とよたま愛読会69回(山河草木:71巻巻頭〜9章)
              
望月幹巳   メール:motomi_mochizuki@ybb.ne.jp


日 時  平成14年6月30(日) 午後1時から午後4時30分まで
場 所  愛善苑 豊玉分苑 (京王線下高井戸駅下車 徒歩8分 川崎方)
電話   03-3321-3896、03-3321-8644
物 語  山河草木 第71巻 巻頭 〜 9章
 踏違い

★ 報告: 毎日暑い日が続きますが、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。
今回は物語の第71巻が始まりました。ここのお話は、第67巻に登場した偽坊主、玄真坊の挿話の続きになっています。

かつて、玄真坊は、オーラ山にヨリコ姫、シーゴーと共に立てこもり、インド全土の征服をたくらんでいました。三五教の梅公に破れ、三人は改心しましたが、玄真坊だけは再び悪化し、山子坊主に逆戻りしてしまいます。

偽坊主・玄真坊は、長者の娘ダリヤをだまし、タニグク山の山賊の岩窟にやってきます。そこには、政変で地位を追われたタラハン国の元左守・シャカンナが、再起の時をうかがい、数百人の部下を従えて立てこもっていました。 シャカンナと玄真坊は意気投合し、手を組んで一大活動をしようと企みますが、その矢先、ダリヤ姫にまんまと逃げられてしまいます。 この騒ぎでシャカンナは山賊を解散して隠居してしまい、それが第67巻のタラハン国の建て直し物語の発端部でした。 第71巻では、その後、ダリヤ姫を追っていった玄真坊の話が展開されます。67巻でシャカンナとの酒盛りのとき、玄真坊は「天真坊」と名前を変えていますが、本巻の途中から、再び「玄真坊」に戻っています。

★ 拝読箇所で気のついたこと:
○総説
* 妖僧・玄真坊は色欲に目がくらんで失敗を重ね、現幽二界をさまよって苦難を味わい、ついに照国別一行に救われる物語を骨子とする。

◇第一篇 追僧軽迫
○ 第一章 追劇(一七九〇)

* 玄真坊は、シャカンナの元部下たちを引き連れて、バルギーといっしょに逃げたダリヤ姫を捜索していた。部下の一人、コブライとともに山中の立岩までやってきた。

* コブライは玄真坊の待遇に文句を言いつつ、女に逃げられたことをからかっている。日が暮れてきたため、二人は立岩のくぼみで眠りについた。

* そこへダリヤ姫を捜索している山賊の部下たちがやってくる。山賊たちは暗闇に怖気づいて、怖さを紛らわすために歌を歌いだした。

* 玄真坊とコブライはそれに気づいて目を覚ます。コブライは玄真坊をからかおうと、ダリヤ姫の声色を使い、玄真坊を茨の中へ飛び込ませようとする。

* 玄真坊はダリヤに近づこうとするが、落とし穴に落ち込んでしまう。その悲鳴に驚いたコブライも、いっしょに穴に落ちてしまう。山賊たちはてっきり化け物の仕業と思い、逃げてしまった

○第二章 生臭坊主(一七九一)
* 玄真坊とコブライは穴から抜け出して、性懲りもなくダリヤ探索に日を費やしている。二人は秋の七草の効能について四方山の話をしながら山を下り、二、三十戸の小さな村に出た。

* 二、三人の小僧たちが小魚釣りをやっていたが、一人が玄真坊を見て、その禿げ頭をからかう。

* 小僧は、この神谷村の庄屋の息子、「神の子」と名乗る。「神の子」は、神谷村が代々三五教を報じていると語る。神の子は、玄真坊の素性、ダリヤ姫を捜索していること、今七草の話をしながら村にやってきたことなどを当てて見せる。

* また、自分の庄屋の家で、ダリヤをかくまっていることを明かす。

* 玄真坊は小僧からダリヤの隠し場所を聞こうとするが、「神の子」は玄真坊を馬鹿にする狂歌を歌い、白い煙となって姿を隠してしまった。

○第三章 門外漢(一七九二)
* かつて日の出別の宣伝使に使えていた玉清別は、バラモン教を逃れて、タニグク山の峰続きに神谷村を作って時期を待っていた。

* 玉清別には、妻玉子姫との間に、神の子、玉の子という二人の子があった。神の子は小さいころより、神童と呼ばれていた。

* 玄真坊はダリヤが庄屋・玉清別の屋敷にいると知ってさっそくたずねてくるが、玉子姫に正体を見破られ、言い負かされて閉め出しをくってしまう。

* 玄真坊は自分は改心し、神の柱となって福音を述べにきたと歌うが、神の子・玉の子に逆に心を見透かされ、馬鹿にされてしまう。

○第四章 琴の綾(一七九三)
* 玉清別の館から閉め出しを食い、玄真坊はますますダリヤ姫への情欲に身をさいなまれている。

* 神の子はそこへやってきて、ダリヤとバルギーが逃げたと嘘を教えてからかう。玄真坊とコブライは暗がりの野山をダリヤを追って駆け出す。

* 一方、ダリヤ姫は、実家に戻るまではバルギーを自分の護衛としておこうと、酒をついでご機嫌を取っている。

* バルギーは自分の男らしさを誇ろうと、盗賊をやっていたころの話をするが、逆にダリヤ姫に嫌な顔をされてしまう。

○第五章 転盗(一七九四)
* バルギーは黄金で姫の歓心を買って名誉を挽回しようと、夜が明けぬうちに、村へ盗賊に出てしまう。

* バルギーは村の一軒に暴れこみ、家人を縛って金銭を奪い逃げ出すが、井戸に落ちてつかまってしまう。

* バルギーは村の掟に従い、村から追い出されることになった。ダリヤは哀れを催し、ついに自分が、山賊の岩窟から逃げ出すためにバルギーをだましていたことを打ち明ける。

* バルギーは村から去っていくが、ダリヤ姫は玉清別の勧めに従い、玄真坊を避けるためにしばらくまた村に滞在することとなった。

○第六章(一七九五)
* 玄真坊とコブライは道に迷って立ち往生していたが、そこへ、部下のコオロと合流する。

* 三人は泥棒となって天下を取ろうなどと法螺を吹いているが、そこへ、神谷村を追い出されたバルギーがやってくる。三人はバルギーからダリヤの居場所を聞き出そうとするが、バルギーはダリヤへの義理から、頑として白状するのを拒んだ。

○第七章 夢の道(一七九六)
* バルギーはいつのまにか、破れ寺にやってきていて、一夜の宿を頼んでいる。

* 寺から現れた尼僧は、尼寺に男を泊めることはできないといってバルギーを閉め出す。

* 途方にくれたバルギーは野宿を覚悟するが、そこへ宿の客引き婆がやってきて、小さな宿に案内する。

* 婆が宿の戸を開けると、そこには牛頭・馬頭の妖怪が何十と居て、人間を食っていた。

* 婆は突然、真っ黒な熊となってバルギーを捕まえてしまう。客引き婆は、バルギーを妖怪の晩飯にしようと、連れてきたのであった。

* バルギーは命乞いするが、熊はバルギーの悪業を数え上げる。

* 牛頭・馬頭の妖怪は、これまでバルギーが殺めて来た人々の化身であり、この地獄はバルギー自身が作ったものであった。

* バルギーは進退きわまり、ダリヤ姫から聞き覚えた三五教の数歌を唱えた。すると、熊や牛頭馬頭の妖怪たちは次第に影が薄くなり、消えてしまった。気が付くと、枯草が生い茂る道のかたわらに、泥まみれになって倒れていた。

* バルギーはよろよろと再び歩き出す。すると、以前に尼寺であった尼僧が、青黒い顔を枯草の中からあらわし、バルギーを呼び止め、自分はダリヤ姫であると名乗る。

* 尼僧は言う。 自分は、バルギーをだまして家まで送らせようとした、ダリヤ姫の悪念である。

* 不公平のない神界では、だました相手の許しを得て罪の償いをしなければならない。

* そのために、このようなところにうろついている。

* 神谷村からバルギーが追い出されるとき、バルギーを諭すつもりで頭を三つたたいたが、その罪で、バルギーに頭を三つたたいてもらわなければ浮かばれないのだ、と語る。

* バルギー尼から渡された扇子で尼の頭を三つ打つと、尼僧の姿はぱっと消えてしまった。

* 次に、山の向こうから「オーイオーイ」と自分を呼ぶ声がする。聞き覚えがある声に引かれてそちらに進んでいくと、たちまち東方の天から大きな火光が現れ、バルギーの面前に落下し、ドンと地響きを立てて爆発した。

* 気が付くと、自分はハル山峠のふもとに、がんじがらめに縛られていた。

* そこへ、ダリヤ姫、玉清別、村人らがやってきて、助け起こした。

* 村人たちは、神素盞嗚大神の託宣により、バルギーが命をかけて玄真坊らに抵抗してダリヤ姫の居場所を明かさなかったことを知り、助けに来たのであった。

* バルギーは村に運ばれ、ダリヤ姫に介抱されて玉清別の館で一ヶ月ばかり養生することとなった。

◇第二編
○第八章 夢遊怪(一七九七)

* 玄真坊・コブライ・コオロの三人は、バルギーを袋叩きにした後、ダリヤ姫は逃げてしまったと思い込み、あきらめてハル山峠を上っていく。

* 玄真坊は、天下を驚かすようなことをやって英雄ともてはやされれば、ダリヤのような美人は思いのままだと一人合点し、一旗あげようと思案をめぐらす。

* コブライにどうやって活動資金を作るのかと聞かれ、玄真坊は似せ坊主をやめて、また盗賊に戻るつもりであることを明かす。

* そうこうするうちに、コオロは大あくびをして目を覚まし、夢の中で夢の国の国王となっていたと語る。

* 玄真坊は、その夢を売ってくれと掛け合い、コオロは、夢を売る代わりに自分に命令権を与えてくれと要求する。玄真坊は承知し、一同は山を下っていく。

○第九章 踏違い(一七九八)
* 春山峠の南に、春山村という小部落があった。その一軒家にカンコという男が、名前も知れぬ病にかかって臥せっていた。

* 友人のキンスが見舞いにやってくる。キンスは病の原因を尋ねる。

* カンコは、去年の夏にタラハン市の呉服屋に行き、そこで買い物をした時、呉服屋の娘インジンに恋焦がれてしまった。その後、インジンがカンコの家までわざわざやってきて、何か書き物をくれたのだが、それが恋文じゃないかと思ったとたん、病に臥せってしまったのだと言う。

* キンスは、字の読めないカンコに代わって、その書き物を読んでやる。それは、カンコが買った木綿の請求書であった。

* キンスは気の病を治すためには申の年・申の月・申の日・申の刻に生まれた女の生胆が効くという噂を信じて、友の恋の病を治すために、自分の妹の生胆をとろうとする。

* 妹のリンジャンを呼んでくるが、そこへ玄真坊一行が暴れこんできて金銭を要求する。

* 玄真坊はリンジャンの美貌を見て、気を引こうと、にわかに僧侶となり、自分は二人の泥棒からリンジャンを守ろうとしたのだ、と格好をつける。

* しかしリンジャンは玄真坊の顔を見て、自分の妹をだまして汚したオーラ山の偽救世主だと見破り、役人を呼ぼうと外へ駆け出してしまった。

* 玄真坊らは役人が来る前にさっさと逃げ出してしまう。

 

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