして律法違反の罪が一切無い神々がいったい幾柱あるのか、と大声で呼ばわった。神々はただ、うなだれるのみであった。

* 天上より天津神・国直姫命が下り、国治立命が天上で律法の解釈について天津神と協議した結果、これまでの罪は問わないが、以降は霊魂上までさかのぼって罪が償却されるまで罰せられることとなった、と伝えた。

* 国直姫命は竜宮城にとどまって、稚桜姫命の職を襲った。また花森彦は国栄姫との婚姻を許された。

第49章 猫の目の玉(99)
* 常世姫の雄たけびによって世界中が戦乱の巷と化してしまった。これには夫の八王大神もなすすべが無く、困惑してしまった。そのとき、ふと東北の天に平和の女神が幾柱も現れて舞い遊ぶ光景が見えた。そこは地の高天原であった。

* 八王大神は高尾別と名を偽って地の高天原を訪ね、言霊別命に面会した。命はすぐに、邪神であることを見抜いて審神すると、八王大神であることを白状した。言霊別命は八王大神を許し諭し、八王大神は改悛の情を表した。

* 神国別命が教導にあたり、八王大神の従者たちも国治立命の神律を奉じることとなった。この旨を国治立命、国直姫命に進言すると、改心すれば元の善神であるから、この神を竜宮城の総轄とし、常世姫を改心させよ、とのことであった。

* 高尾別(=八王大神)は言霊別命の上位につき、神国別命らを伴って意気揚々と常世城に引き揚げた。常世姫を改心させようというのである。常世の国は常世姫の荒びによって、惨憺たる光景を現していた。

* 高尾別(=八王大神)はまず、自らが仕える盤古大神の館に赴いて、主君に国治立命の律法のほか、天下を治める神策がないことを奏上した。盤古大神はただただ微笑を浮かべて高尾別の進言を聞くのみであった。

* 高尾別(=八王大神)は盤古大神の態度を心もとなく思い、この戦乱の世に戴くべき主君は、国治立命であろうと思いをなし、その決心を大自在天の従神らに告げた。しかし大自在天の従神らは高尾別の変心をなじり、国治立命は邪神であろう、と決め付けた。

* また常世姫はその場に現れてともに高尾別の不明をともになじった。高尾別は進退窮まり、せっかくの決心を翻してふたたび盤古大神を奉戴し、国治立命に反抗の態度を取るようになった。

第50章 鋼鉄の鉾(100)
 * 神国別命らは、八王大神が変心したことは夢にも知らず、常世城の神々に、国治立命の教えを説いていた。

* すると城内騒々しく足音が近づき、八王大神が以前にも増して暴悪な顔で現れ、大刀の柄に手をかけて、盤古大神に帰順するよう、神国別命らを脅迫した。神国別命は神理を説き諭したが、聞き入れられなかった。

* 八王大神は神国別命に斬ってかかった。一切武器を持っていなかった神国別命らは、天に向かって合掌し、神言を奏上しようとすると、八王大神はどっと仰向けに倒れた。

* この光景を目にした常世城の神々は、あわてて常世姫に報告した。常世姫はただちに焼けた鉄棒を手に引っさげてその場に来ると、神国別命に打ってかかった。すると東北の空から暴風が吹き、常世姫はあおられてどっと地上に転落した。

 * 神国別命らはかろうじてその場を逃れ、竜宮城に帰還すると、八王大神の心変わりを国直姫命に報告した。国直姫命は、いかなる暴悪無道の敵が竜宮城に押し寄せても、律法に従って対処するように、と厳命した。

* やがて八王大神率いる常世軍が竜宮城に押し寄せ、ヨルダン河を押し渡って城内に入ると、国治立命と面会させよ、と大音声に呼ばわった。大八洲彦命は自ら八王大神を迎え、来意を尋問した。

* 八王大神は国治立命に面会させろ、と仁王立ちで怒号した。するとそこへ国治立命は悠然と姿を現した。八王大神は、汝は偽者の国治立命であろう、本物は大自在天の神策によって顕現するはずである、と詰め寄った。八王大神の従者・鬼雲彦も尻馬に乗って暴言を吐いた。

* 国治立命以下の諸神は、律法に従ってあくまで柔和の態度でこれを迎えていたが、ついに八王大神が刀を抜いて斬りかかろうとしたとき、花森彦は「われはただ今戒律を破らむ」と言うやいなや、鬼雲彦に斬りつけ、さらに八王大神にも斬ってかかろうとした。

 * 大足彦は花森彦を制止したが、八王大神以下は花森彦の勢いにのまれて、やや躊躇の色が見えた。大足彦は国の真澄の鏡を取り出すと、魔軍を照らし出した。八王大神以下は魔神の正体を表し、身動きができなくなってしまった。

* 国治立命は再び現れて、八王大神以下に天地の律法を説き諭し、万一聞き入れられないのであれば、常世城を明け渡して根底の国へ隠退するか、さもなければ竜宮城軍が常世城を滅ぼすであろう、と厳格に神示を言い渡した。

* 八王大神はその意を了解し、神国別命に送られて、部下たちとともに常世城に引き揚げた。しかし常世姫は国治立命にあくまで反抗の意を表し、八王大神のふがいなさを嘆いた。八王大神はまたもや常世姫の魔言に動かされ、竜宮城占領の決議をこらし始めた。

 * そのとき、天上から鋼鉄の鉾が棟を破って落ち降り、鬼雲彦の頭上に落ちて即死してしまった。これは、大自在天が神国別命を狙ったものが、はずれて鬼雲彦に当たったのである。八王大神は驚いて奥殿に逃げ、息をこらして震えていた。

 

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