とよたま愛読会70回(山河草木:71巻10章〜巻末)
              
望月幹巳   メール:motomi_mochizuki@ybb.ne.jp


日 時  平成14年7月28(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
連絡先  電話 03-332-3996、03-331-8644
物 語  山河草木 第71巻10章〜巻末
 

★ 報告: 残暑の候、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。第70回の愛読界もつつがなく行われ、物語71巻を読み終わることとなりました。いったんは三五教に改心したものの、再度悪化した玄真坊はこの巻で何度も悪事を働き、失敗し、そのたびに戒めにあって幽冥界旅行までしますが、それでもなお女色と黄金への執着が抜けません。最後は、自分よりもはるかに悪の上手である金毛九尾の高姫に殺されかけ、梅公別に救われて、ようやく悔い改めることになります。 面白おかしい筋立ての中にも、不思議譚や幽冥界旅行、戒めなど、多彩な小話の連続で、楽しく読むことができた一巻であると思います。

★ 拝読箇所で気のついたこと:
○第二篇
第十章 荒添(一七九九)

* 玄真坊、コブライ、コオロは捕り手を恐れて田んぼ道を逃げてゆく。

* すると、道ばたの古井戸に、自分たちを捕り手に通報しようとしたリンジャンが落ちているのに気づいた。3人はリンジャンを助け出し、森の古堂に運んで介抱する。

* しかしそれは、親切心ではなく、リンジャンの気を引いてものにしようという下心からであった。

* リンジャンが息を吹き返すと、3人は互いに自慢話をしてリンジャンに気に入られようとするが、ことごとく難癖をつけられて言い負かされてしまう。

* そうこうしているうちに捕り手が堂に迫って来て、3人の泥棒はたちまち逃げ失せた。

○第十一章 異志仏(一八00)
* 玄真坊は逃げるうちにコブライ、コオロとはぐれてしまう。そこへ、二人の捕り手に追い詰められ、道ばたの辻堂に逃げ込み、石仏に化けてやり過ごそうとする。

* 二人の捕り手は玄真坊を追って辻堂にやってくるが、玄真坊が化けた石仏が生きているのに肝をつぶし、腰を抜かしてしまう。

* 玄真坊は逆に捕り手の食料を奪い、打ち倒してゆうゆうと逃げ去る。

* その後、泥棒をしながらタラハン市の宿屋に逗留していたが、偶然、宿帳にコブライ・コオロの名前を見つけ、二人の部下と合流することができた。

* 3人は、かつて自分たちの頭領であったシャカンナが、今は国家の左守として権勢を振るっているのをやっかみ、左守の屋敷に泥棒に入ることに決めた。

* 深夜、闇にまぎれて左守家に向かっていた矢先、火事が起こって市中騒然となる。が、3人は逆に火事場泥棒を決め込んで、泥棒を決行する。

○第十二章 泥壁(一八0一)
* 玄真坊、コブライ、コオロの3名は、左守館に詰めていた衛兵たちに、苦もなく取り押さえられてしまう。

* 市中の火事も始末がついたところで、3人の泥棒を右守のアリナが取り調べることになった。

* コブライ・コオロは火事の夜、左守の屋敷に泥棒に入ったと白状するが、玄真坊は、自分の兄弟分である左守の家を火事から守るために加勢に来た、と強弁して譲らない。

* アリナは扱いに困ってとりあえず牢に戻すが、玄真坊は平気の平左で、左守・右守を茶化す歌を歌う。

* また、左守・右守を無道の野心家とののしり、天意を行う自分は助からねばならない、などという経を読み、まったく罪の意識がない。

* 様子を見にアリナが牢へやってきても、反省の色も見せず、あべこべにアリナとシャカンナをののしる有様である。

○第十三章 詰腹(一八〇二)
* アリナは、玄真坊が左守シャカンナを兄弟分と呼び、自分の罪を認めようとしないのに困って、シャカンナ本人に相談にやってきた。

* シャカンナは、3人の泥棒を内々に自分ひとりで取り調べることとなった。

* シャカンナは、かつて自分が山賊をしていたことが、今回のことで明らかになってしまうのではないかとひそかに思い悩む

* 昔、政変で城を追われたシャカンナは、国政再興を夢見て、山賊となって力を蓄えようとした。しかし彼の悲願であった国政再興は、武力ではなく、娘のスバールが開明的な太子に見初められ、また自分を追放した政敵の息子=アリナの協力を得たことによって実現したのであった。(第六十七巻第三篇から第六十八巻参照)。

* シャカンナの前に引き出された3人は昔のことを並べ立て、無理難題をふっかけてシャカンナをゆする。

* シャカンナは、昔の部下の有様に責任を感じ、金を与えて放免する。しかしその後すぐに、自分は遺書を残し、神前で切腹して果てた。

* 昔の義理によってしたこととはいえ、罪人を自分の一存で放免することは国法違反であり、その責任を取っての詰め腹であった。アリナは王・王妃に、シャカンナの遺書とともに事の顛末を報告したのであった。

○第十四章 障路(一八0三)
* 玄真坊、コブライ、コオロはシャカンナから奪った黄金を胴に巻きつけ、山野を歩いてタラハン国を抜けようとする。

* しかしそこで十数人の捕り手に囲まれ、行く手を失った三人は進退窮まり、思い切って断崖絶壁の谷底に身を投げてしまった。

* 場面は変わって、だだっ広い原野を、切腹して果てたはずのシャカンナが一人、来し方の事を歌いながら歩いている。

* すると、土の中から頭だけを出している玄真坊と出会う。玄真坊は、たくさんの黄金をゆすり取った罪で、幽冥主宰の神から罰をくらっているのだ、と答える。そして、シャカンナに許しを請う。

* そこへ今度はコブライ・コオロが濡れ鼠でやってくる。彼らは谷底に飛び込んだとたん、黄金をすっかり捨ててしまっていた。

* 玄真坊もあまりの苦しさに、ついに黄金を捨てると宣言する。と、とたんに地面から抜け出すことができるようになった。

* 一同は気を取り直し、幽冥界の道を行ける所まで行こうと、歌を歌いながら行進する。

* 玄真坊が先に立って行くが、辻の立石に頭をぶつけてその場にふん伸びてしまった。

○第十五章 紺霊(一八0四)
* 玄真坊がぶちあたった立石は老婆の姿に変じ、玄真坊の元女房、小夜具染のお紺と名乗る。生前の恨みにより、玄真坊を食らうために待ち伏せていたのだと言う。

* 玄真坊は助けを求め、シャカンナが天の数歌を唱えると、お紺は消えうせてしまった。

* 一同は再び行進をはじめる。玄真坊の前に再び立石が立ちふさがるが、天の数歌によって消えうせる。

* 一同はようやく冥府の赤門にたどり着く。玄真坊、コブライ、コオロの3人は、赤門の守衛からまだ現界に命数が残っていると告げられ、門を締め出される。

* やむを得ずとぼとぼと引き返し始めたところ、耳元で女の声が聞こえたかと思うと、3人はタラハン河の河下に救い上げられていた。

* 3人を介抱していたのは、千草の高姫であった。

◇第三篇 参嫁僧目
○第十六章 妖魅返(一八0五)

* 玄真坊、コブライ、コオロの3人は、淵に流れ着いたときに漁をしていた首陀たちに引き上げられ、弔われようとしていたのだった。

* そこへやってきた千草の高姫が、3人を蘇生させて従者にしようと、ウラナイ教の神に一生懸命祈願をするが、何も起きない。最後に我を折って三五教の大神に祈願したところ、ようやく息を吹き返した。

* 高姫は玄真坊と偽の夫婦となって一仕事しようともちかける。玄真坊は幽冥界での戒めも忘れて、またもや色欲を出すが、高姫は相手にしない。

* 高姫は3人が一文無しと聞いて、愛想をつかして去ろうとするが、コブライ・コオロが黄金を掘り出す。

* それを見て高姫は態度をがらっと変える。そして、コブライとコオロに、ダイヤモンドがあるからといって、さらに穴を掘らせる。

* 玄真坊と高姫は、いきなりコブライとコオロの上から土をかけて生き埋めにし、黄金を奪って行ってしまう。

○第十七章 夢現神(一八〇六)
* コブライ・コオロの両人は、命からがら穴から抜け出すことができた。二人は怒りの歌を歌いながら、黄金を取り戻そうと玄真坊を追いかけて行く。

* そのうちに二人は原野の中で眠りこけてしまった。すると、夢うつつに白衣の神人が現れ、豊玉別命であると名乗る。

* 豊玉別命は、二人が怒りに捕らわれ、また黄金を目当てに玄真坊を追いかけていることを咎め、諭す。

* 二人は悪人として生まれついているのだから、悪に徹するつもりだと答えるが、豊玉別命は、どんな悪人であっても悔い改めることで悪を消し去り、善に向かうことができるものだ、と諭す。

* そしてミロク大神の世の到来、三五の大神の信仰、惟神の名号を二人に授け、善事を行うように、と教えて消え去った。

* コブライとコオロは、泥棒をきっぱりやめて修験者となり、七千余国の霊場を巡礼しようと決めた。二人は宣伝歌を歌いながら、スガの港を指して歩いていく。

○第十八章 金妻(一八〇七)
* 一方、玄真坊は千草の高姫を妻にしようと口説くが、高姫は玄真坊の黄金だけが目当てで、返答をはぐらかしている。

* 二人はまず、スガの里に出て山子を企むことにし、高姫をたたえる宣伝歌を歌いながら歩いていく。

* その途中、二人は入江村というハルの海のほとりの村で、宿を取ることとなった。

○第十九章 角兵衛獅子(一八〇八)
* 入江の里の浜屋旅館に、玄真坊と高姫は、もう十日も滞在することとなった。

* 玄真坊はなんとかして高姫を自分のものにしようと口説くが、高姫は頑として玄真坊をはねのけている。

* そこへ、表の街道に角兵衛獅子がやってきた。玄真坊と千草姫は、獅子を呼んで舞わせたが、それはコブライとコオロだった。

* コオロはすぐさま玄真坊を捕まえようと役所へ駆けていく。コブライは役人を迎えに行くが、その隙に高姫は玄真坊を気絶させ、黄金をすっかり奪い取って二階の間へ引っ込んでしまう。

* 役人は玄真坊がこときれたと思い、戸板に乗せて担がせて行ってしまった。

* 高姫はその様子を見ていたが、そこへ妖幻坊の杢助が現れて、高姫に合流する。

○第二十章 困客(一八〇九)
* 月の国々を宣伝に回っている照国別、照公、梅公別の三人は、宣伝歌を歌いながら入江村の近くまでやってきていた

* 3人はスガの里への道程として、入江村に逗留しようとしていた。そこへ、草むらの中から人の唸り声が聞こえてくる。梅公別は倒れている坊主を見つけ、天の数歌を奏上すると、坊主は息を吹き返した。

* 梅公別がふと見れば、それはオーラ山で自分が言向け和した、玄真坊であった。玄真坊はここまできてようやく改心し、一行の共に加えてくれと梅公別に頼み込む。

* 一行は入江村の浜屋旅館に宿を取る。まず、梅公別が高姫に気づき、玄真坊は高姫に黄金を奪い取られたことを一同に話す。

* 一方、高姫も照国別一行に気づく。宣伝使たちを恐れた妖幻坊の杢助と高姫は、旅館を抜け出すと夜陰にまぎれ、舟を盗んでハルの海をスガの里に向けて漕ぎ出し、逃げてしまった。

* 翌朝、照国別一行も船をあつらえ、スガの港を指して出立した。

 

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