旅の記憶 2006 夏 Part 5 『神が導いたパロス島』
８月１１日・・・
「ミコノス島」の朝はとても爽やかだった・・・
ホテルの部屋はホント最悪だが、一歩外に出ると
昨日の夜の騒々しさが嘘のような静けさと、真っ青な空が僕を迎えてくれた。
湿度が低いせいか、ひんやりとした心地よい空気が漂っている・・・
まるで、これからの暑い一日を予感させるような朝だった・・・
「パロス島」行きの船の出航時間は１０時３０分。
僕は早々にホテルを後にし、船が出航するミコノス・タウン側の港へと足を向けた・・・
ホテルを早く出たため、出航までの待ち時間が１時間以上あったが、
港の側のカフェでゆっくりと時間を過ごした。
それにしても、カフェでのピッツアとミートパイが美味しすぎる！
カフェオレもギリシャコーヒー独特の苦みが新鮮なミルクと絡まり、絶妙な味を醸し出す！
そんなこんなでお腹も気持ちも満足で待ち時間はあっという間に過ぎ、船が港へ入ってきた。
「パロス島」は「ミコノス島」に比べ、若干物価が安いらしいとのこと。
しかし、ホテルの数が少ないので早めの客引きとの交渉が決め手となるらしいが、
乗船した人は思ったより多く「パロス島」での宿泊がちょっとだけ心配になった。
「ミコノス島」を出航した船は、青々としたエーゲ海を軽快に走っていく・・・
６０分ほどの短い航海であっという間に「パロス島」に到着。
客引きが何人かいたのでとりあえず交渉を試み、条件としてバイクの手配をお願いした。
宿代はミコノスのホテルよりも断然安い・・・
「バイク手配」という条件をつけ、何人かは携帯でバイク屋に交渉してくれた。
しかしどこもバイクは空だと・・・
不安がよぎる中、僕は「パロス島」の中心タウン「パリキア」のレンタルバイクショップを
探し歩き回った。またしてもミコノスと同じような状況が・・・
そんなこんなで路頭に迷っているところ、ひとりの男性に声をかけられた・・・
荷物を持っていたので、旅人だと思われたのだろう。
その通り、僕は路頭に迷った旅人だった・・・
彼はどうやらホテルの客引き・・・でもほかの客引きとはちょっと違う雰囲気・・・
白いポロシャツにサングラスと一見 観光客のような感じで、僕は最初疑いの目を持っていた。
とりあえずホテル代とレンタルバイクの交渉をしてみると、すぐに知り合いのバイク屋に電話をしてくれて、
宿泊費も５０ユーロ（７５００円）、そしてレンタルバイクも手配できるとのこと・・・
ホテルの写真とかパンフレットなどはなく、どんなホテルなのか全く分からなかったが、
「バイクOK！」の一言で僕は後先考えずに、そのホテルに決めてしまった・・・
さっそく彼に伴われ、送迎のワゴン車へと向かう。
ワゴン車にはすでにイタリア系の女の子２人が乗っており、軽い挨拶を交わし、
荷物をトランクに積み込んだ・・・
彼は弟を呼びに行ってくるといい再び港へと行き、１０分ほどで戻ってきた。
その弟がホテルまで送ってくれることになり、兄の方は次の船を待つらしい・・・
そう、僕がこれからお世話になるホテルは家族で経営しているらしく、
ホテルの仕切を彼らのお母さんがやっているらしい・・・
「母はとても頼りになる！」と車内で弟さんから何度も聞かされた。
ホテルは港から車で５分くらいのとても条件のいい場所に位置しており、
真っ白な壁に青い屋根とまさに「キクラデス諸島」独特の作りのホテルだった。
さっそく中へ案内されると、彼らのお母さんが歓迎してくれた。
ミコノスでの状況を僕はつぶさに話すと、ホントに心から同情してくれて、
「パロス島」へようこそ！と温かみ溢れる笑顔で応えてくれた！
部屋へ案内されると、クーラーが心地よくかかった１５畳くらいの広い部屋・・・
おまけにテレビ、冷蔵庫まで備え付けてありシャワールームも広く、充分すぎる部屋だった。
この部屋が「ミコノス島」で泊まった部屋より安いとは・・・
部屋に満足した後、早速、予約を入れてもらったレンタルバイク屋へと向かう。
レンタルバイク屋には日本人の僕が来ることをホテルから伝えておいてくれたようで、
バイク屋のおじさんは日本語で「いらっしゃい！」と陽気に迎えてくれた！
国際免許を提示し、３日間のレンタル料４０ユーロ（約６０００円）を支払い、
日本車の「カワサキ」をわざわざ僕のために用意してくれた！
ホントになんていい島、いい人たちなんだろう！と心から思い、旅の神様に感謝した！
さっそくバイクにまたがり、海岸線を軽快に走って行く・・・
本当に風が気持ちよく、これこそが僕が望んでいた島でのひとコマ・・・
嬉しさに涙がにじみ出てくる気持ちをこらえ、僕はひたすら南へとバイクを走らせた・・・
ＰＳ：ゆっと〜！ HAPPY BIRTHDAY！！
拝 マーボ
２００６年１０月３日 ２３時５０分 自室にて