人工蛹室の作り方 2008.5.11改訂
  用意するもの

     オアシス
     スプーン
     ミニケース
     小穴付きのフタ
生け花用のオアシスが、蛹室の代用品になります。硬質のスポンジという感じで吸水性、保水性が抜群です。素手で簡単に加工ができます。私は100円ショップで購入しています。サイズは23×11×8センチ程度です。オオクワガタ用でしたら3個切り出せます。

  • オアシスを、カッター等で輪切りにします。8センチ程度の厚さに切ると、ひとつのオアシスから、3枚の人工蛹室がとれます。ミニケースにピッタリ入りますので管理も楽です。
  • スプーンで、蛹室の形を彫ります。輪切りにしたものの切断面を加工します。蛹室の形は細長い卵型というか間延びしたレモンのようです。切断面の長辺は11センチありますので、90mm以下のクワガタでしたら、十分対応できると思います。深さは4−5センチ位彫ります。元の蛹室の型を参考にすると良いでしょう。
  • 大体の形ができたら、指の腹で、馴らして形を整えます。頭部を上に、やや傾斜をつけてあげましょう!実際の蛹室には20度程度の傾斜があります。
  • 完成した人工蛹室を水道水で加水します。ミニケースに入れ、蛹を移します。(蛹はとってもデリケートです。取り扱いは慎重に!)このとき、温度を合わせておくと、より安全だと思います。
  • 乾燥しないように、空気口を開けた、ビニール等でフタをして下さい。私はコバエシャッターを使っています。
  • 後は、乾燥したら、霧吹きで加湿してあげましょう!このとき、蛹に直接水がかからないように注意してください。また、水分過多は羽化不全の原因になりますので、程々に・・・。

86mmのミンダナオヒラタの蛹
長さ10センチの人工蛹室で無事羽化



保管時は乾燥に注意ましょう!ただし、夏季は高温、蒸れを避けるため通気のよいフタがいいでしょう。右の写真は 既製の小穴の開いたフタを使用しているところです。コバエシャッターなら理想的です。


本物の蛹室はこんな形です。写真ではわかりにくいですが頭を上にしてやや傾斜しています。内面はすべすべに塗り固められています。
蛹室の大きさはとても重要です。予想される成虫体長の1.2倍は必要と思われます。私が測定したデータでは、ホーペ・オオクワガタの大型個体の場合、蛹室の長さは、9.5センチから10センチ程度でした。


写真は、人工蛹室で無事羽化したアンタエウスオオクワガタです。羽化直前、寝返りできない状態だったため、緊急に人工蛹室に移しました。数時間後に無事羽化しましたが、そのままでもOKだったかもしれません。
クワガタは、うつ伏せの状態で羽化します。

   ついに出た!使える人工蛹室「バケラッタくん」「ドロンパくん」 2007.10.6


市販の人工蛹室です。過去にも市販の人工蛹室はありましたが、???という製品が多かったように思います。しかし、「バケラッタくん 」は形が崩れないオアシスという感じです。高級ウレタンスポンジでできていますので、蛹による削り取られがなく、形が崩れない分使いやすいと思います。また、保水力も抜群です。写真のように小ケースにピッタリ収まります。値段は800円程度ですが再利用が可能なので、お得かも?
(60後半-80mm用)
朝霞の「クワカブランド」で購入しました。


更に大きな個体に使用可能なドロンパくん
こちらは、オオヒラタ、ギラファに使用出来ます。
ご丁寧にスポンジのフタまでついていました。
蛹に刺激を与えないためと思われます。

 前蛹期の幼虫を人工蛹室へ避難させました。 2008.5.5

台湾オオクワガタのメス幼虫が蛹室を作りました。しかし、菌糸ビンは劣化が激しく、写真の通りの状態です。嫌気性バクテリアが繁殖し、蛹室の状態は最悪です。市販の人工蛹室「バケラッタくん 」へ避難させました。
このまま蛹化した場合、蛹化不全になる確率が高いようです。羽化不全だと思っていた死亡個体の多くが、実は蛹化不全を起こしていて、正常な蛹になっていないことが最近確認できました。欠陥のある蛹の場合、いかに良好な蛹室でも正常な羽化ができません。状態の悪い飼育ビンで蛹化した個体は、前蛹時に人工蛹室に移すのが懸命だと思います。
ここで、注意しなくてはならないのは、前蛹になる以前の幼虫を人工蛹室へ入れると、穴を掘って潜ろうとしてしまう事です。くれぐれも、前蛹期に入った事を確認してから掘り出してください。

前蛹の幼虫が無事蛹化しました。
2008.5.11

人工蛹室へ移した前蛹期の幼虫が無事蛹化しました。
写真は蛹化直後です。未だ、腹が白いですね。左右対称で、正常に蛹化したと思います。これなら、羽化不全はなさそうですね!
前回も報告しましたが、不良な蛹室を作ってしまった幼虫(特にオス)は蛹化前に人工蛹室へ移す事が羽化不全を防ぐ有効な対策だと思います。

  プリンカップとティッシュで人工蛹室を作ってみました!2008.5.3

春になると、飼育中のクワガタの羽化ラッシュが始まります。皆さんは、手持ちの人工蛹室が満室で困ったことはありませんか?こんな緊急時に役に立つのがプリンカップとティッシュで作る簡易蛹室です。
作り方は簡単です。プリンカップの中に、濡らしたティッシュで蛹室の形を作るだけです。さすがに大型のオスには使えないかもしれませんが、メスには丁度よさそうです。
今回、使用したのは200ccのプリンカップとティッシュ5枚です。蛹室に傾斜をつけるために、プリンカップの下に紙を丸めて、セロテープで貼り付けました。
5日後、無事メスが羽化しました。羽化不全はありません。本来なら、オアシスなどを利用するのがベターなのですが、緊急時には使えそうです。

       何故、人工蛹室が必要なのでしょうか?
 2005.3.15

何故、人工蛹室が必要なのでしょうか?それは、悪いであろう状態のまま、放っておくより、「出来るだけの事をやろう」と考えるからではないでしょうか。それでは、どんな時に人工蛹室に移すのでしょうか?私の場合は主に4つの理由があります。

@蛹室に不具合がある。(大きさ、形状、位置、材質、など)
A飼育ビンに不具合がある。
B蛹室を壊してしまった。
C人工蛹室で羽化するところを見たくなった。

Cの場合は別として、@ABの場合は深刻です。このまま放っておくべきか?人工蛹室に移すか??決断が迫られます。実際私もよく迷います。確かに、クワガタが自分で作った蛹室に勝るものはないでしょう。それも考慮し、蛹室のコンディションと相談して、決断を下すしかありません。そして、その決断が正解だったかどうかは結果から判断するしかありません。
ちなみに、私が最も警戒しているのは、Aの「ビンの劣化」です。特に気温の上昇によって起きやすいオガの発酵、有毒ガス発生には細心の注意をしています。


皆さんは本物の蛹室をご覧になったことがありますか?私は小学生の時、近所の雑木林の倒木の下からカブトムシの幼虫を数十頭採集しました。夏を待ちきれず、飼育していた木製のみかん箱をひっくり返してみると、そこには蛹がゴロゴロ。それよりビックリしたのは、蛹室の壁の美しさでした。完全な長円形、美しい壁面。昆虫がこんな美しいものを創れるとは・・・と、感動したものでした。人工蛹室も出来れば美しく作りたいものです。彼等ほどは無理でも、命がけで創られたモノの代わりなのですから・・・。


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