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   XANADU 『 M/B 交換手術1 』 2000/06/10 号
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◆ 今週の出来事
◇ もうじきボーナス時期
 既に結構 私の身の回りでは、浮き足だっている人がいます。仕事柄、今更パ
ソコンを買うという人は少ないのですが、それでも色々と考えていることは多い
様ですね。いわゆる個人需要の回復というものと、IT技術の合体とでも言いま
しょうか、景気回復の切り札になるのかどうか?
 私の会社では私のような中堅技術者は既に能力給で、残業手当が無い分ボーナ
スでの幅が広くなっています。年に二回の自分の評価を金額で知る(知らされる
?)この機会は、従来以上に気になるイベントです。

◇ CPU 事情「帰ってきた Cyrix !」
 昔、まだ世の中が Socket7 という CPU 取りつけ方法を使っていた頃、 Intel
は pentium という石を作っていました。同時に AMD,Cyrix,IDT,RISE と言った
メーカーは pentium と互換があり、独自の機能も強化した CPU を提供していま
した。 互換 CPU メーカーは intel より「速く」「安く」「魅力のある」製品
を作らないと売れないので、それはそれは頑張っていました。
 当初 Intel は独占企業として CPU の出荷時期や値段を自由に決められるとて
も有利な立場にありましたが、 互換 CPU メーカーとの価格競争が始まるとあま
り利益が出なくなってきました。そこで SLOT1 という特殊な形状(ファミコン
カセットみたいな物)を作り、特許を取りました。そのため互換 CPU メーカー
は SLOT1 の互換 CPU を作ることが出来ず、また intel は有利な立場を取り戻
しました(pentiumII,pentiumIII,celeron などが SLOT1)。
そこで互換 CPU メーカーはそれぞれの道を歩みました。

AMD:SLOT1 に対抗して独自の SLOTA を開発。 Athlon にて pentiumIII と対決
Cyrix,IDT:台湾のチップセットメーカー VIA に吸収される
RISE:??? 良く解りません

 互換 CPU メーカー対策の SLOT1 は一応の成功を収めたのですが、やはり技術
的には無意味な規格でした。高速な二次キャッシュメモリをカセットの中にいれ
るという方法も、 CPU 内部に二次キャッシュが入るようになってしまって意味
が無くなりましたし、 M/B からの高さがあるのは省スペース型の開発にとって
はデメリットです。
 そこで Intel は再度 Socket370 という、昔の Socket7 そっくりの方式を新
たに作りだしました。そこで2つの互換 CPU のノウハウを手に入れた VIA は、
先日新しい Socket370 対応 CPU である Cyrix III を発表しました。
533(133*4)MHz=$75,667(133*5)MHz=$120 だそうで、そのうち 800(133*6)MHz も
出ると思われます。

  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000606/via.htm

 中身は IDT の WinChip という CPU がベースだそうですが、互換 CPU 合戦の
新しい幕が明けたと言っても良いでしょう。 AMD は独自路線に行きましたが、
ひょっとしたら Athlon のコアを使った socket370 互換チップも出るかも知れ
ませんね。期待してます。

◆ 特集 M/B 交換手術
 さて、今週は DVD-ROM 体験記第三弾。より良い画像を求めるあまり、結局
SLOT1 の M/B に交換し、当然 CPU も変えました。その辺りの体験を紹介します。

# M/B: main board の略 要するに CPU や各種カードが刺さっている基板

◇ 何を調達するか?
  Socket7 の限界を痛感した以上、まずは M/B の選択です。 CPU の選択とも
絡むので、ここは良く考える必要があります(ちなみにメーカー製の Socket7
マシンを持っている方も、 M/B の交換が可能なものがありますので参考にして
下さい)。現段階では選択肢は4つです。

1.440BX チップセット(BX)
2.Appolo Pro 133A チップセット(133A)
3.AMD750 チップセット
4.Appolo KX133 チップセット(KX133)

#チップセット: M/B を構成する際、一番元となる LSI のこと

 もちろん intel には新しい 820,810,810E などがあるのですが、どれも現段
階では問題が多く選択肢には入れませんでした。

  1.と 2.がいわゆる intel CPU 用のチップセットですが、 2.や 4.の Appolo
というブランドは VIA のものであり、 2.は BX の互換部分+独自の機能強化を
したチップセットです。一般的には intel が作る BX が主流ですが、 133A は
値段が安い(=お買い得)ので名古屋人の私には魅力的です。
  3.4.は AMD の athlon 用チップセットです。当初は AMD が自分でチップ
セットを作って CPU と共に提供したのですが、最近は VIA が KX133 というチ
ップセットを提供しています。
 名古屋人としては「 intel より AMD, intel より VIA 」という、お買い得の
法則に則り 4. を選ぶのが自然なのですが、ここに CPU の値段と各チップセッ
トの発売時期という要素が加わるので悩ましいところです。色々悩んだ挙句、一
番古く(市場価格が下がっている)、対応 CPU が多く(安い CPU が使える)、安定
している BX を買うことにしました。
  athlon は 500MHz なら1万円台で手に入りますが、中古市場も小さくやはり
まだ高価な感があります。 BX と 133A はどちらでも構わないのですが、今まで
Socket7 にて VIA を使っていた関係上、今度は intel 純正チップセットも使っ
てみて「やはり intel は安定していて、 VIA はちょっと不安定」という噂の真
偽を確認してみるのも良いかと思いました。
 単純に M/B と CPU を交換するなら、まあ両方で3万ぐらいの出費ですが、そ
れなら誰でもできる power up ですから XANADU 的には納得できません。ここは
一つ、一期一会のネットオークションにて BX の M/B と CPU を get するとい
うシナリオで行きました。

◇ 入手方法
  M/B はネットオークションです。 yahoo のオークションには多数の M/B が
出ていますが、この中から適当な物を選び、落札する訳です。ポイントは以下の
通り。

1.少々古くてもメジャーな製品を狙う
  internet のサーチエンジンで調べて、ある程度の hit があるメジャーな
M/B を選びましょう。メーカーとしては ASUS,ABIT 等が安全でしょうか?マイ
ナーなものは入札も少なく、割安に手に入る可能性が高いですが、その分後で色
々と苦労する可能性もあります。

2.あせらずしばらくは様子を見る
 同じような製品でも、必ず同じ値段で落札しているとは限りません。後数時間
で落札するものを良く見て、値段を見極めましょう。

3.出品理由を確認しよう
 それぞれ何らかの理由(=不満?)があって出品しているはずです。そこを確
認しておくのは、大事だと思います。

 という訳ですが、これは私の反省も含まれております。実は値段が手頃だった
ために、ちょっとマイナーな M/B を手に入れてしまいました。 TMC 社の
TI6NBF+というものです。ちゃんと BX の M/B ですが、新しい CPU が出ても対
応する BIOS の公開がちょっと遅い様です。また珍しく M/B 上に SDRAM を直接
付けるランドがあり、その分 CPU と DIMM スロットの距離が近くて大きなファ
ンを付けるのは厄介そうです。まあ、そんな訳で M/B を手に入れました。

 では、来週は CPU 入手から実際の M/B 入れ換え作業について、説明します。
お楽しみに。

◆ お知らせ
  XANADU では随時、ご意見/ご感想/ご寄稿/リクエストを募集中です。
 お気軽に mailto:saito_makoto@hi-ho.ne.jp してください。

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  XANADU (廃刊ザナテックス)
 発行元:会社勤めのしがない職業プログラマ:齋藤 誠
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