クワガタの記号・用語  2006.7.14.1改訂

クワガタの「和名」と「学名」は必ずしも一致しません。オオクワガタ・ヒラタクワガタ共に「ドルクス属」に分類されます。これには、東南アジアの「オオヒラタ」なども含まれますし、日本のコクワガタも「ドルクス属」です。
学名の表記方法を、国産オオクワガタ《Dorcus hopei binodulosus》 の場合で説明します。最初の「Dorcus」 が属名です。2番目の「hopei」 は種を表します。そして、3番目の「binodulosus」 は亜種名です。正確には、「binodulosus」 は朝鮮半島にも生息していますので、「binodulosus」 イコール国産オオクワガタではありません。

和名 学名・記号・略号など。
アンタエウスオオクワガタ
DA
《Dorcus antaeus》 各産地別に次のように表記 (インド産)DAIn、(タイ産)DAT、(ネパール産)DANe、(ブータン産)DAB、(ミャンマー産)DAMy、(中国)DAC、(ラオス)DAL、(マレーシア)DAM、(ベトナム)DAV
産地によって明確な特徴がありますので、将来は亜種分けされるかもしれません。
通称、アンテと呼ばれます。
台湾オオクワガタ DGF 《Dorcus grandis formosanus》 または、DF 《Dorcus formosanus》
フォルモサヌス、フォルモと呼ばれる事もあります。
グランディスオオクワガタ DGG 《Dorcus grandis grandis》 または単にDG。オオクワガタの中でも特に大きくなる種類。産地はラオスが有名。最近、ミャンマー、インドからも報告あり。インド産をDGIn、ラオス産をDGL、ミャンマー産をDGMyと呼ぶこともある。
クルビデンスオオクワガタ DC+産地記号 《Dorcus curvidens》 タイ、ラオス、インド、ネパール、ブータンなどに広く分布。DCT、DCL、DCInなど。クルビと呼ばれる事が多い。
シェンクリングオオクワガタ DS 《Dorcus schenklingi》 容姿は大型のコクワガタという感じ。台湾固有種。
中国ホーペ(ホペイ) DHH 《Dorcus hopei hopei》 またはDCH 《Dorcus curvidens hopei》 と表記
文献によって異なる。
国産オオクワガタ DHB 《Dorcus hopei binodulosus》 またはDCB 《Dorcus curvidens binodulosus》
これも文献によって異なる。ビノデュロサス。ビノと略されることもあり。
ダイオウヒラタクワガタ DB 《Dorcus bucephalus》 オオクワみたいにアゴが湾曲。ブケルファスと呼ばれることもある。
オオヒラタクワガタ DT 《Dorcus titanus》 ティタヌスと読みます。スマトラ、パラワン、ミンダナオ、セレベスなど多くのオオヒラタが含まれる。中でもパラワンは亜種扱いでDTPと書かれることもある。
アルキデスヒラタクワガタ DA 《Dorcus alcides》 犬に例えればブルドッグ!?
本土ヒラタクワガタ 《Dorcus titanus pilifer》 記号で呼ばれることは稀。こちらもティタヌスですが亜種として区別されてる。東京でも採れるよ!
コクワガタ 《Dorcus rectus》 こちらも記号で呼ばれる事は稀。ちょっとした雑木林にも生息している。
スジブトヒラタクワガタ 《Dorcus metacostatus》 沖縄のちょっと上、奄美群島の固有種。♂♀ともに上翅にスジがある。
パプアキンイロクワガタ LA 《Lamprima adolphinae》 ランプリマ属。パプキンと略されることもあります。同属のアウラタ等と共に「ランプリマ」と呼ばれる。
ニジイロクワガタ PM 《Phalacrognathus muelleri 》 通称「ニジイロ」。「ニジ」と略す人も。
タランドゥスオオツヤクワガタ 《Mesotopus tarandus》 あまり省略されることはない。極近い種類にレギウスがいるが、学術的には区別されないこともある。
オウゴンオニクワガタ 《Allotopus》 こちらも略されることは稀。産地により、「モセリ」、「ローゼン」、「モーレン」などとと呼ばれる。
メンガタクワガタ 《Homoderus》 「メリー」と「グラディアトール」が有名。
ミヤマクワガタ 《Lucanus maculifemoratus》 ミヤマクワガタ属は「ルカヌス」と呼ばれる。
ユーロミヤマクワガタ 《Lucanus cervus》 通常「ケルブス」と呼ばれる。亜種に「ユダイクス」、「カンター」などがあり人気が高い。
メタリフェルホソアカクワガタ 《Cyclommatus metallifer finae》 「メタリフェル」
ギラファノコギリクワガタ 《Prosopocoilus giraffa》 「ギラファ」・産地によって亜種が存在する。
本土ノコギリクワガタ 《Prosopocoilus inclinatus》 南部離島に多くの亜種が存在する。

DGG、DHBなどの学名の頭文字をとった記号表記は正式な表記ではありません。
もともと、飼育個体を識別するのに便利なため、使われてきた記号であると考えられます。

世界地図はこちら

エフ何とかは・・・・??>?=???

本来、Fとは・・・Filial「子の・・」「第・・世代の」の略。F1はFirst Filial「雑種第一世代」の略

一般的な意見 私の表記
ワイルド
野生のクワガタを採集したもの。珍重される傾向にある。「W」「WILD」「WD」などと表記する。

「WILD」または「WD」と表記する。
F0
野生の幼虫を採集し、羽化させたものをF0としてワイルドと区別する場合があります。完全なクワガタ業界用語。

未だ使用経験なし。最近見かけません。
WF1 野生の成虫から採れた子供。ワイルドメスの持ち腹の子をWF1とする人もいる。
別血統と思われるWD成虫から採れた子供。または、WDメスの持ち腹の子。

F1
WF1を単にF1と表記する事がある。また、別血統のF1とF2の子はF3となるという意見と、F1に戻るという意見がある。Fとはワイルドからの代数を表すという人もいる。


血の入れ替えをした第一世代。野生からの何番目の世代かを表すのではなく、何代目の近親交配かを表す。
例えば、別血統のF4×F2=F1。
従兄弟、又従兄弟など、元々の種親が同一の交配の場合は、F値はリセットされず、増えていきます。

F2
普通はF1の同腹同士を掛けたものがF2だが、F1とワイルドの子供もF2。ショップによっては、別血統のF1同士の子供をF2と表記するところもある。


同腹兄弟、または、元々が同血統同士のF1の子供。片親がアウトラインの子供でも、半分でも血が混ざっていれば、F値は加算されます。完全に別血統の場合のみF値がリセットされます。リセットされた場合はWILDからの代数をCB?で表記しています。

F3 同腹のF2同士の子供。同じ血統のF2とF1の子供はF3と表記。しかし別系統のF2同士の子供はF1となる?これも曖昧で、CBまたはF3と表記すべきでは・・・との意見もある。要するに、はっきりしたルールは無い。
同腹の兄弟、または元々同血統なF2同士の子供。F1・F2の同血統同士の子供。片親がアウトラインの子供でも、半分でも血が混ざっていれば、F値は加算されます。完全に別血統の場合のみF値がリセットされます。

CB、HB
HBはハイブリッドの略。産地の異なる同種の掛け合わせに使う。時折、完全な国内外の交雑個体を指す事もある。
CBは「Captive Breed」の略。「飼育個体」、「飼育繁殖個体」の意味。別血統・同産地の掛け合わせに使う事が多い。しかし規定は無いので、実際に購入する場合は注意が必要。


国産クワガタの場合、産地(県単位が妥当か)が異なる時はHBです。国内外の混血種の飼育には反対ですので、表記もありません。
私の場合「CB」はWILDからの代数を表記しています。「F3・CB5」表示の場合、ワイルドからの代数は5代目、途中、アウトライン交配があったという事です。

F?の表記に関してオフィシャルなルールはありません。個人によって、(お店によって)意見はバラバラです。購入するときは必ず確認しましょう!!・・・最近は「F表示」をしないで、単に飼育品として扱うお店もあります。


クワガタの専門用語 2007.9.24
累代飼育
あるペアの子供を何代にも渡り、飼育すること。累代数はF(Filial)で表わされます。インラインブリード、アウトラインブリードにわかれます。

ペア
現在、または将来交尾可能なオスとメスをさすことが多い。

マット
広葉樹をフレーク状に砕いたもの。多くはクヌギまたはコナラの朽木を粉砕したもの。幼虫や成虫の飼育に使われ、幼虫飼育時は餌にもなります。成虫飼育に限り、針葉樹マットを使う人もいます。

発酵マット
マットに添加剤を加え、2次発酵させたもの。幼虫の餌や、産卵セットに使われます。

添加剤
マットを発酵させるのに使われる発酵促進剤。小麦粉、フスマが有名です。菌糸ビンに栄養剤として添加される場合もあります。キトサン、ビール酵母、トレハロースなどが有名ですね。

菌糸ビン
オオヒラタケ、ヒラタケなどのキノコの菌糸を広葉樹のマットに植菌して培養したもの。ポリビンやガラスビンに詰められて販売されている。

昆虫ゼリー
クワガタやカブトムシの食性や必要栄養素の研究から生まれた?プラカップ入りのゼリー。多くのメーカーから色々な種類が販売されています。

餌皿
プラカップ入りの昆虫ゼリーを固定させる役目をする木製、またはプラスチック製の皿。多くは規格品。単に昆虫シロップを入れる容器を指すこともあります。

産卵木
メスを産卵させる為に使う朽ちた広葉樹。樹種はクヌギ、コナラなどが代表的です。普通は、シイタケ栽培に使ったホダ木ですが、最近は高級なカワラ材、レイシ材なども販売されています。

卵室
メスが産卵のとき、卵を産むためにつくる小さな空洞。卵よりふたまわり程、大きな部屋で、卵はここで孵化する。

コバエ
ショウジョウバエ、キノコバエなど、クワカブの飼育ケースに集まる小さなハエ。

孵化
卵から幼虫が出てくること。

脱皮
幼虫が次の令に進むために、皮を脱ぎ捨てること。

前蛹
3令幼虫が蛹になる直前の状態。カラダに皺ができ、棒のように「真っ直ぐ」になる。

蛹化
幼虫が蛹になること。

蛹化不全
幼虫が蛹に変態する過程で、内因、外因的要素で失敗し、不完全な形で、蛹化する事。ときには、死亡する事もある。

蛹室
幼虫が蛹になるときに作る長卵形の部屋。

羽化
蛹が成虫になること。

羽化不全
蛹が成虫になるときに、何かの原因で死亡したり、奇形になること。環境、遺伝的要素など、様々な原因があると思われる。

ブリード
ペアから卵や幼虫を得ること。

セミ化
「セミ」の幼虫のように、なかなか蛹化しない幼虫を指します。国産オオクワガタの幼虫を冬季、温室で飼育した場合、発現することがあります。

居食い
幼虫が飼育ビンの1箇所に落ち着いて、排泄物を再摂取する事。有用バクテリアの繁殖した排泄物を再度取り込むことで、栄養の消化、吸収が向上すると言われる。幼虫が動き回らず、体力の消耗が少ないこともあり、「大きく育つ」といわれる。

暴れる
幼虫が飼育ビンの中をむやみやたらに動き回り、菌糸ビンなどを、かき混ぜてしまう事。 多くは3令幼虫に見られる。蛹化目前の幼虫が酸欠気味、飼育温度が高い状態で起きやすい。暴れると、菌糸ビンが駄目になったり、幼虫の体重が減るというディメリットがある。

後食
幼虫が成虫になるための栄養摂取ではなく、「成虫」が羽化後、交尾、産卵のために栄養を摂取する事を「後食」といいます。簡単に言えば、成虫が昆虫ゼリーを食べれば、それが「後食」です。多くのクワガタは羽化後、1−3ヶ月で後食を開始します。

ペアリング
ペアを交尾させること。または交尾できる環境に置くこと。強制的にオス、メスを交尾させることをハンドペアリングというときもあります。

メイトガード
オスが交尾相手のメスを守る様子。朽木の下や餌場などで、オスがメスの上に覆いかぶさっている事が多い。他のオスからメスを守るためだと思われる。

産卵セット
メスに産卵させるときに使う飼育セット。メスが気に入らないと産卵しないので、種類によってセット内容は異なります。

色虫
色が黒くないクワガタ、カナブン、カブトムシのこと。はっきりした区分はありませんが、ニジイロクワガタ、パプアキンイロクワガタ、ノコギリクワガタなどが呼ばれる事が多いようです。

材割り採集
クワガタが産卵していそうな朽木などを斧で削って幼虫や成虫を採集すること。多くは倒木や立ち枯れ木を削ります。クワガタの発生木を根こそぎ破壊するので、賛否が別れます。

樹液採集
夏季などに樹液を吸いにくるクワガタを採集すること。昔からのクワガタ採りの方法。

灯火採集
灯火(街灯または採集用の灯火)を利用して光に集まる習性のクワガタを採集すること。

ディンプル
成虫のカラダのへこみ。「えくぼ」の事。完全に空いた穴を「ピンホール」と呼ぶ事もあります。厳密な規定はありません。

アゴずれ
アゴずれとは、クワガタが大アゴを閉じたときに上下に段差が生じてしまうこと。左右非対称である場合もある。多くの場合は上下に少しの段差が出来る。軽度の羽化不全の場合もあり、ブリードには影響はないと考えられる。

大歯
国産オオクワガタでよく言われます。内歯の突起が前方を向き、かつ先端に位置している大アゴの形状。

中歯
内歯の突起が真横付近を向き、中央付近にある形状。

小歯
内歯の突起がやや内側をい向き、大アゴの根元付近にある形状。

内歯
「ナイシ」と読みます。大アゴの内側の最も大きい突起のこと。内歯上がりとは、内歯が大アゴの先端よりに位置している個体を指すことが多い。

美形個体
自分が美しいと思う個体!!

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