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    XANADU 『 CPU な世界 1 』 1999.11.20 号
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◆ 後日談
 先週紹介した、『 TV-TOOL 』どうでしたか?面白いでしょ?時々こういうソ
フトにぶつかるから、フリーソフトの世界って楽しいです。 ffftp というフ
リーの FTP ソフト作者にもちょっとお願いしたら、私の仕事で使いやすいよう
に手直しして頂きました。大感謝!フリーで良い FTP をお探しでしたら、是非
お勧めします。

◆ 今週の私的出来事
◇ K6-2 450MHz
 調子に乗って購入した K6-2 ですが、結局定格通りの動作しかしませんでした。
一つ前の K6-2 300MHz は 350MHz で動作したのですが、今回の 450 MHz は色々
やっても私の環境では 450 MHz が限界のようです。ちょっとブルー...詳しくは
特集にて。

◇奥歯抜かれました2
 そりゃ大臼歯ですから、無くなった後の穴は大きい。未だ口の中に落とし穴が
ある状態です。大体食事後にはご飯粒にして三粒は穴にはまっていて、食後のう
がいが必須です...リスのように頬袋ができたような気分。

◇クローン人間禁止法
 何でも日本でも禁止法ができるそうですが、法で禁止すると言うことは実現す
る可能性を認めたと言うことですよね。違反した場合の罰則も気になりますが、
生まれたクローンの子供の扱いも同時に決まるんでしょうか?
 遺伝的な問題を持つ片親と健康なもう一人の親がいた場合、健康な親のクロー
ンを作って体外受精(?)卵を母親に戻すと言うのは不妊治療としては有効に思え
ますが、これも禁止なんでしょうね。
 代理母はOK、顕微鏡下の体外受精もOK、でもクローンは駄目?
 どんな法律になるのか解りませんが、禁止されようがされまいが、近々クロー
ンの子供を見ることになる訳で、その子の人権問題が気になります。

#昨夜 TV にて名作アニメ映画『ルパン対複製人間』がやっていた...


◆ CPU の世界
 計算機屋をやっていると、いろんなコンピュータに触れることになります。コ
ンピュータを機械と考えた場合、やはりその性能を一番決定付ける部品は CPU
です。今週は CPU について、初歩的なところから今後の動きまで、 XANADU
しく紹介します。

◇ 尊敬するノイマン先輩
 大昔(と言っても数十年ですが)、ノイマンさんという先輩がある日「作業指示
(命令)を順次記録させて、その通り計算させれば便利かも?ついでに命令もデ
ータも同じように格納すると良いかも?」と思いつきました。これがノイマン型
計算機の始まりです。先輩の偉いところは、誰でも思いつく命令の順次格納では
なく、命令とデータと言う異なる(と普通思う)ことを混ぜてしまったところです。
 その後、沢山の CPU が作られましたが、未だに先輩のアイディアを使わない
ものはありません。命令とデータをゴチャゴチャにすると言う、思えばずいぶん
ずぼらな先輩の発想は、大発明だったのです。
 今でもコンピュータ上の命令とデータは、基本的には区別がありません。その
ため、命令の列(=プログラム)を計算機上でデータとして作成できるのです。
 皆さんが毎日実行しているプログラムも、ディスクの上ではデータファイルと
何の区別もありません(拡張子が exe だと言うのは、些細なことです  OS が
変われば全然違う世界がいくらでもあります)。

◇ CPU の心拍数(=動作周波数)
 で、この命令だかデータだか解らないカオスなものを、『きっと命令だろう』
と思いこんで順番に実行してしまうのが、 CPU というものです。まあノイマン
先輩の忠実な部下みたいなものです。彼(=CPU)はとにかく順番が好きで、命令を
次々に実行しちゃいます。最初はゆっくりだったのですが、徐々に気が短くなっ
てきて、今では1秒間に 700*1000*1000 回(=700MHz)にも心拍数が上がりました。
普通の人間だって1回の心拍で何でもできる訳ではないのですが、 CPU も同じ
で仕事によっては数回心拍しないと終わらないこともありますが、心拍数が速け
れば仕事も速いのは確かです。

◇ インテルはん
 皆さん、老舗 CPU 屋インテルはんはご存知でしょう。随分前に i4004 とかい
う電卓用の赤ちゃん CPU を作ってからと言うもの、どんどん身代が大きくなっ
た、あの店です。
 あんまりみんながインテルはんの CPU が良いからと言って使うので、結局ほ
とんどのパソコンはインテル製の CPU になっちゃいました。またインテルはん
は『昔のプログラムも動かんとあきまへん』という少々強情な経営方針でして、
徐々に新しい命令は増えるのですが、大まかな部分は昔通りの老舗です。
 あんまりインテルはんの羽振りが良いので、他の店もインテルはんの CPU と
同じように動作する CPU を作りました。これを『インテル互換 CPU 』と言いま
す。インテルはんは『秘伝の CPU 製法を盗んではあかん』と文句を言いました
が、他の店は『同じ命令が解るけど、作り方は違うもん。秘伝は盗んでない!』
と言い張ってます。まあ、インテルはんもそこは認めたみたいで、今ではみんな
のインテル命令になっています(最初に命令が固まったのが 8086 という CPU
だったので今では x86 命令 と呼ばれています)。

#インテルはんが世界一の LSI メーカーになる前、世界一だったのは NEC だっ
 たんですよお!

◇ 物理特性
 インテルは命令にはこだわりますが、 CPU そのものの物理特性(=姿かたち)に
は割と無頓着です。大体は四角いゲジゲジ型なのですが、どんどん大きくなって
きました。ゲジゲジ足の本数も増えてます。それに数年前、ファミコンカセット
みたいな新型(=pentiumII) が登場しました。
 あんまり他の店が互換 CPU を作るので、カセット差込口の特許を取ってから
カセット型に移行しようというインテルはんの計算があったのです。これ、正直
言って失敗でした。何せ基板の上にいきなり 70mm もあるカセットを立てろと言
うのですから、小さなパソコンを作るには不利です。それに他の店は確かにこの
カセット型を作れなかったのですが、前のゲジゲジ型でもインテルはんのカセッ
ト型と同じ程度の性能を作れたのです。
 まあ、職人さんの考えではなく、番頭はんの発想で作ったのがそもそも間違い
だったのかも知れません。最近はインテルはんも、新しい CPU をゲジゲジ型に
戻したりと迷走しています。

...と、乗って来たところですが、続きはまた来週。ボーナス時期にパソコン購
入で悩んでいる読者には全然役に立たない XANADU の CPU 特集でした。

◆ 余談
 他の店(=AMD)は、これから作る CPU の開発コード名に面白い名前を付けてま
す。何の名前かわかるかなあ?

  http://www.zdnet.co.jp/news/9911/18/amd.html
  Thunderbird から Spitfire , Mustang

◆ 次回予告など
 次回の XANADU は『 CPU の世界2』です。 CPU にまつわる面白い話を、普通
の読者にわかるように説明しまっせ。

◆ お知らせ
  XANADU では随時、ご意見/ご感想/ご寄稿/リクエストを募集中です。
 お気軽に mailto:saito_makoto@hi-ho.ne.jp してください。

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    XANADU (廃刊ザナテックス)
   発行元:会社勤めのしがない職業プログラマ:齋藤 誠
★本メルマガ情報は http://www.hi-ho.ne.jp/saito_makoto/ です!
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