とよたま愛読会118回
     「
霊主体従 (2巻)4章 〜 27」   
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             記:望月幹巳 メール:motomi@moon.nifty.jp


日 時  平成18年7月23(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
      連絡先 03-3321-3896、  03-3321-8644
物 語   霊主体従 2巻 丑の巻 第2章 〜 第27章

★ 報告
 暮夏の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。
<お知らせ>
次回拝読会(119回)の後、毎年恒例の暑気払いを行う予定です。午後五時半ごろに豊玉分苑にお集まりいただければと思います。
また、夏季の拝読会ですので、更生ゆかたをお持ちの方は、ぜひご着用で拝読にご参加ください。
第二巻を拝読中ですが、第三巻に入ると思われますので、第三巻をお持ちの方は、あわせてご持参いただければと思います。

邪神・棒振彦、高虎姫は、竜宮城の大八洲彦命の部下で信頼の厚い美山彦夫妻の名をかたって混乱させようとします。そのため、稚桜姫命は美山彦を言霊別命と改名させ、美山彦の妻神・国照姫を言霊姫と改名させます。

棒振彦らは、稚桜姫命の三女・常世姫を使って大八洲彦命、言霊別命らを排除しようとたくらみます。邪な心を持った常世姫ですが、稚桜姫命の情によって、竜宮城に迎え入れられてしまいます。

常世姫は棒振彦の部下魔我彦・魔我姫や、竜宮城で言霊別命と派を別にする小島別らを使って、さまざまな姦計を企み、まずは言霊別命夫妻を落としいれようとしますが、言霊別命はなんとか逃れます。

言霊別命は、大八洲彦命とはかって一時竜宮城から出て、ローマ・モスコーに勢力をふるって竜宮城の正規軍と戦端を開いたりもしましたが、結局竜宮城に迎え入れられて戻ります。

常世姫は常世の国に言霊別命を招いて害しようとしますが、稚桜姫命の五女・竜世姫の協力で、言霊別命は逃れます。そして、常世の国に潜んで味方を集めて活動します。

  

 

★ 拝読箇所で気のついたこと
霊主体従 丑の巻
第一篇 神界の混乱
第4章 真澄の神鏡(54)

* 天使・大八洲彦命は、大足彦、花照姫、道貫彦をして、木花姫命の鎮まる芙蓉山を守らせた。

* 邪神・棒振彦の化けた美山彦、同じく高虎姫の化けた国照姫、邪神の部下・鷹姫は芙蓉山に登って大足彦に面会を求めたが、大足彦は安泰山に命を奉じて出かけた後であった。

* そこで代わりに芙蓉山を守っていた道貫彦に対して、美山彦らは、『竜宮城が邪神・棒振彦の軍によって囲まれて危機に陥り、稚桜姫命は万寿山に逃れた。しかも大八洲彦命も邪神に帰順してしまった』と嘘の危急を報じて、混乱させようとした。

* 道貫彦と花照姫は、この報を聞いて、真実なら一大事と心ははやったが、部下の豊彦を安泰山の大足彦にまずは知らしめることにした。

* 大足彦はすでに安泰山で真正の美山彦に面会していたので、怪しんで木花姫命に神示を願った。木花姫命は期するところあり、芙蓉山の守りを固めると、美山彦、大足彦を連れて、稚桜姫命が逃れたという万寿山に向かった。

* 万寿山には、邪神・杵築姫が稚桜姫命に化けて待っていた。そして、木花姫命・美山彦命、大足彦命一行の労を謝すると、竜宮城に軍を向けて、奪回するように命令を下した。

* 大足彦は木花姫命から賜っていた、真澄の鏡を取り出して稚桜姫命を照らしてみれば、たちまちバイカル湖の黒竜の姿を暴かれて、黒雲を起こして逃げ去った。

* そして、同行した美山彦、国照姫、鷹姫を照らせば、美山彦は棒振彦に、国照姫は木常姫に再来である金毛九尾の悪狐に、鷹姫は大きな古狸の姿を暴かれた。

* 大足彦は芙蓉山に向かって神徳を感謝し、また邪神の所業に怒りを抑えつつ芙蓉山に帰還した。

第5章 黒死病の由来(55)
* 邪神が美山彦、国照姫の名を騙って活動を始めたため、稚桜姫命の命により、美山彦命は以降、言霊別命と改名し、国照姫も言霊姫と改名した。

* さて、長白山の山腹に古くから鎮まる智勇を兼ね備えた神将に、神国別命、佐倉姫の二神人があった。彼らは国治立命のご系統で、木星の精が降ってここに顕れた神人であった。両神は力を蓄えつつ、天使の来迎を待ちわびていた

* 言霊別命は神国別命一派を地の高天原に招致しようと自ら赴いた。神国別命は承諾し、部下に長白山を守らせて、自ら地の高天原の部将となることを承諾した。

* ここに美山彦命は神国別命の動静を察知し、長白山に言霊別命も滞在しているときを狙って多数の邪鬼・悪竜・毒蛇を派遣して急襲を仕掛けた。また、邪神軍は死海の黒玉を爆発させて、山の周囲に邪気を発生させた。この邪気は無数の病魔神となって襲い掛かり、神国別命の神軍には死者が続出した。

* 佐倉姫は天の木星に向かって救援を請い、神言を奏上した。すると木星から一枝の榊が降ってきた。佐倉姫はこの榊に神霊を取り掛けて左右左に打ち振ると、長白山の邪気は東風に散逸した。

* ここに神軍は蘇生した。神国別命は神恩に感謝し、神授の榊葉を部下の豊春彦に授け、長白山を守らせた。そして神国別命、佐倉姫は地の高天原に参向することになった。

第6章 モーゼとエリヤ(56)
* 言霊別命はまた、稚桜姫命、大八洲彦命の命により、オコツク海方面の猛将・岩高彦を招くことになった。

* しかし岩高彦は、オコツク海方面には邪神が多くはびこっているため、自分がこの場所を開けて地の高天原に参向するわけには行かない、代わりに部下の滝津彦を遣わそう、と提案した。

* 言霊別命は、その言を地の高天原に奏上しようと述べた。そこへ、天の一方から雷鳴が一時に百も轟くほどの大音響を発して、黒雲を押し分けて降ってくる巨神人があった。たちまち天に群がる悪竜・邪鬼を、左右の鉄棒で打ち悩ませると、降ってきた。

* そして、自分は天神の命によって国治立命の補佐を命じられた神である、と明かした。この神の名を天道別命といい、後のモーゼの神となって神則を定めた神である。またの名を天道坊と言う。

* また、西方の海から雲霧立ち上り、中天で天地を輝かす明るい玉となって大陸を越えてオコツク海に落ち、海面に渦巻きを立てると、その波間から現れた巨神人があった。これを天真道彦命、またの名を天真坊と言う。

* 天真坊は、国治立命が天地を創造した際に、神命を奉じて海中に玉となって沈み、神命が下るのを待っていた神である。この混乱期に現れて、予言警告を発して神人を戒める、エリヤの神である。

* 言霊別命は、天道別命、天真道彦命、オコツク海の部将・滝津彦の三神人を得て、天にも上る心地で相伴って竜宮城に帰還した。

第7章 天地の合せ鏡(57)
 * 天使・稚桜姫命は、天使・天道別命に竜宮上を守らせた。天使・天真道彦命と神国別には、地の高天原を守らせた。滝津彦には橄欖山を、斎代彦には黄金橋を守らせた。

* 後顧の憂いをたつと、稚桜姫命は金竜にまたがり、大八洲彦命は銀竜に、真澄姫は金剛に、木花姫命は劒破の竜馬にまたがって天空を駆け、高砂島の新高山に降った。

* 高砂の神島は、国治立命の厳の御魂の分霊を隠しおいた聖地である。生粋の神国魂を有する神々が永遠に集う経綸の地であり、神政成就の暁には、この聖地の神司を選抜して使用するという、大神の御神慮である。

* しかしながらこの高砂の神島も、国祖ご隠退の後は、七分どおりまで体主霊従・和光同塵の邪神の経綸に汚されてしまっている。

* この島の正しい守り神である真道彦命は岩石を打ち割り、紫紺色の透明の宝玉を持ち出して、稚桜姫命に奉呈した。これは、神政成就のときに、ある国の国魂となる宝玉である。

* つぎに奇八玉は海底から日生石を献上した。これは、神人出生のときに安産を守る宝玉である。

* 真鉄彦は谷間から水晶の宝玉を取り出して奉呈した。これは、女の不浄を清める神玉である。

* 武清彦は山腹から黄色の玉を献上した。これは病魔を退ける。

* 速吸別は頂上の岩窟を、黄金の頭槌で三回打った。巨巌は分裂して炎と成り、空中で紅色の玉となって火炎を吐き、続いて水気を吐き、雷鳴を起こして妖気を一掃した。この玉も稚桜姫命に献上された。火と水で天地の混乱を清める神宝である。

* 稚桜姫命一行は無事に宝玉を得て竜宮城に帰還する途中、鬼猛彦の邪神に行く手をさえぎられたが、木花姫命が天の真澄の鏡を取り出して、撃退した。この鏡は先に大足彦が使用した地の真澄の鏡と対をなすものである。

* 五個の神玉は、海原彦命、国の御柱神の二神によって守護されることになった。

第8章 嫉視反目(58)
* 常世の国に、武豊彦、鬼雲彦の二神があった。両神はそれぞれ、あまたの神々を率いて地の高天原の神政に参加すべく、はせ参じた。

* 武豊彦は真摯に神政に使えたが、鬼雲彦は、神国別命の声望をねたみ、何とかして陥れようとするようになった。

* しかし、鬼雲彦のよからぬ心と、神国別命の徳の違いを目の当たりにした部下の神々は、次々に鬼雲彦を去って、神国別命の下へとついてしまった。嫉妬の念に燃える鬼雲彦を武豊彦は諭すが、逆に恨みをかってしまう有様であった。

* 鬼雲彦はついに、言霊別命に、神国別命を讒言するまでになった。言霊別命は、鬼雲彦にしかるべき地位を与えてなだめようと苦心したが、ついに果たせず、鬼雲彦は勢力争いを起こして敗れ、邪神となって地の高天原を追われてしまった。

* 鬼雲彦は鬼城山に逃れて国照姫の傘下に入った。また、清熊という利欲に深い神も、神国別命の清廉潔白さと合わず、その心魂を言霊別命に見透かされ、竜宮上を脱して鬼城山に合流してしまった。

 

第二篇 善悪正邪
第9章 タコマ山の祭典 その一(59

* 言霊別命は神命により、あまたの神軍を引率してタコマ山に登り、国魂之神の鎮祭を行わせた。

* しかしながら、言霊別命の従神であった速虎彦、速虎姫、唐玉彦、島田彦らは、実は国照姫とひそかに通じていた。彼らは言霊別命に危機を救われたにもかかわらず、邪神と気脈を通じて裏切りを計画していたのである。

* タコマ山の祭事が済んで、一行が下山して海岸に出たとき、この四柱の神人は珍味ご馳走で言霊別命らを饗応した。

* 宴の最中、エトナの大火山が爆発した。その光景に言霊別命が見とれているすきに、四柱の神人は毒薬を持った湯を命に献上した。言霊別命がその湯を飲もうとした刹那、時野姫が命をさえぎり、自分の口に毒湯を飲み干した。

* たちまち時野姫はその場に黒血を吐き、悶絶して倒れた。言霊別命も少量の毒に当てられ、言葉を発することができなくなってしまった。速虎別ら四神人は、謀計が発覚することを恐れ、言霊別命を捕らえようとした。

* 言霊別命は諸神の宴の席に逃げ、一大事を知らせようとしたが、言葉が出ない。諸神らはすっかり酒に酔っていて、言霊別命の真意を悟る者はなかった。速虎別らも、酔っているとはいえ、さすがに諸神の目の前で言霊別命を拉致するわけにも行かず、目を光らせて時を待つのみであった。

* 言霊別命は仕方なく、酒に酔っていなかった部下の宮比彦、谷山彦、谷川彦を護衛にして竜宮城に一度帰還し、応援を頼もうとした。しかし酒に酔った諸神は一行をさえぎって行かそうとしなかった。

* 言霊別命はかろうじて竜宮島に立ち寄り、国の御柱命に保護されて、ようやく竜宮城に帰還することを得た。

* 竜宮島の地下は、多くの黄金を持って形造られている。これが現在の地理学上の豪州大陸に当たる。また、冠島とも言う。

第10章 タコマ山の祭典 その二(60)
* 竜宮城の言霊別命の従神・田野姫は、表面忠実に働き、竜宮城の内事に通じており、発言力があった。しかし実は田野姫は、国照姫の間者だったのである。

* 天使・大八洲彦命は、言霊別命の軍勢が神命を奉じてタコマ山で祭典を行ったことに関して、言霊別命が帰城してから、竜宮城でも祭典を行うように、と命令した。

* 田野姫は大八洲彦命の前に進み出て、言霊別命がタコマ山で祭典を行うのと同時刻に、竜宮城でも祭典を行うのが双方一致の真理にかなう、と進言した。大八洲彦命は田野姫の案を稚桜姫命に伺うと、稚桜姫命は良案であるとして賛成した。

* 祭典の準備が行われている最中、田野姫は毒鳥の羽を膳部の羹にいちいち浸して回っていた。この様子を怪しんだ神島彦は、芳子姫を呼んで、羹の毒味をさせた。たちまち芳子姫は黒血を吐いて倒れ、苦しみ始めた。

* 芳子姫の苦悶の原因がわからずに右往左往する諸神の前に、言霊別命が帰城すると、毒の羹の椀を取って庭木に注ぎかけた。すると、みるみる草木は枯死してしまった。

* 一同は、膳部の羹に毒が盛られていたことをようやくさとり、田野姫の行方を追ったが、早くも田野姫は姿をくらました後であった。

* タコマ山の宴で言霊別命の身代わりに毒を飲んだ時野姫はようやく病気回復し、言霊別命軍とともに帰還してきた。また、神国別命が神前に祝詞を奏上して祈願すると、時野姫、言霊別命、芳子姫の病状はたちまち全快した。

第11章 狸の土舟(61)
* 美山彦・国照姫は、常世国の常世姫を使って竜宮城を乗っ取ろうとした。常世姫は稚桜姫命の三女で、野心の強い神であった。美山彦・国照姫は自分の部下の魔我彦・魔我姫を常世姫につき従わせて入城させようとした

* 常世姫は竜宮城の入り口の黄金橋までやってくると、神威に打たれて、進むことができなくなった。しかし稚桜姫命は肉親の情から舟を出してヨルダン河を渡らせ、常世姫は竜宮城に安着してしまった。

* 常世姫は久々の親子の対面に、稚桜姫命に提案して、竜宮城の神人一同で、舟遊びをすることとした。そして、言霊別命には泥舟を用意して溺死させようと企んでいた。

* 言霊別命は魔我彦によって無理に泥舟に乗せられ、舟が沈んでいったが、従神の斎代姫によって救われた。すると常世姫は、言霊別命と斎代姫の間に怪しい関係ありと誣告をして回った。

* 言霊別命の妻神・言霊姫は、この誣告を信じなかったが、この一件により、言霊別命夫婦と、稚桜姫命・常世姫親子の間に、面白からぬ高い垣根が築かれてしまった。

第12章 醜女の活躍(62)
* 常世姫は帰城後ますます稚桜姫命の信任を得て、竜宮城に勢力を張った。一方、言霊別命一派の地位は、常世姫の讒言のために、地に落ちてしまった。

* 常世姫は魔我彦・魔我姫を通じて、美山彦・国照姫と謀計を練っている有様であった。

* 魔我彦・魔我姫は色香をもって言霊彦命を魔道に陥れようとした。そして、言霊別命が風邪で寝込んだとき、藤姫という醜女を放って、言霊別命の看病をさせた。

* 藤姫は言霊別命がめまいを起こして倒れそうになったときにわざと助けの声を発して神人を呼び、言霊別命の強要で今まで道ならぬ関係を結ばされてしまった、と嘘の証言をした。

* 稚桜姫命はこの事件を聞いて多いにお怒りになったが、言霊姫、佐倉姫が泣いて無実を訴えたおかげで、その場は赦された。しかし稚桜姫命の疑念は晴れなかったのである。

* また、魔我彦は八百姫という醜女を言霊別命の庭園に忍ばせ、わざと大声を発させて、不倫をでっちあげた。稚桜姫命はついに、言霊別命を蜂の室屋に投げ込んで罰することとなった。

第13章 蜂の室屋(63)
* 言霊別命は常世姫一派の姦計に陥り、蜂の室屋に投げ込まれ、熊蜂、雀蜂、足長蜂、土蜂らの悪霊によって刺し悩まされることになった。

* 言霊姫は黄金竜姫の霊魂に感じて蜂の領巾を作成した。そして、夜ひそかに、室屋に差し入れた。言霊別命はその領巾で悪蜂を退けることができたが、眠ることができないでいた。

* そこへ田依彦、中裂彦、小島別が現れて、言霊別命の罪をなじり、蜂の領巾を渡せと迫った。また、常世姫自身が室屋の前に来て、口汚く命をののしった。

* 言霊別命は天に向かって、もし自分に邪があれば自分の命を、常世姫に邪があれば常世姫の命を、直ちに絶ちたまえ、と祈願した。するとたちまち常世姫はその場に苦悶して倒れた。

* この事件を聞いた稚桜姫命は、これは言霊別命の仕業であるとして室屋の前に来て罵ったが、命は相手にしなかった。そのうち、常世姫はついにこと切れた。

* 稚桜姫命はこの事件について、国治立命に神慮を問うた。すると、確かに邪が常世姫にあった、と神勅が降った。そこで稚桜姫命は、小島別を遣わして言霊別命・言霊姫に陳謝せしめた。言霊別命が謝罪を受け入れると、常世姫はたちまち蘇生した。

* この様を見た稚桜姫命以下の諸神は、常世姫に、言霊別命に謝罪するようにと勧めた。常世姫が謝罪を拒むと、再び苦痛が襲ってきたので、ついに常世姫も我を折って謝罪し、言霊別命は室屋から解放されてもとの聖職に就くこととなった。

* この事件で常世姫は竜宮城から追放された。しかし常世の国から探女を放って、ふたたび言霊別命夫妻をつけ狙うという有様であった。

 

第三篇 神戦の経過
第14章 水星の精(64)

* 田依彦と中裂彦は、稚桜姫命を慰めるために、ヨルダン河の上流で千引の岩をとり、広い石庭を造った。すると稚桜姫命はにわかに身体に大痙攣を起こし、激烈な腹痛に悩まされることになった。

* 言霊別命が天津神の神示を受けたところによると、ヨルダン河上流の水星の精から出た長方形の霊石を掘り出して、庭園の石として地上に放置したため、水星の精が警告を発したものである、とわかった。

* また神示には、まわりの岩石を取り除いて、霊石を黄金水で清め、宮を作って鎮祭すれば、稚桜姫命の病は癒えるだろう、とあった。

* 果たしてそのとおりに取り計らうと、不思議にも稚桜姫命の病は癒えた。

* しかし、この霊石を掘り出してから、ヨルダン河の水は土砂を流して濁水の川になってしまった。また、中裂彦は心狂ってヨルダン河に身を投じ、悪蛇と変化して死海に流れた。

* 水星の霊石を祭った宮は、言霊別命が斎主として奉仕することになった。

* 稚桜姫命は病は癒えたが、その後の健康は勝れず、ときどき病床に臥すことがあった。常世姫はそれを聞いて、信書を兄の真道知彦に送った。真道知彦は稚桜姫命の長男である。

* 常世姫の信書には、言霊別命が水星の精によって稚桜姫命を日夜呪詛しており、それが命の病の原因である、というものであった。

* それを聞いて怒った稚桜姫命は、水星の霊石を打ち砕くことを命じた。言霊別命はやむなく天に謝して霊石を芝生の上に投げうった。すると霊石から旋風が起こり、高殿の稚桜姫命を地上に吹き落とした。

* これより稚桜姫命は不具となり、歩行に困難を覚えることとなった。言霊別命は梅の杖を作って奉った。

* また、霊石は新たに石造りの宮を作り、月読命の従神として永遠に鎮祭した。

第15章 山幸(65)
* 言霊別命の弟に、元照彦という神があった。元照彦は、兄が神業にかまけて親兄弟をないがしろにしていると、日ごろから憤慨していた。

* 元照彦は狩猟が上手で、相棒の伊吹彦とともに山の獣を獲ることを楽しみとしていた。

* あるとき、元照彦は大台ケ原山で狩猟をしていた。そこへ、伊吹山に立て籠もる邪神・八十熊たちも、狩猟にやってきた。しかし、元照彦の狩猟があまりに上手いので、邪神たちは一匹の鳥獣も得ることができなかった。

* そこで邪神たちは元照彦の相棒・伊吹彦を見方に引き入れ、元照彦を殺そうとした。伊吹彦は元照彦を裏切り、元照彦は邪神に囲まれて矢を射掛けられ、その場に倒れてしまった。

* 弟の危急を知った言霊別命はただちに天の鳥船で大台ケ原山に駆けつけ、さまざまな霊威のある領巾を邪神軍に向かって打ち振ると、邪神たちは逃げていった。

* 元照彦は重傷を負い、危篤に陥った。母神は元照彦に、「放縦な心を立て替えて、兄とともに神業に参加するように」と諭した。

* 元照彦は敬神の念を起こし、数ヶ月の間苦痛に耐えながら天地の大神を祈った結果、傷は癒えた。そして神業に参加し、言霊別命に従って神教を宣伝して偉功を表わすことになった。

* 元照彦を裏切った伊吹彦は、八十熊らとともに伊吹山に逃げた後、どこからともなく飛んできた矢に当たって山上から転落し、息絶えた。そして伊吹山の邪鬼となった。

第16章 梟の宵企み(66)
* 言霊別命は疑惑が晴れて蜂の室屋から出た後も、稚桜姫命の疑念は晴れなかった。小島別・田依彦の一派は、言霊別命に対して心中穏やかならず、ついに神国別命をも仲間に引き入れて、命を排斥するに至った。

* 言霊別命は、大八洲彦命・真澄姫とはかって、天道別命、天真道知彦命を連れて一時竜宮城を退去し、ローマの都の花園彦の館で時が至るのを待つことになった。

* ところが、ローマの都で宣伝活動を始めると声望は天下に振るい、勢力は拡大して多いに名をとどろかすことに成った。

* 竜宮城は言霊別命がローマに一派を開いて勢い盛んなことに驚き、小島別、田依彦、安川彦を急使に立てて、竜宮城に帰還するようにと責め立てた。

* 言霊別命は、三神が刀に手をかけて様子ただならないのを見て、稚桜姫命に詫び状を書いたので、自分は後から引き揚げるから、先に詫び状を持って竜宮城に戻っていてくれ、とその場を納めた。

* 三神は意気揚々と竜宮城に戻り、稚桜姫命の前で言霊別命の「詫び状」を開いてみると、そこには、常世姫一派を処罰して悔い改めなければ徹底抗戦も辞さない、という通告が書かれていた。

* 稚桜姫命はこれを見て多いに怒り、小島別、田依彦、安川彦は面目を失った。ここに稚桜姫命は小島別、田依彦、安川彦に神軍を引率させ、ローマを攻撃させることになった。

第17章 佐賀姫の義死(67)
* 言霊別命はもとより、稚桜姫命に反抗する心は毛頭無かったのであるが、荒療治の目的で、わざと反抗的な書信を返したのであった。

* 竜宮城では大八洲彦命に討伐を命じたが、大八洲彦命は病と称して応じなかったため、小島別が討伐軍を指揮することになった。

* 言霊別命は味方を得るために、ボムベー山の佐賀彦を説得に訪れた。佐賀彦はかつて、命によって身の危難を救われたことがあった。しかし佐賀彦は竜宮城からの言霊別命討伐令に恐れをなし、すでに田依彦と通じて、言霊別命の命を狙っていたのである。

* 佐賀彦の妻・佐賀姫は、恩神の危難を救おうと言霊別命を逃がした。そして自殺を遂げた。言霊別命らはモスコーを指して落ちのびた。

* モスコーでは、言霊別命軍の部将・正照彦、溝川彦が守っていた。しかし竜宮城軍・邪神軍の虚報の計略により、正照彦はボムベー山方面へ、溝川彦はローマ方面へおびき出されてしまった。

* 両神が敵の計略を悟って軍を返したときは、すでにモスコーは田依彦の手に落ちていた。そこへ、邪神軍がモスコーを占領しようと襲ってきた。モスコーを占領していた田依彦軍は、襲ってきたのは言霊別命軍だと勘違いして応戦した。一方、正照彦軍は、言霊別命・元照彦らと合流し、モスコーを奪い返そうと邪神軍の背後から攻撃を開始した。

* 邪神軍はモスコーの田依彦軍との挟み撃ちになって、全滅した。田依彦軍は、正照彦の軍を味方の竜宮城軍の援軍だと勘違いして喜んでいたが、今度は側面から溝川彦軍、正面から正照彦軍の攻撃を受けることになった。

* 両軍の猛攻に耐え切れず、田依彦らは黒雲を起こし、竜・狐と変じて敗走した。

第18章 反間苦肉の策(68)
* モスコーから敗走した田依彦らはペテロに陣営を構えた。言霊別命はすかさず討伐軍を組織して、ペテロを攻撃しようとした。小島別、田依彦らは敵の勢いを見て、魔我彦・魔我姫を通じて常世姫と手を組んだ。

* 常世姫はタカオ山に城塞を構えて、ペテロの田依彦軍と呼応して、言霊別命を挟撃しようとした。さらに、伊吹山の八十熊らの邪神が、恨みを晴らそうと常世姫軍に参加したため、言霊別命のペテロ討伐軍は三方から攻撃を受け、正照彦、溝川彦は捕虜となってしまった。

* また、タカオ山を攻撃中であった言霊別命軍本体は、国照姫の謀計で偽情報をつかまされ、ローマとモスコーに退却を始めた。伊吹山を包囲していた元照彦軍も、退却を余儀なくされたのである。

第19章 夢の跡(69)
* ローマに退却した言霊別命は、諸神将と協議の結果、篭城戦に移り、ペテロを滅ぼす機会をうかがうことになった。ローマ本営の士気は大いに上がっていた。

* しかし言霊別命の本心は、ただ神力を示して小島別ら諸神を覚醒せしめようとの誠意であって、美山彦・国照姫らの邪神が力を蓄えている状況を見れば、竜宮城の内戦で味方の戦力を損なうのは得策ではない、というものであった。

* 今回の戦闘で竜宮城軍を援護した功績で、常世姫は再び稚桜姫命の信任を得て、竜宮城での勢力を取り戻していた。

* しかし稚桜姫命も、言霊別命軍の勢いが侮りがたいことから、一度花森彦をローマに遣わして、帰順の勧告をせしめた。言霊別命は内心すでに帰順の意があったため、喜んで応諾した。

* 言霊別命は全軍を集めて帰順の意を伝え、全軍に竜宮城への帰城を命じた。花園彦、元照彦、武彦、大島彦ら部下の諸将は言霊別命の変心を怒り、依然としてローマに陣を敷いていた。

* 言霊別命は夜陰ひそかにペテロに向かった。捕虜となっていた正照彦、溝川彦は解放された。そして竜宮城からは、盛装をこらした神使が丁重に命を迎えに上がり、歓呼のうちに帰城した。

* 花園彦、元照彦らもやがて言霊別命の深い神慮を悟り、竜宮城に帰順することになった。ここにこの紛争は終わりを告げることとなった。

 

第四篇 常世の国
第20章 疑問の艶書(70)

* 言霊別命が竜宮城に帰還した後、ふたたび勢力を取り戻したため、常世姫は魔我彦、魔我姫、小島別、田依彦、安川彦らに策を授けて常世の国に帰って行った。

* 安川彦は艶書をでっちあげて言霊別命を排斥しようとした。一時は成功し、言霊姫も艶書を信じるまでに至ったが、神国別命に見破られて安川彦が自白したため、事なきを得た。

* 安川彦は鬼城山に逃げ、国照姫の部下となった。

第21章 常世の国へ(71)
* 稚桜姫命はやはり、親子の情に流されて、常世姫の言うことを信じる気があった。また、安川彦の陰謀は破れたとは言え、常世姫が背後で操っていたことは明らかにはならなかった。

* あるとき常世姫は、言霊別命を常世の国に遣わして、悪心を改めさせてはどうか、と稚桜姫命に提案した。稚桜姫命は喜んで承諾したが、常世姫は言霊別命を害しようと企んでいたのであった。

* 言霊別命は元照彦の調査によって、常世姫の計画を察知していたが、稚桜姫命の命によってやむを得ず、常世の国に遣わされることになった。そこで、言霊姫、元照彦とはかって危難を避けるべく、種々の秘策を立てた。

* 出発にのぞんで言霊別命の母神は、さまざまな領巾を授けてくれた。 * 常世の国の使節には、言霊別命の他に、小島別や竜世姫が加わっていた。竜世姫は稚桜姫命の五女の娘神である。

* ロッキー山脈のふもとの常世の都に至る分かれ道で、突然竜世姫は急病を発して苦しみ始めたが、これは竜世姫の策で、偽病であった。他の神々が竜世姫の看病に気を取られるすきに、言霊別命は左の分かれ道に進んで行った

第22章 言霊別命の奇策(72)
* 言霊別命はひそかに美濃彦の館に入って、策を練っていた。小島別は竜世姫の急病にあわてて谷底に転落して怪我をしていた。そのうちに、竜世姫の病は病気全快してしまった。

* 小島別らは美濃彦の館の前を、何も気づかずに通り過ぎた。その後に、言霊別命は後から追いついた。

* 言霊別命と竜世姫は、わざと偽の喧嘩をして、小島別らの目を欺いた。言霊別命も偽病を演じ、竜世姫は小島別・竹島彦らに、偽病の言霊別命の輿をかつがせた。

第23章 竜世姫の奇智(73)
* 小島別・竹島彦らが言霊別命の輿をかついで不満そうに行く姿を、竜世姫は道中からかって進んだ。言霊別命自身も、輿の中から小島別・竹島彦をからかう歌を歌った。

* 小島別・竹島彦は怒って言霊別命の輿を谷底に投げ捨てたが、言霊別命は領巾の神力によって怪我ひとつなかった。

* 道中、言霊別命と竜世姫は激烈な喧嘩を続けたが、これは両神合意のもとによる、偽喧嘩であった。

* 常世姫の宮殿に着いた言霊別命は水を求めた。常世姫の部下が水を捧げたが、竜世姫は言霊別命のような者に水を捧げる必要はない、とののしって、水を奪って打ちかけた。水がかかった神の衣は火煙を発して発火した。これは、竜世姫が言霊別命の毒殺を、喧嘩にみせかけて防いだのであった。

第24章 藻脱けの殻(74)
* 常世の都の大神殿で、天地の諸神を鎮祭する祭典が奉仕されようとしていたが、竜世姫・言霊別命は祭典の席次についても大喧嘩を演じたので、諸神は不安の念にかられていた。

* 直会でも、竜世姫が喧嘩に見せかけて言霊別命の膳部をひっくりかえしたが、その膳部からは青い炎が立ち上った。しかし常世姫も常世姫の部下たちも、大喧嘩を目の当たりにしていたので、竜世姫には心を許していた。

* 竜世姫は夜分ひそかに、言霊別命を常世城から逃がした。そして、自分は「言霊別命に害されようとした」と偽って常世城の諸神を呼び集めた。

第25章 蒲団の随道(75)
* 竜世姫は常世城の神々から、言霊別命の失踪について詰問されたが、戯れ歌を歌ってその場をごまかした。

* 常世城の神々は、言霊別命の捜索に出て、城はほとんど空になった。その隙をついて、言霊別命の弟神・元照彦の軍勢が、常世城を包囲した。

* 元照彦は降伏の軍使を遣わし、常世姫はやむを得ず、金毛九尾の悪狐の正体を表して逃げ去った。

* やすやすと常世城を手に入れた元照彦軍は、城内に入って油断していたが、そこへ常世姫の部下、竹熊彦・安熊の軍が急襲し、元照彦軍は城を奪われて敗走してしまった。

第26章 信天翁(76)
* 逃げたと思われた常世姫は、実は魔術で目をくらましたに過ぎず、常世姫は依然として常世城の奥に潜んでいたのであった。

* 常世城はふたたび常世姫の支配に帰したが、言霊別命の失踪を許した小島別・竹島彦・松代姫ら竜宮城の使臣は、自分たちの失策をどうやって稚桜姫命に復命しようかと悩み、青息吐息の有様であった。竜世姫はその様を戯れ歌に歌ってからかった。

* 常世姫は、稚桜姫命と竜世姫に、さまざまな珍宝の土産を渡して見送った。竜宮城に着くと、竜世姫はさっそく、小島別らの失策を稚桜姫命に報告した。

* 稚桜姫命はそれを聞いて怒ったが、竜世姫がおかしな歌を歌ってとりなしたため、小島別らの罪は赦された。

第27章 湖上の木乃伊(77)
* 常世城から敗走した元照彦は、身をもって美濃彦の館に逃れた。門番は着の身着のままで逃れた元照彦を疑ったが、元照彦は戯れ歌に託して自分の正体を訴え、美濃彦に迎えられた。

* 元照彦は身なりを変えて、スペリオル湖のほとりに船頭となって潜み、味方を集め、敵の情勢を探ることとなった。

* 常世姫の部下・猿世彦は言霊別命と元照彦の行方を追って、スペリオル湖のほとりに達し、船頭に舟を出すように命じた。

* しかし船頭は湖の中まで来ると、自分は言霊別命に味方する港彦である、と名乗った。そして猿世彦に自決を迫った。

* 命乞いをする猿世彦に、港彦は、湖の中に飛び込むようにと命じた。猿世彦が湖に飛び込もうと衣服を脱ぐと、激烈な寒気のためにたちまち猿世彦は木乃伊になってしまった。

* 港彦はこの木乃伊を乗せて、船着場に引き返した。

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